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神戸に関連する/しない新聞記事をスクラップ。神戸の鉄ちゃんのブログは分離しました。人名は全て敬称略が原則。

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【復興日本】第1部 震災から見えた危機(2) 非常事態宣言を出さない国 <MSN産経 2011/05/12 00:23>を編集

 「災害対策基本法の災害緊急事態は関東大震災級への備えだったのに布告されなかった。法体系が使われていない」

 憲法記念日の2011/05/03、都内で開かれた民間憲法臨調のフォーラム。運営委員長で駒沢大学元教授の西修は、東日本大震災への対応を“平時の論理”で乗り切ろうとする菅直人政権の不作為を批判した。

 災対法は、死者約4700人、負傷者約4万人を出した1959(昭34)年の伊勢湾台風をきっかけに1961年に制定された。災対法105条では、首相に「災害緊急事態」布告の権限を与え、109条は「国会閉会中」であれば、生活必需物資の配給、引渡し制限、債務の支払い延期などの緊急政令を出すことも認めている。

 「関東大震災程度のものがこれに当たります」
 制定当時、自治省行政局長の藤井貞夫は国会答弁で、災害緊急事態が布告される事態をこう説明している。

 それから半世紀。「千年に一度」といわれ、菅首相も「国難」と称した大震災でも災害緊急事態は宣言されなかった。

 官邸では「細野豪志(首相補佐官)らが検討したが立ち消えとなった」(関係者)とされる。官房長官の枝野幸男は2011/05/09の記者会見で「災害緊急事態は(緊急)政令の制定が唯一の効果だ」とし、国会開会中だったため必要なかったと説明した。

 緊急事態宣言というメッセージによって、国民の協力を求めるという政治の発想も見あたらない。枝野は2011/05/10、「国会にお願いすれば、多分すぐに(緊急対応に関する)法律を作れた」とも述べ、緊急政令を改めて否定した。だが、菅内閣は実際には1本の緊急法案も提出していない。原発事故も含め震災直後にはガソリンや医薬品などが不足し、入院患者の移送では死者も出るなど悲劇が起きた。それでも臨機応変の法律や政令はいらなかったのか。

 2004/05には民主、自民、公明3党が大規模災害やテロなどに備える緊急事態基本法案の制定で合意したが、いつの間にかうやむやになった。官邸関係者は「災害緊急事態は戒厳令的で疑問符がある」と拒否反応を示す。軍隊が前面に出る戒厳令と災害緊急事態宣言とでは、全く意味合いが異なるにもかかわらずだ。そこには、非常事態を想定しない現行憲法下で平和と安全の神話に浸ってきた戦後日本のメンタリティーが反映されている。

 国民に最大限の自由と権利を認めるべき平時の体制のまま、大災害や有事といった非常事態を乗り切ろうとすると、被害が増したり、事態の解決を遅らせかねない。平時への復帰には一時的に行政府に権限を集めて対応した方が合理的だ。

 例えば、国際条約である「国際人権規約」(市民的及び政治的権利に関するB規約)の第4条は、非常事態が公に宣言された際、「締約国は必要な限度において、この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる」と定めている。つまり、市民の自由や権利を守るための国際規約でさえ、非常時には一時的な自由・権利の制限を容認している。
 日本の現行憲法も12条や29条などで、国民の自由と権利、財産権などを公共の福祉のため制限できるように書いている。しかし、その規定も平時ばかりが意識され、正当な補償をともなう土地の収用でさえ、極めて限定的な措置をとることにとどまっている。
 さらに、現行憲法には非常事態の規定がなく、公共の福祉でもって国民の自由と権利・財産を制限することが社会共通の認識になっていない。現憲法に欠ける非常事態規定を盛り込もうにも、憲法改正のための国民投票の前提となる衆参両院の憲法審査会は委員の選任さえ行われておらず、いつになったら始動するか不透明だ。

 1990年から2008年までの間に新憲法を制定した国はスイス、フィンランド、タイなど93カ国。駒沢大学元教授の西修がこれら93カ国の憲法を調査したところ、すべてに非常事態条項があった。西は「世界のほとんどの国の憲法は非常事態に備えている」と指摘する。非常事態に正面から向き合おうとせず、平時の憲法体制しか持たない国は日本くらいだ。

 ドイツは、1968年、憲法(基本法)に緊急事態条項を加えた。武力攻撃事態の手続きや大規模自然災害・事故での連邦政府と各州の役割分担を定めている。
 フランスは憲法で大統領の緊急措置権限と戒厳令を定めている。
 韓国の憲法は「戦時」「事変」とそれに準ずる「国家非常事態」への対応を定めている。
 アメリカの憲法には明文規定はないが、行政権を持ち軍の総司令官でもある大統領が、非常時には国家緊急事態宣言を出してあらゆる権限を持つのが前提。緊急事態を宣言する手続き法が存在する。

 拓殖大海外事情研究所長の森本敏は2011/05/03の民間憲法臨調のフォーラムでこう訴えた。
「現憲法の下の戦後体制が崩壊しているのではないか。国民と国の安全の根っこにある憲法が不備のまま、パッチワーク的に対処していいわけがない」

 戦後最悪の被害をもたらした大災害を前に、憲法のあり方が問われている。

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