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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:37人死傷の工場爆発事故 日本触媒と3被告に有罪 <神戸新聞NEXT 2018/07/19 10:18>を編集
消防隊員ら37人が死傷した2012年の日本触媒姫路製造所(姫路市網干区興浜)の爆発事故で、業務上過失致死傷などの罪に問われた当時の日本触媒姫路製造所化成品製造部製造第2課長 本藤昌宏(62)ら3人の判決公判が2018/07/19、神戸地裁であった。小倉哲浩裁判長は「会社全体で安全管理の意識が希薄。大きな問題があった」と指摘し、本藤に禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
このほか判決では、
当時の製造第2課主任技術員 宗近史郎(61):禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁錮1年6月)
当時の製造第2課係員 明神英雄(49):禁錮8月、執行猶予3年(求刑禁錮1年)
法人としての日本触媒(大阪市):罰金50万円(求刑通り、労働安全衛生法違反)
判決によると、2012/09/29、高温で滞留させると爆発の危険性があるアクリル酸のタンクが爆発。3被告は、施設の能力向上テストでタンクにアクリル酸約60立方メートルを貯留し、温度管理などの注意義務があるのに対策を怠って爆発事故を起こし、姫路市消防局の消防隊員 山本永浩(当時28)を死亡させ、作業員らを負傷させた。
裁判長の小倉は、爆発したタンクでは、少なくとも1994年以降は内液の温度計がなく、2009年以降に過剰加熱を防ぐ調節機器が取り外された情報が組織で共有されず、25立方メートル以上の貯留で冷却効果を生む機器を稼働するルールも徹底されなかった点を問題視した。
課長の本藤、主任技術員の宗近を「無関心といってよい程に何らの注意も払わず放置し続け、稼働の重要性を周知しなかった」と批判し、係員の明神については「ルールの存在を忘れ、稼働させずにテストして過失責任があった」とした。
公判で無罪を主張した日本触媒は「判決を厳粛に受け止める」「再発防止を徹底する」などとするコメントを出した。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:消防初動隊員の9割死傷 姫路・工場爆発1週間 <神戸新聞 2012/10/06 07:00>を編集
焼け焦げた消防車などが残ったままになっている爆発事故現場周辺
死傷者37人を出した日本触媒姫路製造所(姫路市網干区興浜)の爆発事故で、タンクの爆発前に現場到着した姫路市消防局員29人のうち、約9割(86%)の25人が死傷していたことが2012/10/05、姫路市消防局への取材で分かった。負傷者搬送のため待機していた救急隊員3人も含まれ、現場が一時、壊滅的な状態だったことがうかがえる。
事故は2012/10/06で発生から1週間。広範囲に飛散したアクリル酸の除去作業に時間を要しており、兵庫県警の現場検証のめどは立っていない。
姫路市消防局は初動隊員のほとんどが死傷したことを重視。被害が拡大した原因究明に向け、出動した約160人に直接聞き取り、タンクに近づいた経緯や負傷した場所の特定などを進めている。
姫路市消防局によると、2012/09/29 13:50ごろ、日本触媒からの通報を受け、最寄りの網干消防署から死亡した山本永浩(28、2階級特進で消防司令補)ら5人が警戒出動した。その後、消防隊員21人が消防車など7台で出動、救急隊の3人も爆発前に到着したという。
消防隊員がタンクから15m前後に止めてあった日本触媒の放水車近くで準備作業中に突然、タンクが爆発。姫路市消防局の25人のほか、日本触媒従業員10人と網干警察署員2人が高温のアクリル酸を浴びたという。
消防庁によると、過去10年で消防隊員が火災現場で死傷したのは、2003/06の神戸市西区で起きた民家火災での4人死亡(重軽傷9人)が最悪という。今回は、死傷者数で神戸市の火災を上回る規模で、消防庁担当者は「負傷者数はここ10年で最悪。それ以前についてもこれだけの規模の被害は記憶にない」と話す。
一方、網干警察署に捜査本部を設置し、業務上過失致死傷容疑で捜査を進める兵庫県警は、日本触媒姫路製造所の家宅捜索に着手したほか、関係者からの事情聴取を始めている。
しかし、アクリル酸の除去方法がなかなか決まらず、タンクやパイプラインに残ったアクリル酸を抜く作業に時間がかかり、現場検証は実施できないまま。兵庫県警は「早くとも来週以降になる」としている。
また、姫路市消防局は2012/10/05、爆発事故で焼損した消防車両や資機材の購入などに約2.5億円の費用がかかることを明らかにした。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:通報遅れ・監視体制・温度上昇 立件向け重点捜査 <神戸新聞NEXT 2012/10/06 07:45>を編集
コンビナート爆発火災としては、記録が残る1973年以降、最悪の死傷者数となった日本触媒姫路製造所の爆発事故。白煙確認から消防通報に約50分要したこと、アクリル酸の温度上昇の要因、タンクの温度管理の監視体制などが捜査の焦点となる。
兵庫県警などによると、2012/09/29 13時頃、従業員がタンク上部から白煙が上がっているのを発見。13:50頃に姫路市消防局に通報があり、出動した消防隊員らが放水準備中の14:30頃、爆発が起こった。
焦点の一つは白煙発見から消防通報までの「空白の50分」。日本触媒も会見で「結果的に通報すべきだった」と初動対応の不備を認めている。
温度上昇については、タンク内でアクリル酸の分子が化学反応で次々と結合し、温度が急上昇する重合反応が起きた可能性を指摘する専門家も多い。
温度上昇を防ぐため、冷却装置や酸素濃度の調整などが行われており、この過程での異常の有無を確認する。また、温度管理では「通常は1日3回、タンクを巡回することになっていた」(日本触媒関係者)といい、監視体制が十分機能していたのかもポイントとなる。
日本触媒姫路製造所では1976年にもアクリル酸メチルのタンクが爆発する事故が発生。以降も4件の火災や薬品漏れがあり、姫路市消防局の指導を受けていた。
兵庫県警は事故原因の特定とともに、過去の事故経験などから爆発の危険性を予見できなかったのか、被害を回避する措置が取れなかったかなどの捜査を本格化させる。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:過去にも通報遅れか 火災や漏出4件 <神戸新聞NEXT 2012/10/04 15:50>を編集
37人が死傷した日本触媒姫路製造所(姫路市網干区興浜)の爆発事故で、1976/03にアクリル酸メチルのタンクが爆発した事故後、日本触媒姫路製造所では今回の事故を除き火災や薬品漏れが計4件起きていたことが2012/10/04、姫路市消防局への取材で分かった。
いずれも事故による直接の負傷者はいなかったとされるが、通報の遅れが疑われる事故もあったという。
姫路市消防局によると、日本触媒姫路製造所は石油コンビナート等災害防止法に基づく「特定事業所」に指定されているため、自衛防災隊が消し止めた火災でも消防への通報が義務付けられている。
4件の内訳は火災2件のほか、爆発と危険物漏洩が各1件だった。日本触媒姫路製造所は、1976/03の事故後、消防とのホットラインを開設。専用電話の受話器を上げると、姫路市消防局指令課と通話できるようにした。
しかし、半年後の1976/09に起きた液体ナフタリンの漏出事故では、専用電話による通報は発生の約1時間後だったとされる。
1996/09には専用容器に保管していたベンゼンガスの濃度が上昇して爆発。2002/10には製造所内の配線の一部を焦がす火災もあった。
2005/09には、高吸水性樹脂の粉末を包装する施設が燃え、消防が出動。無人施設から出火したことなどを受け、姫路市消防局が原因究明と再発防止を日本触媒に指導したという。
今回の事故をめぐっては、タンクの異変を従業員が把握した後、通報まで約50分かかっている。姫路市消防局は速やかな通報を義務付けた石油コンビナート等災害防止法に違反した可能性もあるとして、経緯についても調べる。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:圧力上昇、制御不能に タンク破損か <神戸新聞NEXT 2012/10/04 05:35>を編集
37人が死傷した日本触媒姫路製造所の爆発事故で、爆発直前にタンクが破損し、アクリル酸が流出したとみられることが2012/10/03、関係者への取材で分かった。
タンク内でアクリル酸の温度が急上昇する重合反応が著しく進み、高まった圧力でタンク本体に何らかの破損が生じていた可能性が高い。
爆発は2012/09/29 14:30ごろに発生。タンクから数十mの距離で活動した消防隊員などの証言では、爆発直前にタンクの底部から粘り気のある黄色い液体が流出。上部からは同様の液体が噴水のように噴き出していたという。
北海道大学触媒化学研究センター教授の大谷文章(触媒反応化学)はこの液体について「無色透明のアクリル酸が酸化し黄色に変色した」とし、「粘度が増したのも重合反応が起きた現れ」と指摘する。
日本触媒によると、爆発の約1時間半前には、従業員がタンク上部のベント(排出口)から白煙が上がるのを確認。この段階で、重合反応が始まっていたとみられる。
ベントは、タンク内部で高まった圧力を外部に逃がすために設置されており、大谷は「爆発前に液体がタンク外に流れ出たなら、ベントで圧力を放出できていない状態。温度と圧力が著しく上昇し、制御不能ではなかったか」としている。
事故では、通報を受けて活動中だった網干消防署消防副士長山本永浩(28)が爆発で飛び散った高温のアクリル酸を浴びて死亡。消防隊員や従業員、警察官ら計36人が負傷した。
姫路市消防局は2012/10/03、山本を2012/09/29付で2階級特進させ、消防司令補とした。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:異常現象?割れる判断 即通報か自力冷却 <神戸新聞NEXT 2012/10/03 15:30>を編集
37人が死傷した日本触媒姫路製造所での爆発事故。爆発の約1時間半前にタンクから上がった白煙が、法令で定める消防に通報すべき「異常現象」だったのか。その判断、認識をめぐり意見が割れている。
日本触媒は事態を「異例」としながらも異常現象だったかどうかについて明言を避けたまま。同業他社などからは「即座に通報すべき異常事態」とする意見がある一方、自助努力で冷却しようとした姿勢に一定の理解を示す関係者もいる。
日本触媒姫路製造所の事故では、2012/09/29 13:00ごろ、タンクから上がる白煙を従業員が確認。ホースで冷却活動に取りかかったが、姫路市消防局への通報は約50分後だった。
法令では「異常現象」を確認した場合、直ちに通報するよう義務付け、日本触媒は「出火」「爆発」「漏洩」「破損」「暴走反応等」のいずれかに該当した場合、通報することを内規で定める。「白煙」「蒸気」などの直接的な記載はなく、日本触媒は2012/09/30、最終的に「暴走反応等」に当たるとして通報したとの見方を示した。しかし、白煙を確認した段階での認識についてはあいまいな説明を繰り返している。
西日本でアクリル酸を製造するメーカーの担当者は「異常現象のとらえ方は多岐にわたる」と判断の難しさを説明。一方で、貯蔵タンクから白煙が上がる事態が起これば「温度上昇の可能性が高く、規定にかかわらず即座に通報する」と話した。
化学メーカーに勤務経験のある関西学院大理工学部教授の田辺陽(プロセス化学)は、約50分後の通報について「遅すぎる」と指摘しながら、「危険性や工程などは、消防隊員よりも従業員の方が詳しい。消防とのやりとりや到着までにかかる時間を考え、まず自分たちで暴走を防ごうと考えたのかもしれない」と話す。
一方、あるメーカー関係者は「消防を呼ぶと、経緯などの社内説明に膨大な労力がかかる。大ごとにならないよう、自助努力で収めようという潜在意識はある」と打ち明ける。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:アクリル酸100m超飛散か <神戸新聞NEXT 2012/10/03 05:17>を編集
日本触媒姫路製造所の爆発事故で、貯蔵タンクから飛散したアクリル酸は、タンクから100mル以上離れた地点まで達した可能性が高いことが2012/10/02、関係者への取材で分かった。事故では、冷却作業中の従業員や活動中の消防隊員、警察官計37人が死傷しており、高温のアクリル酸が広範囲に降り注いだとみられる。
爆発したのは、精製工程前のアクリル酸約60立方メートルを中間貯蔵するタンク。死亡した網干消防署員の山本永浩(28)は、タンクから十数m離れた地点でアクリル酸を浴び、さらに離れて活動中だったほかの消防隊員らも火傷を負った。
日本触媒は、アクリル酸の飛散などによる損害エリアを概算で約1万平方メートルと算出。捜査関係者によると、通報で現場に駆け付け、降り注いだアクリル酸で頭部にやけどを負い、入院中の網干警察署員は「(爆発したタンクからは)約150mは離れていたと思う」と話しているという。
また、軽傷を負った消防隊員は爆発音とともに、バレーボール大の炎が頭上を飛び越え、周囲は火の海になったと証言。タンク周辺には、アクリル酸やタンクの破片などが残されており、兵庫県警網干警察署捜査本部は、現場の安全確認ができ次第、現場検証で爆発の範囲や原因を調べる。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:社長、事故の核心触れず <神戸新聞NEXT 2012/10/02 07:30>を編集
姫路市網干区の爆発事故で37人の死傷者を出した日本触媒社長の池田全徳(59)が2012/10/01、事故後初めて会見した。
「安全が確認され次第、工場の操業を再開したい」と意欲を見せる一方、薬品タンクの管理状況や初動対応など事故の核心に触れる質問には「警察が捜査中なので」と繰り返すばかりで、一切答えなかった。
17時、大阪市内の本社で会見。紺色のスーツ姿で現れ、メモをちらちら見ながら「亡くなられた方のご冥福を祈り、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます」と深く頭を下げた。
出張先のアメリカで事故の一報を受け、急遽帰国。2012/10/01朝から視察した事故現場を振り返り、「まだ周囲に負傷者の脱ぎ捨てた服が散らばっていて、消防車が黒く焼けたまま残っていた」と目を伏せた。
記者から「遺族には面会したか」と問われると、「まだだが、ご遺族の意向を確かめて早期にうかがいたい」と返答。遺族や負傷者には「補償を含め、真摯に対応する」と述べた。
再稼働へ向けた取り組みに関しては、自社のシェアや国内外にある生産拠点の能力を紹介しつつ「停止命令が解除されれば再開したい」と冗舌に語った。
だが、話が事故の状況に及ぶと、一転して「捜査中なので差し控えたい」と言葉少なに。「タンクの温度管理は、誰がどんな頻度で行っていたのか」など、基本的な事実関係についても「答えられない」と繰り返した。
「大事故を起こした会社として、社会に対する説明責任は感じないか」と指摘されると、同席した専務執行役員 尾方洋介(63)が割って入り、「事実関係も含めて、捜査対象なので」とかたくなな姿勢を崩さなかった。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:通報遅れで被害拡大か <神戸新聞NEXT 2012/10/01 10:48>を編集
姫路市網干区興浜の日本触媒姫路製造所で、姫路市消防隊員1人が死亡、消防隊員や従業員ら30人以上が重軽傷を負った爆発事故で、日本触媒姫路製造所側が、爆発したタンクの白煙を確認してから通報するまで約50分かかり、消防への届出が遅れていたことが2012/09/30、分かった。
法令では、異常現象の認知時に迅速な通報が義務付けられており、届出の遅れが被害拡大につながった可能性がある。一方、兵庫県警捜査1課と網干警察署は2012/09/30、業務上過失致死傷の疑いで日本触媒姫路製造所を家宅捜索した。
姫路市消防局によると、日本触媒姫路製造所が、爆発したアクリル酸貯蔵タンクの白煙を確認したのは、2012/09/29 13:00ごろ。専用電話のホットラインで「アクリル酸の異常反応の可能性がある」と伝えてきたのが13:48だった。
日本触媒姫路製造所が対象となる「石油コンビナート等災害防止法」は、異常現象の発生時はただちに消防署に通報するよう義務付けるが、実際は通報まで約50分を要していた。
日本触媒姫路製造所は白煙の確認後、自衛防災隊が冷却作業に当たっていたが、通報を受けた姫路市消防局の先遣隊は到着時、「最悪の場合は爆発の危険性がある」と伝えられ、約30分後に爆発が起きたという。
姫路市消防局は「白煙は大災害の兆候。通報に時間がかかったのは問題」として、白煙発生時に通報を受け、冷却作業をしていれば、被害拡大を防げた可能性があったとの見解を示した。
日本触媒取締役専務執行役員の尾方洋介(63)も2012/09/30の会見で「(現場の従業員が)自分たちで冷却できると思ったのだろう。結果的には通報すべきだったと思う」と初動対応の不備を認めた。
一方、火災は2012/09/29午後の爆発から約25時間が経過した2012/09/30 15:30に鎮火した。兵庫県警によると、2012/09/30になって新たに消防隊員5人の軽傷が判明。消防隊員の負傷者は23人となり、重体の1人を含む従業員10人、警察官2人と合わせ、負傷者は計35人となった。
また、司法解剖の結果、死亡した網干消防署消防副士長、山本永浩(28)の死因は焼死と判明した。
◆「空白の50分」解明が鍵
「空白の50分間」に何があったのか。日本触媒姫路製造所の工場爆発は、タンク内の温度が上昇した「原因」究明と、異常を確認し消防に通報するまでの「初動」の解明が焦点になりそうだ。
日本触媒によると、2012/09/29 13:00ごろ、近くの管制室のオペレーターがタンク天井部のベント(排気口)から白煙が上がっているのを確認。60度で管理されているタンクからの白煙は「通常ではあり得ない」事態だ。
分子の結合に伴い発熱する重合反応がタンク内で起こったとみられるが、別の化合物を加える精製過程ではなく保存段階で、なぜ温度上昇したのかが分かっていない。
約20分後には製造課の数人がホースを使い、冷却作業を開始。だが、状況は改善せず、ホットラインで姫路市消防局へ通報したのは13:48。この約45分後、タンクが爆発した。仮に爆発しても、通報のタイミングや自衛防災隊による初動対応が適切であれば、これほど大きな被害にならなかった可能性が高い。
消防隊員ら37人が死傷した2012年の日本触媒姫路製造所(姫路市網干区興浜)の爆発事故で、業務上過失致死傷などの罪に問われた当時の日本触媒姫路製造所化成品製造部製造第2課長 本藤昌宏(62)ら3人の判決公判が2018/07/19、神戸地裁であった。小倉哲浩裁判長は「会社全体で安全管理の意識が希薄。大きな問題があった」と指摘し、本藤に禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
このほか判決では、
当時の製造第2課主任技術員 宗近史郎(61):禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑禁錮1年6月)
当時の製造第2課係員 明神英雄(49):禁錮8月、執行猶予3年(求刑禁錮1年)
法人としての日本触媒(大阪市):罰金50万円(求刑通り、労働安全衛生法違反)
判決によると、2012/09/29、高温で滞留させると爆発の危険性があるアクリル酸のタンクが爆発。3被告は、施設の能力向上テストでタンクにアクリル酸約60立方メートルを貯留し、温度管理などの注意義務があるのに対策を怠って爆発事故を起こし、姫路市消防局の消防隊員 山本永浩(当時28)を死亡させ、作業員らを負傷させた。
裁判長の小倉は、爆発したタンクでは、少なくとも1994年以降は内液の温度計がなく、2009年以降に過剰加熱を防ぐ調節機器が取り外された情報が組織で共有されず、25立方メートル以上の貯留で冷却効果を生む機器を稼働するルールも徹底されなかった点を問題視した。
課長の本藤、主任技術員の宗近を「無関心といってよい程に何らの注意も払わず放置し続け、稼働の重要性を周知しなかった」と批判し、係員の明神については「ルールの存在を忘れ、稼働させずにテストして過失責任があった」とした。
公判で無罪を主張した日本触媒は「判決を厳粛に受け止める」「再発防止を徹底する」などとするコメントを出した。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:消防初動隊員の9割死傷 姫路・工場爆発1週間 <神戸新聞 2012/10/06 07:00>を編集
焼け焦げた消防車などが残ったままになっている爆発事故現場周辺
死傷者37人を出した日本触媒姫路製造所(姫路市網干区興浜)の爆発事故で、タンクの爆発前に現場到着した姫路市消防局員29人のうち、約9割(86%)の25人が死傷していたことが2012/10/05、姫路市消防局への取材で分かった。負傷者搬送のため待機していた救急隊員3人も含まれ、現場が一時、壊滅的な状態だったことがうかがえる。
事故は2012/10/06で発生から1週間。広範囲に飛散したアクリル酸の除去作業に時間を要しており、兵庫県警の現場検証のめどは立っていない。
姫路市消防局は初動隊員のほとんどが死傷したことを重視。被害が拡大した原因究明に向け、出動した約160人に直接聞き取り、タンクに近づいた経緯や負傷した場所の特定などを進めている。
姫路市消防局によると、2012/09/29 13:50ごろ、日本触媒からの通報を受け、最寄りの網干消防署から死亡した山本永浩(28、2階級特進で消防司令補)ら5人が警戒出動した。その後、消防隊員21人が消防車など7台で出動、救急隊の3人も爆発前に到着したという。
消防隊員がタンクから15m前後に止めてあった日本触媒の放水車近くで準備作業中に突然、タンクが爆発。姫路市消防局の25人のほか、日本触媒従業員10人と網干警察署員2人が高温のアクリル酸を浴びたという。
消防庁によると、過去10年で消防隊員が火災現場で死傷したのは、2003/06の神戸市西区で起きた民家火災での4人死亡(重軽傷9人)が最悪という。今回は、死傷者数で神戸市の火災を上回る規模で、消防庁担当者は「負傷者数はここ10年で最悪。それ以前についてもこれだけの規模の被害は記憶にない」と話す。
一方、網干警察署に捜査本部を設置し、業務上過失致死傷容疑で捜査を進める兵庫県警は、日本触媒姫路製造所の家宅捜索に着手したほか、関係者からの事情聴取を始めている。
しかし、アクリル酸の除去方法がなかなか決まらず、タンクやパイプラインに残ったアクリル酸を抜く作業に時間がかかり、現場検証は実施できないまま。兵庫県警は「早くとも来週以降になる」としている。
また、姫路市消防局は2012/10/05、爆発事故で焼損した消防車両や資機材の購入などに約2.5億円の費用がかかることを明らかにした。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:通報遅れ・監視体制・温度上昇 立件向け重点捜査 <神戸新聞NEXT 2012/10/06 07:45>を編集
コンビナート爆発火災としては、記録が残る1973年以降、最悪の死傷者数となった日本触媒姫路製造所の爆発事故。白煙確認から消防通報に約50分要したこと、アクリル酸の温度上昇の要因、タンクの温度管理の監視体制などが捜査の焦点となる。
兵庫県警などによると、2012/09/29 13時頃、従業員がタンク上部から白煙が上がっているのを発見。13:50頃に姫路市消防局に通報があり、出動した消防隊員らが放水準備中の14:30頃、爆発が起こった。
焦点の一つは白煙発見から消防通報までの「空白の50分」。日本触媒も会見で「結果的に通報すべきだった」と初動対応の不備を認めている。
温度上昇については、タンク内でアクリル酸の分子が化学反応で次々と結合し、温度が急上昇する重合反応が起きた可能性を指摘する専門家も多い。
温度上昇を防ぐため、冷却装置や酸素濃度の調整などが行われており、この過程での異常の有無を確認する。また、温度管理では「通常は1日3回、タンクを巡回することになっていた」(日本触媒関係者)といい、監視体制が十分機能していたのかもポイントとなる。
日本触媒姫路製造所では1976年にもアクリル酸メチルのタンクが爆発する事故が発生。以降も4件の火災や薬品漏れがあり、姫路市消防局の指導を受けていた。
兵庫県警は事故原因の特定とともに、過去の事故経験などから爆発の危険性を予見できなかったのか、被害を回避する措置が取れなかったかなどの捜査を本格化させる。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:過去にも通報遅れか 火災や漏出4件 <神戸新聞NEXT 2012/10/04 15:50>を編集
37人が死傷した日本触媒姫路製造所(姫路市網干区興浜)の爆発事故で、1976/03にアクリル酸メチルのタンクが爆発した事故後、日本触媒姫路製造所では今回の事故を除き火災や薬品漏れが計4件起きていたことが2012/10/04、姫路市消防局への取材で分かった。
いずれも事故による直接の負傷者はいなかったとされるが、通報の遅れが疑われる事故もあったという。
姫路市消防局によると、日本触媒姫路製造所は石油コンビナート等災害防止法に基づく「特定事業所」に指定されているため、自衛防災隊が消し止めた火災でも消防への通報が義務付けられている。
4件の内訳は火災2件のほか、爆発と危険物漏洩が各1件だった。日本触媒姫路製造所は、1976/03の事故後、消防とのホットラインを開設。専用電話の受話器を上げると、姫路市消防局指令課と通話できるようにした。
しかし、半年後の1976/09に起きた液体ナフタリンの漏出事故では、専用電話による通報は発生の約1時間後だったとされる。
1996/09には専用容器に保管していたベンゼンガスの濃度が上昇して爆発。2002/10には製造所内の配線の一部を焦がす火災もあった。
2005/09には、高吸水性樹脂の粉末を包装する施設が燃え、消防が出動。無人施設から出火したことなどを受け、姫路市消防局が原因究明と再発防止を日本触媒に指導したという。
今回の事故をめぐっては、タンクの異変を従業員が把握した後、通報まで約50分かかっている。姫路市消防局は速やかな通報を義務付けた石油コンビナート等災害防止法に違反した可能性もあるとして、経緯についても調べる。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:圧力上昇、制御不能に タンク破損か <神戸新聞NEXT 2012/10/04 05:35>を編集
37人が死傷した日本触媒姫路製造所の爆発事故で、爆発直前にタンクが破損し、アクリル酸が流出したとみられることが2012/10/03、関係者への取材で分かった。
タンク内でアクリル酸の温度が急上昇する重合反応が著しく進み、高まった圧力でタンク本体に何らかの破損が生じていた可能性が高い。
爆発は2012/09/29 14:30ごろに発生。タンクから数十mの距離で活動した消防隊員などの証言では、爆発直前にタンクの底部から粘り気のある黄色い液体が流出。上部からは同様の液体が噴水のように噴き出していたという。
北海道大学触媒化学研究センター教授の大谷文章(触媒反応化学)はこの液体について「無色透明のアクリル酸が酸化し黄色に変色した」とし、「粘度が増したのも重合反応が起きた現れ」と指摘する。
日本触媒によると、爆発の約1時間半前には、従業員がタンク上部のベント(排出口)から白煙が上がるのを確認。この段階で、重合反応が始まっていたとみられる。
ベントは、タンク内部で高まった圧力を外部に逃がすために設置されており、大谷は「爆発前に液体がタンク外に流れ出たなら、ベントで圧力を放出できていない状態。温度と圧力が著しく上昇し、制御不能ではなかったか」としている。
事故では、通報を受けて活動中だった網干消防署消防副士長山本永浩(28)が爆発で飛び散った高温のアクリル酸を浴びて死亡。消防隊員や従業員、警察官ら計36人が負傷した。
姫路市消防局は2012/10/03、山本を2012/09/29付で2階級特進させ、消防司令補とした。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:異常現象?割れる判断 即通報か自力冷却 <神戸新聞NEXT 2012/10/03 15:30>を編集
37人が死傷した日本触媒姫路製造所での爆発事故。爆発の約1時間半前にタンクから上がった白煙が、法令で定める消防に通報すべき「異常現象」だったのか。その判断、認識をめぐり意見が割れている。
日本触媒は事態を「異例」としながらも異常現象だったかどうかについて明言を避けたまま。同業他社などからは「即座に通報すべき異常事態」とする意見がある一方、自助努力で冷却しようとした姿勢に一定の理解を示す関係者もいる。
日本触媒姫路製造所の事故では、2012/09/29 13:00ごろ、タンクから上がる白煙を従業員が確認。ホースで冷却活動に取りかかったが、姫路市消防局への通報は約50分後だった。
法令では「異常現象」を確認した場合、直ちに通報するよう義務付け、日本触媒は「出火」「爆発」「漏洩」「破損」「暴走反応等」のいずれかに該当した場合、通報することを内規で定める。「白煙」「蒸気」などの直接的な記載はなく、日本触媒は2012/09/30、最終的に「暴走反応等」に当たるとして通報したとの見方を示した。しかし、白煙を確認した段階での認識についてはあいまいな説明を繰り返している。
西日本でアクリル酸を製造するメーカーの担当者は「異常現象のとらえ方は多岐にわたる」と判断の難しさを説明。一方で、貯蔵タンクから白煙が上がる事態が起これば「温度上昇の可能性が高く、規定にかかわらず即座に通報する」と話した。
化学メーカーに勤務経験のある関西学院大理工学部教授の田辺陽(プロセス化学)は、約50分後の通報について「遅すぎる」と指摘しながら、「危険性や工程などは、消防隊員よりも従業員の方が詳しい。消防とのやりとりや到着までにかかる時間を考え、まず自分たちで暴走を防ごうと考えたのかもしれない」と話す。
一方、あるメーカー関係者は「消防を呼ぶと、経緯などの社内説明に膨大な労力がかかる。大ごとにならないよう、自助努力で収めようという潜在意識はある」と打ち明ける。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:アクリル酸100m超飛散か <神戸新聞NEXT 2012/10/03 05:17>を編集
日本触媒姫路製造所の爆発事故で、貯蔵タンクから飛散したアクリル酸は、タンクから100mル以上離れた地点まで達した可能性が高いことが2012/10/02、関係者への取材で分かった。事故では、冷却作業中の従業員や活動中の消防隊員、警察官計37人が死傷しており、高温のアクリル酸が広範囲に降り注いだとみられる。
爆発したのは、精製工程前のアクリル酸約60立方メートルを中間貯蔵するタンク。死亡した網干消防署員の山本永浩(28)は、タンクから十数m離れた地点でアクリル酸を浴び、さらに離れて活動中だったほかの消防隊員らも火傷を負った。
日本触媒は、アクリル酸の飛散などによる損害エリアを概算で約1万平方メートルと算出。捜査関係者によると、通報で現場に駆け付け、降り注いだアクリル酸で頭部にやけどを負い、入院中の網干警察署員は「(爆発したタンクからは)約150mは離れていたと思う」と話しているという。
また、軽傷を負った消防隊員は爆発音とともに、バレーボール大の炎が頭上を飛び越え、周囲は火の海になったと証言。タンク周辺には、アクリル酸やタンクの破片などが残されており、兵庫県警網干警察署捜査本部は、現場の安全確認ができ次第、現場検証で爆発の範囲や原因を調べる。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:社長、事故の核心触れず <神戸新聞NEXT 2012/10/02 07:30>を編集
姫路市網干区の爆発事故で37人の死傷者を出した日本触媒社長の池田全徳(59)が2012/10/01、事故後初めて会見した。
「安全が確認され次第、工場の操業を再開したい」と意欲を見せる一方、薬品タンクの管理状況や初動対応など事故の核心に触れる質問には「警察が捜査中なので」と繰り返すばかりで、一切答えなかった。
17時、大阪市内の本社で会見。紺色のスーツ姿で現れ、メモをちらちら見ながら「亡くなられた方のご冥福を祈り、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます」と深く頭を下げた。
出張先のアメリカで事故の一報を受け、急遽帰国。2012/10/01朝から視察した事故現場を振り返り、「まだ周囲に負傷者の脱ぎ捨てた服が散らばっていて、消防車が黒く焼けたまま残っていた」と目を伏せた。
記者から「遺族には面会したか」と問われると、「まだだが、ご遺族の意向を確かめて早期にうかがいたい」と返答。遺族や負傷者には「補償を含め、真摯に対応する」と述べた。
再稼働へ向けた取り組みに関しては、自社のシェアや国内外にある生産拠点の能力を紹介しつつ「停止命令が解除されれば再開したい」と冗舌に語った。
だが、話が事故の状況に及ぶと、一転して「捜査中なので差し控えたい」と言葉少なに。「タンクの温度管理は、誰がどんな頻度で行っていたのか」など、基本的な事実関係についても「答えられない」と繰り返した。
「大事故を起こした会社として、社会に対する説明責任は感じないか」と指摘されると、同席した専務執行役員 尾方洋介(63)が割って入り、「事実関係も含めて、捜査対象なので」とかたくなな姿勢を崩さなかった。
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日本触媒 姫路製造所 爆発事故:通報遅れで被害拡大か <神戸新聞NEXT 2012/10/01 10:48>を編集
姫路市網干区興浜の日本触媒姫路製造所で、姫路市消防隊員1人が死亡、消防隊員や従業員ら30人以上が重軽傷を負った爆発事故で、日本触媒姫路製造所側が、爆発したタンクの白煙を確認してから通報するまで約50分かかり、消防への届出が遅れていたことが2012/09/30、分かった。
法令では、異常現象の認知時に迅速な通報が義務付けられており、届出の遅れが被害拡大につながった可能性がある。一方、兵庫県警捜査1課と網干警察署は2012/09/30、業務上過失致死傷の疑いで日本触媒姫路製造所を家宅捜索した。
姫路市消防局によると、日本触媒姫路製造所が、爆発したアクリル酸貯蔵タンクの白煙を確認したのは、2012/09/29 13:00ごろ。専用電話のホットラインで「アクリル酸の異常反応の可能性がある」と伝えてきたのが13:48だった。
日本触媒姫路製造所が対象となる「石油コンビナート等災害防止法」は、異常現象の発生時はただちに消防署に通報するよう義務付けるが、実際は通報まで約50分を要していた。
日本触媒姫路製造所は白煙の確認後、自衛防災隊が冷却作業に当たっていたが、通報を受けた姫路市消防局の先遣隊は到着時、「最悪の場合は爆発の危険性がある」と伝えられ、約30分後に爆発が起きたという。
姫路市消防局は「白煙は大災害の兆候。通報に時間がかかったのは問題」として、白煙発生時に通報を受け、冷却作業をしていれば、被害拡大を防げた可能性があったとの見解を示した。
日本触媒取締役専務執行役員の尾方洋介(63)も2012/09/30の会見で「(現場の従業員が)自分たちで冷却できると思ったのだろう。結果的には通報すべきだったと思う」と初動対応の不備を認めた。
一方、火災は2012/09/29午後の爆発から約25時間が経過した2012/09/30 15:30に鎮火した。兵庫県警によると、2012/09/30になって新たに消防隊員5人の軽傷が判明。消防隊員の負傷者は23人となり、重体の1人を含む従業員10人、警察官2人と合わせ、負傷者は計35人となった。
また、司法解剖の結果、死亡した網干消防署消防副士長、山本永浩(28)の死因は焼死と判明した。
◆「空白の50分」解明が鍵
「空白の50分間」に何があったのか。日本触媒姫路製造所の工場爆発は、タンク内の温度が上昇した「原因」究明と、異常を確認し消防に通報するまでの「初動」の解明が焦点になりそうだ。
日本触媒によると、2012/09/29 13:00ごろ、近くの管制室のオペレーターがタンク天井部のベント(排気口)から白煙が上がっているのを確認。60度で管理されているタンクからの白煙は「通常ではあり得ない」事態だ。
分子の結合に伴い発熱する重合反応がタンク内で起こったとみられるが、別の化合物を加える精製過程ではなく保存段階で、なぜ温度上昇したのかが分かっていない。
約20分後には製造課の数人がホースを使い、冷却作業を開始。だが、状況は改善せず、ホットラインで姫路市消防局へ通報したのは13:48。この約45分後、タンクが爆発した。仮に爆発しても、通報のタイミングや自衛防災隊による初動対応が適切であれば、これほど大きな被害にならなかった可能性が高い。
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