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経済の死角
地震予知の第一人者・東海大学教授 長尾年恭「首都圏直下型M8」「東海地震M9」はまもなく来るものと覚悟してください
<2012年01月18日(水) 週刊現代「週刊現代」2012年1月21日号>を編集
「二度とこんな悲劇は見たくない」。3・11には誰もがそう思った。だが、いまこの瞬間にも、列島直下では異変が進行している。この世の終わりに見えた大震災すら、実は〝始まり〟に過ぎないのだ。
来る時期が早まった
「今後、首都圏直下型を含めて、大きな地震が複数回、起きる可能性があります。2011/03/11の東日本大震災以来・・・・・・というより、正確には1995/01/17の阪神淡路大震災から、日本列島は地震活動が活発になっているのです」
こう語るのは、東海大学海洋研究所地震予知研究センター長 教授の長尾年恭である。長尾の専門は、固体地球物理学、地震電磁気学、地震防災など。大学院在学中に南極越冬隊などに参加し、その後、金沢大学助手などを経て、現職に就いた。地震予知研究の第一人者の一人であり、前兆現象の研究者としても知られる。その長尾が、「近い将来、大地震が起きる可能性がある」として、警告を発している場所はどこなのか。
「東日本大震災により、いくつかの大地震の発生時期が、早まったと考えなければなりません。まず、3・11大震災の震源域の北と南、岩盤が割れ残ったと思われる、青森沖と房総沖です。これらの場所で地震が起きれば、M8級を覚悟する必要があります」
よく知られているように、巨大地震が発生した場合、数ヵ月から数年以内に、その隣接域で、同規模の大地震が発生することが多い。2004年のスマトラ沖地震の例が有名だが、最初の地震によって周囲の地殻の歪みが拡大し、連鎖的に大地震が発生してしまうのだ。
「ある場所が地震で動けば、動いていないその隣の地域には、当然、歪みが溜まります。これは単なる力学的な問題の結果に過ぎず、高確率で、その隣接地域でも地震が起きます」
青森沖でも房総沖でも、M8級の地震の場合は津波が発生する可能性を考慮しなければならない。もし房総沖地震で津波が発生した場合、千葉県の太平洋岸では、3・11に匹敵する5~6mの津波を覚悟する必要があるという。また、震源地に近い首都圏も、無傷では済まない。房総沖地震の際、東京近郊では震度6程度の揺れに襲われる場所が出る恐れがあり、千葉県浦安市など東京湾沿岸部では、またもや液状化現象の被害が出ることが予想される。
しかし、東京にとってもっと恐ろしいのは、阪神淡路大震災と同規模になると予想される、首都圏直下型地震である。
「1855年の安政江戸地震以来、首都圏では直下型の大地震が起きていません。関東平野の下には活断層が存在する可能性が高い。活断層は航空写真で確認できたものしか認められないので、厚い堆積層に覆われたこの地域では、見つかっていないだけなのです。首都直下型地震がいつ来るのか、私の個人的なフィーリングでは、少なくとも10年以内に起きる可能性が高いと思います。地震により首都機能がマヒした場合、経済に与える打撃は凄まじいものになるでしょうから、日本が耐えられるか大変憂慮しています」
首都圏では他に、小田原付近において、およそ70年周期で地震が起きていることも、古文書などで確認されているという。1923年の関東大震災を考えると、それからすでに90年近くが経過している。そういう意味でも、首都圏及び関東近郊での直下型地震の可能性は、非常に高いといわざるを得ない。
一方、3・11で壊滅的な被害を受けてしまった東北地方だが、一度の大地震で危機が去ったわけではなく、今後も強い警戒が必要だと長尾氏は警告する。
「日本列島から300~400kmの沖合で発生するアウターライズ地震による津波の再襲来に備えなければなりません。これも10年スパンで考えれば、『100%起きる』と考えるべき地震です」
■100%の確率
東日本大震災では、日本海溝と東北地方の間の場所が震源域となった。東から押し寄せる太平洋プレートが、日本海溝の底で西側の北米プレートに潜り込んでいるため、押し込まれている側=北米プレートに近いほう(東北地方)で、断層の破壊が起きたのだ。ところが、3・11の巨大地震のエネルギーはM9とあまりに巨大だったので、日本海溝を挟んだ反対側の場所(太平洋プレート側)にも歪みのエネルギーが蓄積されている。このエネルギーが解放された時におきるのが「アウターライズ地震」と呼ばれるものだ。
「この地震はM8クラスですが、震源域が沖合のため揺れによる被害はほとんど出ません。しかし、東北地方には10m級の津波が押し寄せる危険性があります。米国は、このアウターライズ地震の発生を非常に危惧しています。津波の再襲来で福島第一原発4号機の燃料保管プールが崩壊したら、太平洋全域が壊滅的な打撃を受けてしまう。だから米国政府は、日本政府に福島第一の補強補修工事を早急に進めるよう、強く要請しているのです」
房総沖に青森沖、アウターライズ地震に、首都直下型地震。これらの地震が近い将来起きる可能性は、残念ながら極めて高い。
繰り返すが、M9の超巨大地震がいったん起きてしまった以上、そのとてつもないエネルギーは、確実に日本列島周辺の地殻や断層に、大きなストレスとなって残ったままだからだ。純粋に物理学の観点からしても、不自然に溜められた歪みのエネルギーは、そのうち必ず解放され、大地震が発生することになる。
長尾はさらに、こう指摘する。
「もうひとつ、3・11により発生が早まったと考えなければならないのが、東海地震です。今度の東海地震は非常に大きなものになると思います。その規模はM9~9.5に達するとも言われています。過去の超巨大東海地震の記録を調べると、ほぼ2000年周期で起きているのですが、現在は、前回の地震から約2000年なのです。これも私の個人的見解ですが、10~20年以内には起きる可能性があると見なければなりません」
M9クラスの超巨大東海地震が起きた場合、本州の太平洋沿岸部には、10~15mの大津波が押し寄せると想定される。東海地震の震源域の真上には、停止中とはいえ浜岡原発があるのは言うまでもない。加えて、東海地方を中心とした地域は、人口密度も経済規模も、東北地方よりさらに巨大だ。日本経済に及ぼす影響は、さらに甚大なレベルに達することが予想される。
■大地震の後に本当の危機が
しかし、長尾はもしも東海地震が発生すれば、破局的事態は、それだけでは済まない可能性があると警告する。
「東海地震が起きた場合、かなりの高率で富士山が噴火するでしょう。日本における災害では、地震以上に火山の噴火が怖い。たとえば、阿蘇山はかつて、破局的な大噴火を起こしていますが、もしそれが起きれば、九州の動植物はすべて絶滅します。火山の大噴火はそれほど恐ろしい被害をもたらすのです。実は富士山は、人間にたとえると二十歳くらいの若い火山なのですよ。阪神淡路大震災から東日本大震災と、日本列島全体が活動期に入ってきた中で、富士山も同じく活動期に入ったと見たほうがいい」
直近の富士山の噴火は、1707年のこと。この時は、まずM8.5級の宝永地震が発生し、その49日後に富士山が大噴火、宝永火口を形成した。
「活火山であるはずが300年も噴火しなかったこと自体、異常だと考えたほうがいい。東海地震後に富士山は間違いなく噴火すると考えるべきです。それは地震が起きた後、おそらく数十日~2年以内でしょう。地震の揺れ自体は長くても3分程度で終わります。しかし、ひとたび富士山が噴火すれば、それが数ヵ月は続くことになる。火山灰により、飛行機の離発着が不可能になるなど、現代のエレクトロニクスはほとんど使えなくなる。経済的に見ても、いったいどれほどの被害が出るのか見当がつきません」
「その時」は確実に来る。そしてそれは、明日かもしれない。
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# 極端だが、あれだけ大きな揺れがあったんだから、日本列島はあちこちガタがきている。何が起きてもおかしくない。
地震予知の第一人者・東海大学教授 長尾年恭「首都圏直下型M8」「東海地震M9」はまもなく来るものと覚悟してください
<2012年01月18日(水) 週刊現代「週刊現代」2012年1月21日号>を編集
「二度とこんな悲劇は見たくない」。3・11には誰もがそう思った。だが、いまこの瞬間にも、列島直下では異変が進行している。この世の終わりに見えた大震災すら、実は〝始まり〟に過ぎないのだ。
来る時期が早まった
「今後、首都圏直下型を含めて、大きな地震が複数回、起きる可能性があります。2011/03/11の東日本大震災以来・・・・・・というより、正確には1995/01/17の阪神淡路大震災から、日本列島は地震活動が活発になっているのです」
こう語るのは、東海大学海洋研究所地震予知研究センター長 教授の長尾年恭である。長尾の専門は、固体地球物理学、地震電磁気学、地震防災など。大学院在学中に南極越冬隊などに参加し、その後、金沢大学助手などを経て、現職に就いた。地震予知研究の第一人者の一人であり、前兆現象の研究者としても知られる。その長尾が、「近い将来、大地震が起きる可能性がある」として、警告を発している場所はどこなのか。
「東日本大震災により、いくつかの大地震の発生時期が、早まったと考えなければなりません。まず、3・11大震災の震源域の北と南、岩盤が割れ残ったと思われる、青森沖と房総沖です。これらの場所で地震が起きれば、M8級を覚悟する必要があります」
よく知られているように、巨大地震が発生した場合、数ヵ月から数年以内に、その隣接域で、同規模の大地震が発生することが多い。2004年のスマトラ沖地震の例が有名だが、最初の地震によって周囲の地殻の歪みが拡大し、連鎖的に大地震が発生してしまうのだ。
「ある場所が地震で動けば、動いていないその隣の地域には、当然、歪みが溜まります。これは単なる力学的な問題の結果に過ぎず、高確率で、その隣接地域でも地震が起きます」
青森沖でも房総沖でも、M8級の地震の場合は津波が発生する可能性を考慮しなければならない。もし房総沖地震で津波が発生した場合、千葉県の太平洋岸では、3・11に匹敵する5~6mの津波を覚悟する必要があるという。また、震源地に近い首都圏も、無傷では済まない。房総沖地震の際、東京近郊では震度6程度の揺れに襲われる場所が出る恐れがあり、千葉県浦安市など東京湾沿岸部では、またもや液状化現象の被害が出ることが予想される。
しかし、東京にとってもっと恐ろしいのは、阪神淡路大震災と同規模になると予想される、首都圏直下型地震である。
「1855年の安政江戸地震以来、首都圏では直下型の大地震が起きていません。関東平野の下には活断層が存在する可能性が高い。活断層は航空写真で確認できたものしか認められないので、厚い堆積層に覆われたこの地域では、見つかっていないだけなのです。首都直下型地震がいつ来るのか、私の個人的なフィーリングでは、少なくとも10年以内に起きる可能性が高いと思います。地震により首都機能がマヒした場合、経済に与える打撃は凄まじいものになるでしょうから、日本が耐えられるか大変憂慮しています」
首都圏では他に、小田原付近において、およそ70年周期で地震が起きていることも、古文書などで確認されているという。1923年の関東大震災を考えると、それからすでに90年近くが経過している。そういう意味でも、首都圏及び関東近郊での直下型地震の可能性は、非常に高いといわざるを得ない。
一方、3・11で壊滅的な被害を受けてしまった東北地方だが、一度の大地震で危機が去ったわけではなく、今後も強い警戒が必要だと長尾氏は警告する。
「日本列島から300~400kmの沖合で発生するアウターライズ地震による津波の再襲来に備えなければなりません。これも10年スパンで考えれば、『100%起きる』と考えるべき地震です」
■100%の確率
東日本大震災では、日本海溝と東北地方の間の場所が震源域となった。東から押し寄せる太平洋プレートが、日本海溝の底で西側の北米プレートに潜り込んでいるため、押し込まれている側=北米プレートに近いほう(東北地方)で、断層の破壊が起きたのだ。ところが、3・11の巨大地震のエネルギーはM9とあまりに巨大だったので、日本海溝を挟んだ反対側の場所(太平洋プレート側)にも歪みのエネルギーが蓄積されている。このエネルギーが解放された時におきるのが「アウターライズ地震」と呼ばれるものだ。
「この地震はM8クラスですが、震源域が沖合のため揺れによる被害はほとんど出ません。しかし、東北地方には10m級の津波が押し寄せる危険性があります。米国は、このアウターライズ地震の発生を非常に危惧しています。津波の再襲来で福島第一原発4号機の燃料保管プールが崩壊したら、太平洋全域が壊滅的な打撃を受けてしまう。だから米国政府は、日本政府に福島第一の補強補修工事を早急に進めるよう、強く要請しているのです」
房総沖に青森沖、アウターライズ地震に、首都直下型地震。これらの地震が近い将来起きる可能性は、残念ながら極めて高い。
繰り返すが、M9の超巨大地震がいったん起きてしまった以上、そのとてつもないエネルギーは、確実に日本列島周辺の地殻や断層に、大きなストレスとなって残ったままだからだ。純粋に物理学の観点からしても、不自然に溜められた歪みのエネルギーは、そのうち必ず解放され、大地震が発生することになる。
長尾はさらに、こう指摘する。
「もうひとつ、3・11により発生が早まったと考えなければならないのが、東海地震です。今度の東海地震は非常に大きなものになると思います。その規模はM9~9.5に達するとも言われています。過去の超巨大東海地震の記録を調べると、ほぼ2000年周期で起きているのですが、現在は、前回の地震から約2000年なのです。これも私の個人的見解ですが、10~20年以内には起きる可能性があると見なければなりません」
M9クラスの超巨大東海地震が起きた場合、本州の太平洋沿岸部には、10~15mの大津波が押し寄せると想定される。東海地震の震源域の真上には、停止中とはいえ浜岡原発があるのは言うまでもない。加えて、東海地方を中心とした地域は、人口密度も経済規模も、東北地方よりさらに巨大だ。日本経済に及ぼす影響は、さらに甚大なレベルに達することが予想される。
■大地震の後に本当の危機が
しかし、長尾はもしも東海地震が発生すれば、破局的事態は、それだけでは済まない可能性があると警告する。
「東海地震が起きた場合、かなりの高率で富士山が噴火するでしょう。日本における災害では、地震以上に火山の噴火が怖い。たとえば、阿蘇山はかつて、破局的な大噴火を起こしていますが、もしそれが起きれば、九州の動植物はすべて絶滅します。火山の大噴火はそれほど恐ろしい被害をもたらすのです。実は富士山は、人間にたとえると二十歳くらいの若い火山なのですよ。阪神淡路大震災から東日本大震災と、日本列島全体が活動期に入ってきた中で、富士山も同じく活動期に入ったと見たほうがいい」
直近の富士山の噴火は、1707年のこと。この時は、まずM8.5級の宝永地震が発生し、その49日後に富士山が大噴火、宝永火口を形成した。
「活火山であるはずが300年も噴火しなかったこと自体、異常だと考えたほうがいい。東海地震後に富士山は間違いなく噴火すると考えるべきです。それは地震が起きた後、おそらく数十日~2年以内でしょう。地震の揺れ自体は長くても3分程度で終わります。しかし、ひとたび富士山が噴火すれば、それが数ヵ月は続くことになる。火山灰により、飛行機の離発着が不可能になるなど、現代のエレクトロニクスはほとんど使えなくなる。経済的に見ても、いったいどれほどの被害が出るのか見当がつきません」
「その時」は確実に来る。そしてそれは、明日かもしれない。
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# 極端だが、あれだけ大きな揺れがあったんだから、日本列島はあちこちガタがきている。何が起きてもおかしくない。
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