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土地信託訴訟 兵庫県敗訴 知事「見通し甘かった」事業失敗 県民負担105億円 <2011/11/18 読売新聞>を編集
兵庫県と土地信託を結んで加西市の県有地にスポーツ施設を整備した信託銀行2行が、事業を巡る借金計78億7900万円の返済費用を補償するよう兵庫県に求めた訴訟で、兵庫県に全額の支払いを命じた2011/11/17の最高裁判決。兵庫県は「2行は事業失敗の責任を取っていない」などと不満をあらわにするが、問題の背景には、バブル経済下で事業の成功を過信した兵庫県の見通しの甘さもあり、これらのツケとして県民は、利息を含めて105億円の負担を背負うことになった。
加西市の青野運動公苑は、ゴルフ場、テニスコート、コテージなどを備えたスポーツ施設として1991年にオープンした。
建設したのは、三菱UFJ信託銀行と住友信託銀行。兵庫県は1987年、2行と土地信託契約を締結し、2015年までの28年間で24億円の配当を受け取る計画だった。しかし、バブル経済の崩壊や阪神淡路大震災の発生などで事業収支は悪化し、2行は兵庫県を相手に事業資金として借り入れた金融機関への返済費用などの補償を求めて提訴した。
2行の主張を全面的に認めた最高裁判決に対し、兵庫県は「事業は信託銀行に任せていた。相応のリスクを負担するのが筋」と反発する。しかし、事業が失敗した場合の損失補填の方法について明確なルールがなかったのも事実で、兵庫県幹部は「バブル経済の中で、事業は必ず成功するという前提で話し合われた面がある」と振り返る。兵庫県が2行に支払う総額は、利息を含めて105億4070万円に上る。
兵庫県知事の井戸は記者会見で県民負担を招いたことを陳謝した上で、「(兵庫)県の立場からすれば、資金調達力に課題があったから土地信託を活用した。見通しは甘かったが、当時の状況ではやむを得ない。(支払いは)財政に損失を与える規模ではない」と釈明した。
これに対し、市民オンブズマン兵庫 代表の森池豊武は「バブル期とはいえ、県民が負担を押しつけられる理由は全くなく、契約当時の責任者らが分担して負担すべきだ」と話した。
<メモ>
土地信託
土地の所有者が信託銀行などと契約を結び、建物の建設や賃貸、テナント募集などを担当してもらい、収益の一部を所有者に配当として還元する事業方式。1986年の地方自治法改正で公有地も対象となり、各地の自治体で広がった。一般的な投資信託などと同様、元本の保証はない。
◆バブル崩壊で頓挫◆
社団法人信託協会(東京都)によると、公有地の土地信託事業は制度が始まった1986~1995年度で42件。バブル経済の崩壊で多くの事業が頓挫し、1996年度以降はほとんど行われていないという。
土地信託事業で生じた負債の責任を巡り、自治体と銀行側との間で争われるケースは大阪でも起きている。大阪市は2009/10、約150億円の負債を抱えて売却されたオフィスビルに関し、杜撰な運営で損害が生じたとして、土地信託契約を結んでいた信託銀行を相手に約10億円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。逆に、別の複合ビルを巡っては契約相手のりそな銀行など4行から2010/03、約160億円の損失の支払いを求める訴えを起こされるなど、4件の訴訟が大阪地裁で継続中だ。
大阪大学教授(公共経済学)の赤井伸郎は「兵庫や大阪の訴訟は、契約当時に失敗を考えず、責任の所在が曖昧だったことが一因。今後、同様の事業を行うには、リスクと責任をきちんと事前に情報公開する必要があるだろう」と指摘する。
兵庫県と土地信託を結んで加西市の県有地にスポーツ施設を整備した信託銀行2行が、事業を巡る借金計78億7900万円の返済費用を補償するよう兵庫県に求めた訴訟で、兵庫県に全額の支払いを命じた2011/11/17の最高裁判決。兵庫県は「2行は事業失敗の責任を取っていない」などと不満をあらわにするが、問題の背景には、バブル経済下で事業の成功を過信した兵庫県の見通しの甘さもあり、これらのツケとして県民は、利息を含めて105億円の負担を背負うことになった。
加西市の青野運動公苑は、ゴルフ場、テニスコート、コテージなどを備えたスポーツ施設として1991年にオープンした。
建設したのは、三菱UFJ信託銀行と住友信託銀行。兵庫県は1987年、2行と土地信託契約を締結し、2015年までの28年間で24億円の配当を受け取る計画だった。しかし、バブル経済の崩壊や阪神淡路大震災の発生などで事業収支は悪化し、2行は兵庫県を相手に事業資金として借り入れた金融機関への返済費用などの補償を求めて提訴した。
2行の主張を全面的に認めた最高裁判決に対し、兵庫県は「事業は信託銀行に任せていた。相応のリスクを負担するのが筋」と反発する。しかし、事業が失敗した場合の損失補填の方法について明確なルールがなかったのも事実で、兵庫県幹部は「バブル経済の中で、事業は必ず成功するという前提で話し合われた面がある」と振り返る。兵庫県が2行に支払う総額は、利息を含めて105億4070万円に上る。
兵庫県知事の井戸は記者会見で県民負担を招いたことを陳謝した上で、「(兵庫)県の立場からすれば、資金調達力に課題があったから土地信託を活用した。見通しは甘かったが、当時の状況ではやむを得ない。(支払いは)財政に損失を与える規模ではない」と釈明した。
これに対し、市民オンブズマン兵庫 代表の森池豊武は「バブル期とはいえ、県民が負担を押しつけられる理由は全くなく、契約当時の責任者らが分担して負担すべきだ」と話した。
<メモ>
土地信託
土地の所有者が信託銀行などと契約を結び、建物の建設や賃貸、テナント募集などを担当してもらい、収益の一部を所有者に配当として還元する事業方式。1986年の地方自治法改正で公有地も対象となり、各地の自治体で広がった。一般的な投資信託などと同様、元本の保証はない。
◆バブル崩壊で頓挫◆
社団法人信託協会(東京都)によると、公有地の土地信託事業は制度が始まった1986~1995年度で42件。バブル経済の崩壊で多くの事業が頓挫し、1996年度以降はほとんど行われていないという。
土地信託事業で生じた負債の責任を巡り、自治体と銀行側との間で争われるケースは大阪でも起きている。大阪市は2009/10、約150億円の負債を抱えて売却されたオフィスビルに関し、杜撰な運営で損害が生じたとして、土地信託契約を結んでいた信託銀行を相手に約10億円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。逆に、別の複合ビルを巡っては契約相手のりそな銀行など4行から2010/03、約160億円の損失の支払いを求める訴えを起こされるなど、4件の訴訟が大阪地裁で継続中だ。
大阪大学教授(公共経済学)の赤井伸郎は「兵庫や大阪の訴訟は、契約当時に失敗を考えず、責任の所在が曖昧だったことが一因。今後、同様の事業を行うには、リスクと責任をきちんと事前に情報公開する必要があるだろう」と指摘する。
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