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遠州天竜舟下り:当時の船頭主任 無罪確定へ 天竜川転覆事故 <2017年10月3日 中日新聞>を編集
◆上告断念の方針
2011年に浜松市の天竜川で川下り船が転覆し乗客ら5人が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社 天竜浜名湖鉄道 の当時の船頭主任(68)を逆転無罪とした東京高裁判決について、東京高検が上告を断念する方向で最終調整していることが、関係者への取材で分かった。無罪が確定する見通し。
当時の船頭主任は事故の際に船に乗っておらず、2017/09/20の東京高裁判決は「転覆の現実的な危険性を認識できたとは考え難い」と指摘。東京高検は、上告審で無罪の結論を覆すのは難しいと判断した模様だ。上告期限は2017/10/04で、近く最終決定する。
2017/01の一審 静岡地裁判決は「他の船頭を指導・訓練する義務を怠った」として禁錮2年6月執行猶予4年を言い渡していた。
当時の営業課長と、実際に舵を取った当時の船頭(いずれも業務上過失致死罪で起訴)は一審で起訴内容を認め、いずれも執行猶予付きの有罪判決が確定している。
判決によると、事故は2011/08/17に発生。客21人を乗せた船が川の流れで回転して岩壁に衝突し転覆、2~80歳の客4人と、操船していた船頭の男性が死亡した。
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遠州天竜舟下り、63年の歴史に幕 天竜浜名湖鉄道が廃止届を提出 <中日新聞 2012/03/02>を編集
2011/08に死者5人を出した遠州天竜舟下り船転覆事故で、受託運航する天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)社長の鈴木茂樹が2012/03/01、国土交通省中部運輸局(名古屋市中区)を訪れ、川下り事業の廃止届を提出した。廃止となる航路は天竜川の米沢~二俣の6.2kmで、廃止日は2012/03/31。委託主の天竜観光協会は既に事業継続を断念しており、63年続いた伝統が途絶える。
中部運輸局長の甲斐正彰に廃止届を手渡した鈴木は「ご心配、ご迷惑をおかけしました」と陳謝。甲斐は「引き続き遺族への対応と運輸安全委員会の調査へ協力をお願いしたい」と述べた。
提出後に鈴木は「重大な事故を起こし、天竜の観光事業をこうした形で終わらせることは非常に残念」と話した。川下りについては「イベントとして生かしてもらいたい」とも述べたが、関与しない意向を示した。約20人の船頭には契約の打切りを説明し、了承を得ているという。
事故を受けて天竜浜名湖鉄道は2011/10、中部運輸局から安全確保命令を受けた。安全管理に必要な費用や鉄道事業への専念を理由に、2011/11に川下りからの撤退を表明していた。
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静岡県 天竜浜名湖鉄道へ職員を派遣 3月中に役員選任見通し <静岡新聞 2012/02/28 08:19>を編集
静岡県は2012/02/27、天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)に、交通基盤部 空港局 空港地域連携課 渉外調整班長 林聖久(46)を派遣すると発表した。2012/02/29付で文化・観光部交流局 交通政策課 専門監を退職し、2012/03/01付で天竜浜名湖鉄道 営業管理部付 社員となる。2012/03中の臨時株主総会で役員に選任される見通し。静岡県の現職職員派遣は社長の鈴木茂樹(52)に続いて2人目。静岡県によると、現職職員の複数派遣は初めて。
林は掛川市(旧大須賀町)出身。1988/04に静岡県に採用され、主に総務、空港部勤務が長い。天竜浜名湖鉄道の地元事情に明るく、組織管理の経験もあることから選ばれた。
林は静岡新聞社の取材に「新社長をしっかり支え、地元に愛される鉄道の安全安心のために力を注ぎたい」と話した。
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天竜浜名湖鉄道社長に前・静岡県職員の鈴木氏 名倉氏の退任了承 <静岡新聞 2012/02/09 14:55>を編集
天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は2012/02/09午前、定時取締役会を浜松市中区で開いた。2011/08、受託運営している川下り事業で5人が死亡した船の転覆事故を受け辞意を固めていた社長の名倉健三(64)が退任を表明し、了承された。後任の社長に専務の鈴木茂樹(51、前・静岡県 文化観光部 交流局 交通政策課長)が就任した。名倉の退任により常勤取締役は鈴木だけになるが、取締役会長で静岡県知事の川勝平太は常勤取締役を2011年度中に静岡県から派遣する考えを表明した。
取締役会は非公開で開催。終了後、名倉、鈴木、川勝らが取材に応じた。説明によると、新年度を前に人心刷新が必要と判断した。名倉は退任後も嘱託として引き続き遺族らへの対応を続けていく意向を示した。
川勝は、民間経営者を交えて天竜浜名湖鉄道の経営状況を分析し、中長期の経営戦略を立てる検討会の立ち上げを提案し、了承されたことも明かした。
鈴木は「官民の知恵を合わせ、名倉が取り組んできた経営改善を受け継いでいく」と語った。
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川下りの廃止決定…天竜川、引き継ぎ手なく <2012/01/20 11:54 読売新聞>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、川下り事業の存廃などを考える天竜舟下り検討委員会の第2回会合が2012/01/19、浜松市天竜区役所で開かれ、事業の廃止を決定した。
事業を受託していた天竜浜名湖鉄道が2012/02末、国交省に廃止届を提出し、正式決定する見込み。
検討会には、事業の委託元である天竜観光協会幹部の他、浜松市職員や地元住民らが出席。協会は、浜松市内の民間企業4社に事業の引継ぎを打診したが断られたため、引受け手探しを断念したことを明らかにし、「事業は廃止せざるを得ない」と報告した。
委員からは「別の団体を発足させて運営しては」との意見も出たが、協会は「安全管理体制を構築するためのハードルが高く、資金的にも人材的にも難しい」と説明、廃止の方針が了承された。
今後、事業を引き継ぐ会社が現れたとしても、協会は広報・宣伝活動に専念し、委託運営の形は取らない。
検討会は今後、イベントとしての川下り開催を含め、天竜川を利用した地域活性化策について話し合っていく。
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天竜川下り廃止へ 引き受け先なく観光協会が再開断念 <中日新聞 2012/01/20>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、事業主の天竜観光協会(浜松市天竜区、会長:萩田幹雄)は2012/01/19、営業運航の再開を断念することを明らかにした。受託運航していた天竜浜名湖鉄道が事業撤退を決めた後、新たな引受け手が見つからなかった。協会単独での運航も資金や人材面から困難と判断し、63年続いた川下り事業に幕を下ろす。
天竜区内の各種団体とつくる 天竜舟下り検討委員会の第2回会合が2012/01/19開かれ、天竜観光協会が内部検討の結果を報告した。
副会長の鈴田全弘は「安全管理体制のハードルは高く、引受け手を探す努力をしたが現在まで見つからない。協会単独でやっていくのは、会費のみで運営する法人格のない任意団体としては困難だ」と説明した。
天竜観光協会によると、浜松市内の民間企業4社に運航を打診し、断られた。2012/01/17に理事会を開き、川下り撤退の結論を出した。今後、引受け手が現れた場合も、協会は運航にかかわらない。
副会長で検討委員会委員長の神谷征男は報道陣に「川下りの灯は消したくない思いはある。実行委員会形式でイベント的に行うことも考えられ、その場合は一員として協力する」と話した。
天竜浜名湖鉄道は2010/11、事業受託の返上を決定。天竜観光協会は、自治会、商工会、漁協、天竜区などと検討委を立ち上げ、今後の方向を探っていた。
天竜観光協会は1948(昭和23)年、委託方式で川下り事業を開始。天竜浜名湖鉄道は2003年から運航を受託し、年間1万人程度の集客があった。
◆上告断念の方針
2011年に浜松市の天竜川で川下り船が転覆し乗客ら5人が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社 天竜浜名湖鉄道 の当時の船頭主任(68)を逆転無罪とした東京高裁判決について、東京高検が上告を断念する方向で最終調整していることが、関係者への取材で分かった。無罪が確定する見通し。
当時の船頭主任は事故の際に船に乗っておらず、2017/09/20の東京高裁判決は「転覆の現実的な危険性を認識できたとは考え難い」と指摘。東京高検は、上告審で無罪の結論を覆すのは難しいと判断した模様だ。上告期限は2017/10/04で、近く最終決定する。
2017/01の一審 静岡地裁判決は「他の船頭を指導・訓練する義務を怠った」として禁錮2年6月執行猶予4年を言い渡していた。
当時の営業課長と、実際に舵を取った当時の船頭(いずれも業務上過失致死罪で起訴)は一審で起訴内容を認め、いずれも執行猶予付きの有罪判決が確定している。
判決によると、事故は2011/08/17に発生。客21人を乗せた船が川の流れで回転して岩壁に衝突し転覆、2~80歳の客4人と、操船していた船頭の男性が死亡した。
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遠州天竜舟下り、63年の歴史に幕 天竜浜名湖鉄道が廃止届を提出 <中日新聞 2012/03/02>を編集
2011/08に死者5人を出した遠州天竜舟下り船転覆事故で、受託運航する天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)社長の鈴木茂樹が2012/03/01、国土交通省中部運輸局(名古屋市中区)を訪れ、川下り事業の廃止届を提出した。廃止となる航路は天竜川の米沢~二俣の6.2kmで、廃止日は2012/03/31。委託主の天竜観光協会は既に事業継続を断念しており、63年続いた伝統が途絶える。
中部運輸局長の甲斐正彰に廃止届を手渡した鈴木は「ご心配、ご迷惑をおかけしました」と陳謝。甲斐は「引き続き遺族への対応と運輸安全委員会の調査へ協力をお願いしたい」と述べた。
提出後に鈴木は「重大な事故を起こし、天竜の観光事業をこうした形で終わらせることは非常に残念」と話した。川下りについては「イベントとして生かしてもらいたい」とも述べたが、関与しない意向を示した。約20人の船頭には契約の打切りを説明し、了承を得ているという。
事故を受けて天竜浜名湖鉄道は2011/10、中部運輸局から安全確保命令を受けた。安全管理に必要な費用や鉄道事業への専念を理由に、2011/11に川下りからの撤退を表明していた。
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静岡県 天竜浜名湖鉄道へ職員を派遣 3月中に役員選任見通し <静岡新聞 2012/02/28 08:19>を編集
静岡県は2012/02/27、天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)に、交通基盤部 空港局 空港地域連携課 渉外調整班長 林聖久(46)を派遣すると発表した。2012/02/29付で文化・観光部交流局 交通政策課 専門監を退職し、2012/03/01付で天竜浜名湖鉄道 営業管理部付 社員となる。2012/03中の臨時株主総会で役員に選任される見通し。静岡県の現職職員派遣は社長の鈴木茂樹(52)に続いて2人目。静岡県によると、現職職員の複数派遣は初めて。
林は掛川市(旧大須賀町)出身。1988/04に静岡県に採用され、主に総務、空港部勤務が長い。天竜浜名湖鉄道の地元事情に明るく、組織管理の経験もあることから選ばれた。
林は静岡新聞社の取材に「新社長をしっかり支え、地元に愛される鉄道の安全安心のために力を注ぎたい」と話した。
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天竜浜名湖鉄道社長に前・静岡県職員の鈴木氏 名倉氏の退任了承 <静岡新聞 2012/02/09 14:55>を編集
天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は2012/02/09午前、定時取締役会を浜松市中区で開いた。2011/08、受託運営している川下り事業で5人が死亡した船の転覆事故を受け辞意を固めていた社長の名倉健三(64)が退任を表明し、了承された。後任の社長に専務の鈴木茂樹(51、前・静岡県 文化観光部 交流局 交通政策課長)が就任した。名倉の退任により常勤取締役は鈴木だけになるが、取締役会長で静岡県知事の川勝平太は常勤取締役を2011年度中に静岡県から派遣する考えを表明した。
取締役会は非公開で開催。終了後、名倉、鈴木、川勝らが取材に応じた。説明によると、新年度を前に人心刷新が必要と判断した。名倉は退任後も嘱託として引き続き遺族らへの対応を続けていく意向を示した。
川勝は、民間経営者を交えて天竜浜名湖鉄道の経営状況を分析し、中長期の経営戦略を立てる検討会の立ち上げを提案し、了承されたことも明かした。
鈴木は「官民の知恵を合わせ、名倉が取り組んできた経営改善を受け継いでいく」と語った。
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川下りの廃止決定…天竜川、引き継ぎ手なく <2012/01/20 11:54 読売新聞>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、川下り事業の存廃などを考える天竜舟下り検討委員会の第2回会合が2012/01/19、浜松市天竜区役所で開かれ、事業の廃止を決定した。
事業を受託していた天竜浜名湖鉄道が2012/02末、国交省に廃止届を提出し、正式決定する見込み。
検討会には、事業の委託元である天竜観光協会幹部の他、浜松市職員や地元住民らが出席。協会は、浜松市内の民間企業4社に事業の引継ぎを打診したが断られたため、引受け手探しを断念したことを明らかにし、「事業は廃止せざるを得ない」と報告した。
委員からは「別の団体を発足させて運営しては」との意見も出たが、協会は「安全管理体制を構築するためのハードルが高く、資金的にも人材的にも難しい」と説明、廃止の方針が了承された。
今後、事業を引き継ぐ会社が現れたとしても、協会は広報・宣伝活動に専念し、委託運営の形は取らない。
検討会は今後、イベントとしての川下り開催を含め、天竜川を利用した地域活性化策について話し合っていく。
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天竜川下り廃止へ 引き受け先なく観光協会が再開断念 <中日新聞 2012/01/20>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、事業主の天竜観光協会(浜松市天竜区、会長:萩田幹雄)は2012/01/19、営業運航の再開を断念することを明らかにした。受託運航していた天竜浜名湖鉄道が事業撤退を決めた後、新たな引受け手が見つからなかった。協会単独での運航も資金や人材面から困難と判断し、63年続いた川下り事業に幕を下ろす。
天竜区内の各種団体とつくる 天竜舟下り検討委員会の第2回会合が2012/01/19開かれ、天竜観光協会が内部検討の結果を報告した。
副会長の鈴田全弘は「安全管理体制のハードルは高く、引受け手を探す努力をしたが現在まで見つからない。協会単独でやっていくのは、会費のみで運営する法人格のない任意団体としては困難だ」と説明した。
天竜観光協会によると、浜松市内の民間企業4社に運航を打診し、断られた。2012/01/17に理事会を開き、川下り撤退の結論を出した。今後、引受け手が現れた場合も、協会は運航にかかわらない。
副会長で検討委員会委員長の神谷征男は報道陣に「川下りの灯は消したくない思いはある。実行委員会形式でイベント的に行うことも考えられ、その場合は一員として協力する」と話した。
天竜浜名湖鉄道は2010/11、事業受託の返上を決定。天竜観光協会は、自治会、商工会、漁協、天竜区などと検討委を立ち上げ、今後の方向を探っていた。
天竜観光協会は1948(昭和23)年、委託方式で川下り事業を開始。天竜浜名湖鉄道は2003年から運航を受託し、年間1万人程度の集客があった。
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天竜浜名湖鉄道、川下りから撤退 取締役会で正式決定 <静岡新聞 2011/11/11 14:40>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営会社の天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区、社長 名倉健三)は2011/11/11、浜松市役所で取締役会を開き、川下り事業からの撤退を正式に決めた。天竜浜名湖鉄道に川下り事業を委託している天竜観光協会(浜松市天竜区)会長の萩田幹雄は「新たな引き受け手を探すことは難しく、廃止はやむを得ない」と話しており、川下りの幕が下りる可能性が高まる。
取締役会は午前10時から非公開で開催。天竜浜名湖鉄道によると、安全管理体制の再構築・徹底には人材確保面で多額の経費が掛かることなどから、事業継続は困難と判断した。取締役会長で静岡県知事の川勝平太は欠席した。
閉会後、名倉らが取材に応じ「人や費用の面を含め、安全管理体制をしっかりと作り上げていくことを踏まえると、川下りの運営は我々では厳しいと判断した」などと説明。地元・浜松市市長の鈴木康友は「保存会を作るとか、イベント的にやるとか、いろんなことがある。今後、観光協会などと浜松市で話し合いをしていきたい」と述べた。
天竜浜名湖鉄道は2003年から川下り事業を受託し、昨シーズンの乗船客数は約9000人。事故後の2011/10、国土交通省中部運輸局から海上運送法に基づく安全確保命令を受けた。
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天竜川下り船転覆:中部運輸局が安全確保命令 社長「川下り継続厳しい」 <静岡新聞 2011/10/14 14:31>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、国土交通省中部運輸局は2011/10/14、運営会社の天竜浜名湖鉄道(社長:名倉健三)に対し、海上運送法に基づく安全確保命令を出した。2011/10/14午前、名古屋市中区の中部運輸局に名倉を呼び、局長の甲斐正彰が命令書を手渡した。名倉は川下り事業の継続について、個人の考えとした上で「厳しいと思っている」と述べた。
改善措置として、
1)社長が主体的に関与する安全管理体制の構築
2)救命胴衣着用の徹底
3)安全教育や訓練の実施体制構築
4)安全管理規定の順守
を天竜浜名湖鉄道に命じた。遅くとも2011年度末までに改善報告をするよう求めている。
名倉は報道陣の取材に対し、命令内容を真摯に検討すると断った上で、安全管理体制の構築にはコストがかかると説明。「(天竜浜名湖鉄道の)本来の役割は地域の足を守る鉄道事業。もっと鉄道へ経営をシフトすべきと考えている」とした。今後、出資自治体による経営強化検討会で協議し、取締役会で継続の可否を判断する。
中部運輸局は事故後、天竜浜名湖鉄道への立入検査を2回実施した。12歳未満への救命胴衣の着用義務を日常的に守っていない天竜浜名湖鉄道の実態などを確認。一方、今回は事業許可の取消は見送った。
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天竜浜名湖鉄道取締役会、会社法に抵触 事故前まで規定回数守らず <中日新聞 2011/10/05>を編集
■出席者不足の疑いも
遠州天竜舟下り船転覆事故で、天竜浜名湖鉄道が事故前まで会社法に抵触する取締役会運営を続けてきたことが中日新聞の調べで分かった。3カ月に1回以上の開催義務を守っていなかった他、直近に開催した9回のうち5回は決議に必要な過半数の出席者を満たしていなかった疑いもある。
取締役の人数は2011/09末まで10人。代表取締役社長の名倉健三を除く非常勤9人は、静岡県知事 川勝平太をはじめ、出資自治体の首長らで構成している。
天竜浜名湖鉄道は中日新聞の取材に対し、3カ月に1回以上の規定違反を認めた。事故後に発足させた出資自治体との経営体制強化検討会で対応を検討する考えを示し、「各取締役が多忙で出席の調整が難しい点も踏まえ、取締役会の改革を議論していきたい」と話している。
中日新聞は事故後、取締役会の開催状況と非常勤9人の出欠などについて各自治体に情報公開請求をした。
開示文書などから、取締役会は2009年度から事故までに9回あり、うち5回は5~6人が欠席して出席者は過半数に達していなかった。9回の平均出席率は50.6%で、袋井市長と豊橋市長は全て欠席だった。
天竜浜名湖鉄道は、2009~2010年度に書面決議で済ませたことが4回あったと説明したが、法的には定期開催に含まれない。役員の出欠状況については「開示義務がない」と回答を拒否。一方で「開催時は過半数の出席があった」と話しており、取締役でない幹部職員らの代理出席を認めていた可能性がある。
小樽商科大学准教授(会社法)の南健悟は「取締役会への代理出席は認められていない」と指摘。その上で「出席者が過半数に満たない状態での取締役会開催は、取締役会決議を行うための定足数要件が欠けており、決議が有効に成立しないため、法令上適切な運営とは言えない」と話している。
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# 取締役は、静岡県知事、静岡県文化・観光部長、浜松市長、磐田市長、袋井市長、湖西市長、掛川市長、森町長、豊橋市長。
# 代理出席でOKと考えるのは、役人の常識。
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会社法第363条2項
前項各号に掲げる取締役(#代表取締役等)は、3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
#↑この条文から、取締役会は3ヶ月に1回以上、開催しなければならない、という解釈になる。開かなければならないという条文はない。
会社法第370条
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
会社法第372条
取締役、会計参与、監査役又は会計監査人が取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しない。
会社法第372条2項
前項の規定は、第363条第2項の規定による報告については、適用しない。
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専務に静岡県交通政策課長の鈴木茂樹 天竜浜名湖鉄道 <静岡新聞 2011/09/30 08:59>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、運営会社の天竜浜名湖鉄道は2011/09/29、事故後初の臨時株主総会を浜松市中区で開き、静岡県交通政策課長の鈴木茂樹(51)を常勤取締役に充てる選任案を満場一致で承認した。続いて開いた臨時取締役会(取締役会長・静岡県知事 川勝平太)で役職を専務と決めた。
天竜浜名湖鉄道は2011/09/19に開いた臨時取締役会で、現在、常勤取締役が社長の名倉1人の経営、安全管理体制を改めようと鈴木の選任案提出を決めていた。
鈴木は1982年静岡県入庁。主に人事、地域政策部門を歩んだ。2011/04から現職。2011/09/30付で静岡県を退職し、2011/10/01付で取締役に就任する。
取締役会後、鈴木は自身の会社での役割について「まずは事故の遺族、被害者への誠心誠意ある対応に努めるのが第一」とした上で、「救命胴衣の問題など会社の安全対策には隙があった。早急に検証し、地域の信頼をもう一度勝ち得るよう早急に改善策をまとめたい」と語り、遺族補償や社全体の安全管理対策の確立に携わる意向を示した。名倉は「天浜線を所管する担当課長としてこれまで相談してきた人。心強く思っている」と話した。
株主総会は非公開で行われ、沿線自治体や民間企業の株主52人のうち、15人が出席、34人が委任状を提出した。名倉によると、天竜浜名湖鉄道が事故について報告したが、株主から特に意見は出なかったという。
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天竜川下り船転覆:常勤取締役に静岡県交通政策課長 天竜浜名湖鉄道方針 <静岡新聞 2011/09/20 07:57>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、天竜浜名湖鉄道は2011/09/19、浜松市天竜区内で事故後2回目の臨時取締役会を開いた。2011/09/29に臨時株主総会を開催し、1人増員が決まっていた常勤取締役について静岡県交通政策課課長の鈴木茂樹(51)を充てる選任案を提出することを決めた。
非公開の臨時取締役会終了後、社長の名倉健三、取締役会長・静岡県知事の川勝平太、浜松市長の鈴木康友が取材に応じた。臨時株主総会で鈴木が選任されれば、2011/10/01付で就任。天竜浜名湖鉄道の常勤取締役は名倉と2人になる。出資自治体による経営体制強化検討会は2011/04からの天竜浜名湖鉄道の新経営体制を検討していて、鈴木の任期は新体制に移行するまでとなる見込み。
川勝は鈴木を推薦した理由について、担当課長として天竜浜名湖鉄道と深く関わり「責任を感じて使命感に燃え、社長の信任も厚い」と説明。「名倉の就任以前は、常勤取締役が2人いた。静岡県として名倉を支えると同時に、安全管理を徹底させたい」と述べた。
名倉は「心強く思う。基本的には補償交渉を含め、私の補佐をしていただく。安全管理についても新しい目で見ていただきたい」と語った。
取締役は臨時取締役会に先立ち、事故現場近くの河原を訪れ献花した。
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天竜川下り船転覆:運航会社、安全管理評価を実施せず <MSN産経 2011/09/14 11:38>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国土交通省中部運輸局が運航会社の天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)の海事部門に対して安全管理体制を点検する運輸安全マネジメント評価を実施していなかったことが2011/09/14分かった。
天竜浜名湖鉄道の鉄道部門には2007/11に実施していたが、海事部門には行っていなかった。事故では静岡県警が天竜浜名湖鉄道の安全管理に問題があったとみて、業務上過失致死傷容疑で調べている。中部運輸局は「海事部門は対象事業者数が非常に多い。順番にやっており、たまたま未実施だった」としている。
マネジメント評価は経営陣の聴取などを通じ、安全管理への取り組み状況を確認するもので、尼崎JR宝塚線脱線事故を受け2006/10に導入された。
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天竜川下り船転覆:原因究明には「時間かかる」 運輸安全委員会が現地調査 <静岡新聞 2011/09/13 08:13>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国土交通省運輸安全委員会の船舶事故調査官ら8人が2011/09/12、現地調査を行い、川下り船に乗船して事故現場となった渦を確認した。
現地調査は、事故直後の初動調査以来という。転覆船についている新旧の傷を記録した他、船頭から話を聞き、船で事故現場に向かった。
船舶事故調査官の田中独歩は「船頭の説明では事故当時より川の流れが急で、水も濁っていた」と乗船時の印象を述べ、事故原因の究明については「これから分析をしないといけない。まだまだ時間はかかる」とした。
一方、静岡県警は2011/09/12、見つかっていない船外機の捜索を再開した。捜査関係者によると発見には至らなかったという。
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天竜川下り船転覆:安全管理「社長関与不足」 中部運輸局2回目監査 <静岡新聞 2011/09/07 07:37>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、国土交通省中部運輸局は2011/09/06、海上運送法に基づき、運営会社の天竜浜名湖鉄道に2回目の立入り監査を行い、社長の名倉健三から安全管理に対する認識を聞き取った。
監査後に取材に応じた中部運輸局次席運航労務監理官の藤井孝昌は、経営者の責務とされる安全管理体制の構築について「社長に関与不足があった」との認識を示した。
天竜浜名湖鉄道が安全管理規定に基づき定めた作業基準は「12歳未満の児童には常時救命胴衣を着用させること」としているが、聞き取りに対し名倉は「知らなかった」と話したという。藤井は「(規定の)中身を率先して充実させていくのが社長。『知らなかった』というのは、あってはならない」と指摘した。
一方、天竜浜名湖鉄道の安全管理体制が事故の原因になったかどうかは検証が必要とした他、安全管理体制について「どの事業所も少なからず弱点を持っている」とも述べた。天竜警察署も訪ね、静岡県警が押収した天竜浜名湖鉄道の点検記録などを事故後初めて確認した。
中部運輸局は、今月中にも天竜浜名湖鉄道に行政処分を出す方針を明かしている。
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天竜川下り船転覆:「まず事業者が継続可否結論を」浜松市長 <静岡新聞 2011/09/01 08:24>を編集
浜松市長の鈴木康友は2011/08/31の定例会見で、遠州天竜舟下り船転覆事故を受けて、来季以降も継続するか検討されている川下り事業について「まずは(運営会社の)天竜浜名湖鉄道で結論を出してもらい、それから天竜観光協会も含めて検討していきたい」と、天竜浜名湖鉄道の検討結果を待つ考えを表した。
川下り事業は、天竜浜名湖鉄道が天竜観光協会からの事業委託を受けて運営している。浜松市によると、委託に当たり、天竜観光協会、天竜浜名湖鉄道、浜松市で3者協定を結び、浜松市は赤字補填の基金などへ補助金を出している。こうした経緯から、事業継続の最終判断は3者協議で決めることになっているという。
鈴木は「北遠の名物でもあり、出来るだけ残してもらいたい」としながら「事業者が安全管理、運営体制の見直しを進め、事業継続できるかの結論を出すのが先決」とした。川下り事業の継続可否については、天竜浜名湖鉄道に出資する静岡県や浜松市など周辺市町などで作る検討会でも、協議が始まっている。
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天竜川下り船転覆:事業継続判断 10月めど 天浜鉄道第1回検討会 <静岡新聞 2011/08/31 07:22>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営事業者の第3セクター 天竜浜名湖鉄道に出資する静岡県や沿線市町は2011/08/30、天竜浜名湖鉄道の経営体制や安全管理について協議する第1回経営体制強化検討会を浜松市役所で開いた。2011/10末までに来季以降の川下り事業を継続するかどうかの結論を出すことを決め、社長の名倉1人だった常勤取締役も増員することを確認した。
非公開の検討会後、静岡県文化・観光部長の出野勉は経営体制の見直しについて、次回以降の検討会で専門家の意見を聞き人数などを決める、とした。出野は「人選は未定。他の(非常勤)取締役が首長でいいのかということも課題になる」と話した。次回検討会は2011/09上旬の予定。検討会は出野の他、社長の名倉と、沿線の7市町の副市長、副町長、担当部長の計9人が出席した。
川下り事業は天竜観光協会の業務を受託する形で運営する。浜松市によると、業務受託の際、天竜観光協会、天竜浜名湖鉄道、浜松市で3者協定を結んでいるため、天竜浜名湖鉄道が事業継続するかどうかの意思を決めた後、最終的な結論を出すにはさらに3者協議を行う必要があるという。
2011/08/30、名倉から事故後の経過説明を初めて受けた天竜観光協会会長の萩田幹雄は「可能ならば川下りを続けてもらいたいが、仮に受託できないとなると新たな引き受け手を探すのは難しい」と話した。
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天竜川下り船転覆:天竜浜名湖鉄道経営見直しへ検討会 <静岡新聞 2011/08/26 07:47>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、運営事業者の第3セクター 天竜浜名湖鉄道(社長:名倉健三)は2011/08/25、臨時取締役会を開いた。
臨時取締役会には、取締役会長で静岡県知事の川勝平太や、浜松市長の鈴木康友ら取締役10人のうち7人が出席。常勤取締役の増員を含め新たな取締役体制や安全管理について協議していく検討会を来週にも立ち上げることを決めた。今季の川下りは中止としたが、川勝は「天竜の風物詩であり、何らかの形で存続するのが望ましい。検討会での論点になる」と述べた。
取締役会は非公開で行い、終了後、川勝と名倉らが取材に応じた。補償交渉については「誠心誠意、できる最大限の対応をすることを確認した」と説明した。
検討会は、天竜浜名湖鉄道に出資する静岡県や沿線市町のトップ級が参加し、今後の取締役体制や安全管理について2011年度中をめどに結論を出すとした。来季以降の川下り事業についても協議するとした。
常勤取締役が名倉だけという現在の役員体制について、川勝は「全てが名倉におんぶに抱っこになってしまっている。もう1人いれば分業できる。現在の体制ではまた事故が起こりかねない」との認識を示した。川下りの今後については「天浜線の経営に位置づけるのか、あるいは外すのか。経営するなら安全が確立できるのか。早急にとりまとめてもらいたい」と述べた。名倉については「歯を食いしばってでも頑張ってもらいたい」と当面は続投を求める考えを強調した。
遠州鉄道出身の名倉は川下り船の事故について「天浜線の経営を立て直そうと来たが、目が『鉄道、鉄道』とどうしてもなり、舟下りはベテラン社員に任せきりになっていた」と述べた。
終了後、事故現場近くの河原を訪れ、献花した。関係者によると、取締役会では乗客への見舞金についても話し合ったという。
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天竜川下り船転覆:「船外機フルスロットル」で岩に一直線 乗船男性が証言 <静岡新聞 2011/08/25 07:45>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、転覆した船に乗船していた男性が2011/08/23までに静岡新聞社の取材に応じ、事故が起きた渦で「船が一度止まったようになり、川上方向に向きを変えた後、船外機がフルスロットルのような感じで岩に一直線にぶつかった」と証言した。
男性によると、事故現場は川の流れが緩やかな場所もあり、渦と呼べるほどではないと感じた。船は流れに入ると回転して河原の方向へ向き、一度止まったようになった後、川上方向へ向きを変えたという。その時、船首にいたガイド役の船頭(61)が「おいおい、かけろ」と舵取り役の船尾の船頭(66、死亡)に指示を出すと、船外機が「フルスロットルのよう」になって加速し、岩壁に一直線に進んでいったという。男性は「『こんな速さじゃいかんだろう』と不安を感じ、とっさに船の縁をつかんだ」と振り返る。直後に船は船首の右側から岩に乗り上げて衝突。その後、船が左側に傾き、水中へ投げ出されたという。男性は「船外機がいつからかかっていたのか分からないが、なぜあそこでふかしたのか不思議」と首をひねり、「(船外機を)そのまま使わなければ、船は一回転して流れに戻れたんじゃないか」との印象を持っていると話した。
キャリア30年以上の元船頭によると、通常、渦の手前から船外機を使い始め、渦に入り、さらにふかして抜けるという。
川下り船を運営する天竜浜名湖鉄道のこれまでの説明によると、船外機は渦に入る手前から衝突するまでかかっていたという。ただ、「渦で船外機をどう使ったか、船の向きがなぜ変わったかは分かっていない」としている。
静岡県警は、現場上流のダムからの放水が止まるのを待ち、まだ見つかっていない船外機の捜索を再開する方針。
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天竜川下り船転覆:幼児用救命胴衣備えず 運輸安全委員長会見 <静岡新聞 2011/08/25 07:42>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国交省運輸安全委員会委員長の後藤昇弘は2011/08/24の定例会見で、これまでの調査で、川下り船を運営する天竜浜名湖鉄道が体重15kg未満の幼児用救命胴衣を備えていなかったことが確認されたと明らかにした。
後藤は事故の問題点として、大半の乗客が救命具を着けていなかった点をあらためて強調。その上で「体重40kg未満用の救命胴衣はいくつかあったようだが、(亡くなった)2歳のお子さんに当てはまる救命胴衣は搭載されてなかったし、会社にも準備されていなかったと聞いている」「なぜ搭載、準備されていなかったのか、その事情を調査している」と述べた。
法令では、体重による義務規定はないものの、12歳未満の子供に救命器具を着用させることが義務付けられている。
事故原因の究明と再発防止のための調査については、現地での関係者からの口述聴取など初動調査を終えた段階と説明。今後は、模型船を使って現場状況を再現するような実験も行い、操船(舵取り)、天竜川の当時の状況、川の流れと船の関係などの解析を進め、「1年以内に調査報告をまとめられるように努力したい」との見通しを示した。
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天竜川下り船転覆:運航会社法令違反の可能性 中部運輸局 <静岡新聞 2011/08/24 08:17>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国土交通省中部運輸局次席運航労務監理官の藤井孝昌は2011/08/23、運営事業者の天竜浜名湖鉄道への海上運送法に基づく特別監査後、法令で定めた12歳未満の子どもの救命胴衣着用義務について、天竜浜名湖鉄道に「違反の可能性がある」との認識を示した。
監査では、運航管理者と転覆船の船頭(61)から安全管理規定の順守・運用状況を聞き取った。関係書類の確認や聴取を重ね、業務改善命令など行政処分を検討する。
天竜浜名湖鉄道が安全管理規定に基づき定めた作業基準は「12歳未満の児童には常時救命胴衣を着用させること」としているが、天竜浜名湖鉄道は日常的に順守していなかったことを明かしている。藤井は取材に「非常にマイナス点」と指摘、救命胴衣の未着用が重大な結果につながった可能性を示唆した。
天竜浜名湖鉄道は救命胴衣について「準備していたし規定も認識していたが、事故がなく、着用については安心感が出て法令順守が緩くなった」と説明したという。社長の名倉健三は着用義務について「事故後に知った」と話しており、中部運輸局は今後、名倉からも安全管理に対する認識を聴取する方針。
中部運輸局は2~3年ごとに夏季安全点検を行っているという。着用義務違反には「その時にお子さんが乗っていなければ、確認できない」とした。
一方、静岡県警は2011/08/23、乗船場で転覆船を実況見分し、破損状況を調べた。
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天竜川下り船転覆:観光の目玉、再開へ期待強く 地元の苦渋 <MSN産経 2011/08/23 02:09>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故では、船を運航する天竜浜名湖鉄道の安全管理体制に厳しい目が向けられる一方、地元住民の間で船頭らへの同情の声も広がっている。北遠地方の観光名物として期待はなお大きく、運航再開のめどが立たない現状に落胆する地元住民も多いようだ。
「私が見る限り、船頭さんたちは安全にすごく気を遣っていた」。父親が元船頭で乗船場近くに住む女性(62)はこう話して俯いた。風が出たり川の水位が少し上昇したりすると運休にし、遠方からの観光客に「なぜ船を出さないのか」と詰め寄られる船頭の姿もよく目にしたという。
遠州天竜舟下りは昭和20年代に始まり、3~11月の風物詩として人気を博してきた。2003年に天竜観光協会から天竜浜名湖鉄道に運営を委託。天浜線 天竜二俣駅で客を集め、乗船場までバスで移動するなどアクセスを改善し、全国から客を集めるまでになった。
天竜観光協会の職員は「静岡県内外から広く観光客を呼べる材料は舟下りだけだった」と肩を落とす。舟下りは周辺の飲食店や土産店にも恩恵を与えてきた。天竜区二俣町の蕎麦店経営者は「(運航時期は)数十人のお客さんがまとまって訪れ、町が賑やかになる。運航をやめると町が寂れるんじゃないだろうか」と項垂れた。
天竜浜名湖鉄道は2011/08/22、事故を受けた安全対策などを話し合う臨時取締役会を2011/08/25に開催することを決定。だが、「運航再開を口にできる雰囲気ではない」(関係者)のが実情だ。
乗船場近くに住む女性は「天竜浜名湖鉄道も力を入れ、やっとお客さんが増えてきた。これからどうなるのか」と話していた。
天竜の名を全国区にした舟下りは観光だけでなく、上流の天竜杉を筏に組んで下流に運んだ時代から北遠の文化でもある。船の運休が長引くほど地元の喪失感は大きい。同じ女性は「ぜひもう一度安全な形でやり直してほしい」とも話し、力なくも運航再開に期待を込めていた。
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天竜川下り船転覆:不明者全員の遺体発見 原因究明、捜査が焦点 <MSN産経 2011/08/22 02:23>を編集
■専門家「急流で渦も強い」
遠州天竜舟下り船転覆事故では、2011/08/20深夜までに行方不明者全員の遺体が見つかり、死者5人となった。事故の焦点は、原因の究明と業務上過失致死傷容疑で静岡県警が進めている捜査の行方に移った。一方、船を運営する天竜浜名湖鉄道は2011/08/21、記者会見し、近く臨時取締役会を召集して安全対策を再考する方針を明らかにした。
静岡県警は事故現場付近の捜索の規模を2011/08/21から縮小、まだ見つかっていない船外機などの発見を急ぐ。今回の事故では遺体発見におよそ3日かかり、発見場所も転覆現場から約300m~11km下流と広範囲に及んだ。場所や深さで変わる複雑な流れと濁った水という天竜川独特の事情が関係したと指摘する専門家もおり、事故原因の解明や静岡県警の捜査でもポイントの一つとなりそうだ。
事故原因をめぐっては、国土交通省運輸安全委員会の船舶事故調査官らが調査、静岡県警が業務上過失致死傷容疑で捜査を進めている。
天竜川は外から見れば穏やかで水量も少ないように見える。だが、東北大学教授・静岡大学客員教授(水工学)の風間聡は「天竜川、大井川、安倍川など静岡県の川は比較的急流で流量も多い」と説明する。事故現場となった蛇行部は「大きく強い渦が横だけでなく縦方向にもできる。一度渦に入ってしまうと押し込まれてなかなか出られないことがある」「深いところで流されると思いのほか早い」。風間はこういった条件が、行方不明者の捜索に時間がかかった要因とみている。
ただ、逆の見方も。「見た目より川の流れは速いが、激流というわけではない」(天竜川漁協職員)とする意見も地元で根強い。船明ダムなどが建設されるまでは暴れ天竜の異名の通り水量が安定せず、「あちこちで渦ができたり消えたりして危なかった」。現在は「水量も安定して渦も小さく、船の危険はほとんどなくなった」(職員)と話す。
水中の視界が悪いという天竜川独特の事情も、捜索を難しくした。天竜川の水位や水質を調べている国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所調査1課は「船明ダムより下流は放流があるため、川底の砂や泥が巻き上げられ、常に白く濁っている」と話す。担当者によれば、平時の水中の視界は「感覚的には30cmくらい」と話している。
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天竜川下り船転覆:2歳男児、80歳男性、66歳船頭の遺体を発見 <MSN産経 2011/08/21 00:25>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、静岡県警と浜松市消防局の捜索隊は2011/08/20、船頭の北橋国幸(66、浜松市天竜区西雲名)と、乗客の羽根弘(80、堺市北区百舌鳥赤畑町)の2遺体を発見した。2011/08/20夜になって、望月柾良(2、浜松市西区桜台)の遺体も発見され、行方不明者全員の遺体が見つかった。
転覆した船の舵取り役だった船頭の遺体は2011/08/20午前、釣り人の男性が事故現場から約10km下流の川の中州で見つけ、119番通報した。「天竜下り」と書かれた法被に股引姿で、裏地には「北橋」と名前が書かれていた。
80歳男性の遺体は2011/08/20午後、事故現場から約300m下流で発見された。
2011/08/20夜には、水面に浮いている黄色いタンクトップに紙おむつ姿の2歳男児の遺体を、捜索隊が発見した。
3人とも静岡県警で遺族が確認し身元が特定され、事故の死者は計5人となった。
静岡県警などは2011/08/20午前、転覆現場から約1.5km下流の川底(水深約7m)で見つかった第十一天竜丸を水面に引き揚げる作業も実施。ダイバーが水中に沈んでいた船に浮袋を取り付け、警察と消防の車両がワイヤで引き揚げた。静岡県警によれば、引き揚げられた船には船外機がなかったほか、船体の中央に亀裂が入り、船尾部分が破損していたという。
一方、北橋はベテラン船頭の補助なしで1人で操船を行ったのは、確認できるだけで9回だけだったことを運航会社の天竜浜名湖鉄道は明らかにした。
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天竜川下り船転覆:現場から1.5km下流の川底で船体を発見 <MSN産経 2011/08/20 12:21>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、静岡県警などは船は2011/08/19午後、水深約7mの川底で発見。2011/0820午前、事故現場から約1.5km下流の川底で見つかった「第十一天竜丸」を水面に引き揚げる作業を実施。ダイバーが水中に沈んでいた船に浮袋を取り付け、警察と消防の2車両がワイヤで引き揚げた。同日中に地上に引き揚げた。
船体には船外機がなかった。船尾部分が破損していた。右舷中央のやや後方に長さ約50cmほどの縦の亀裂が入っていた。他には目立った損傷はなかったという。静岡県警などはさらに船体の損傷状況などを調べ、事故原因の特定を進める。
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天竜川下り船転覆:法制度は海上想定 対策は業者任せに <MSN産経 2011/08/20 22:43>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営する天竜浜名湖鉄道が、法律で義務づけられている子供への救命胴衣着用義務を説明していなかったり、転覆を想定した訓練を実施していないなど、杜撰な安全管理が次々と明らかになった。国土交通省海事局は事故を受けて、全乗客に救命胴衣の着用などを義務づけるよう全国の事業者に指導したが、川の船に適用される法律はもともと海上の船を想定したもので、安全対策は業者任せにしていた現状がある。
国交省によると、川下り事業者の安全対策をめぐる法律は、(1)船舶安全法、(2)船舶職員法、(3)海上運送法の3つ。
(1)は、川下り船のような屋根のない20t未満の小型船舶に救命胴衣かクッション型の救命具を配備するよう規定。(2)は船頭(船長)に対して12歳未満の乗客には救命胴衣を必ず着用させ、12歳以上には着用を促すよう求めている。(3)は事業者に対し、安全管理規程のマニュアルを設けて国に提出するよう定めている。
ただ、(2)(3)の対象となるのは、エンジンが搭載された小型船舶を所有する事業者や操船者が対象。こうした認可業者は2011/04現在で全国に968あるが、ほとんどがフェリーなど海上の業者で、事故を起こした船と同様に屋根がない船で川下りを行っている認可業者は15のみだ。
だが、エンジンがついていない船で川下りをしている業者は「相当数ある」(国交省幹部)とされ、こうした業者には救命胴衣の着用などについて法的な規制がない。業者によっては子供に救命胴衣を着させずに乗船させるケースも多い。国交省は今回、認可業者だけでなくこうした業者も指導の対象とした。
また海の小型船舶の場合、海上保安庁が定期的に船舶免許や安全設備の確認などを行っているが、川の船に関しては、公的機関による定期的な検査などは十分に行われていない。天竜浜名湖鉄道のような認可業者についても、外部から安全管理態勢に対する監視の目は働いていなかった疑いが強い。
海難事故に詳しい東海大学教授の山田吉彦は「船舶安全法などはそもそも海上を想定したもので、川の船は法の網から抜けた存在といえる」「法律で規制されないからといって安全義務を果たさなくていい理由にはならず、事業者は安全管理を再確認すべきだ」と話している。
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天竜川下り船転覆:救命胴衣の一時義務化を検討 <静岡新聞 2011/08/19 14:28>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営会社の天竜浜名湖鉄道は2011/08/19の会見で、2003年に長野県内の天竜川で同様の川下り船が転覆した事故を受け、社内で一時、乗客全員に救命胴衣の着用を求める検討をしたが、徹底に至らなかったことを明らかにした。
この事故は長野県飯田市で、天竜舟下りが運営する川下り船(天竜舟下り、弁天港→時又港)が岩に衝突して転覆、水中に投げ出された中学生と船頭の計2人が怪我をした。川下り船には今回の事故の船と同様に救命クッションが座席に敷かれていたが、活用した乗客は少なかったという。
# この会社はその後、自動膨脹型ライフジャケットを着用義務としている。
天竜浜名湖鉄道は会見で、当時、12歳以上の大人を含む乗客全員に着衣型の救命胴衣の利用を義務付けようと社内で検討したと説明。「当時の営業担当者が『クッション型で法律上問題ない』などとして買い換えを見送った」と経緯を明らかにした。
その後、救命クッションの活用など安全対策は現場の船頭らに一任し、2年ほど前からは船頭らが法令で定められている12歳未満の客への救命胴衣着用も求めなくなっていったという。
天竜浜名湖鉄道 営業課長の松野幸夫は「クッション型でも法令違反はないと判断した。国の機関からも指摘を受けたことがなかったが、安全管理に対する認識が甘かった。社内で安全について話し合う場もなかった」と述べた。
静岡県警は2011/08/19以降も天竜浜名湖鉄道や船頭などから事情を聴き、天竜浜名湖鉄道の安全対策などについて調べていくとみられる。
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天竜川下り船転覆:舵取りは「新人」船頭 実経験わずか半年 <静岡新聞 2011/08/19 08:51>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、川下りを受託運営している天竜浜名湖鉄道は転覆を想定した訓練をほとんど実施していなかったことが2011/08/18、関係者への取材で分かった。行方不明となっている船頭(66)については、天竜浜名湖鉄道はこれまで「ベテラン」などと説明していたが、操船を担う船尾の舵取り役を担当したのは2011/03からで、実践経験はまだ半年程度だった。
天竜浜名湖鉄道は年1回、天竜川漁協や天竜消防署などと水難訓練を行っていた。しかし、訓練は流された釣り人を助けるなどの想定で、自船が事故を起こした場合の訓練はまれだったという。最近では2007年に「川下り船が橋の欄干に衝突、航行できなくなり、乗客が流される」との訓練はあったが、この際も転覆までは想定されていなかった。天竜浜名湖鉄道は「実際に船を転覆させるわけにもいかないため、想定したことはなかった」と説明する。
天竜浜名湖鉄道によると天竜川下りの船頭22人のうち、高度な技術が求められる船尾を担当している船頭は8人。行方不明の船頭は船頭歴3年目だが、舵取り役の中では最も経験が浅かったという。養成講座を受け船頭となった後は、技術向上のための体系だった研修会はなく、経験豊富なベテランから日常業務の中で指導を受けるだけだったという。船首から船尾へ担当をを変える際の判断も、ベテラン船頭が個人の技量を独自判断し決めていた。船頭歴1~2年で船尾を務める船頭もいれば、5年以上かかる人もいるという。天竜浜名湖鉄道は、舵取り歴の浅さが事故につながった可能性は「否定できない」とした。
■静岡県知事「深く反省」
天竜舟下りの転覆事故を受け、静岡県知事の川勝平太は2011/08/18、静岡県庁で報道陣の取材に応じた。静岡県は船下りを運営する天竜浜名湖鉄道の最大出資者。静岡県知事は天竜浜名湖鉄道の取締役会長を務める立場から、川勝は「非常に深く反省している」と述べ、危機管理対応の確認などで臨時取締役会の招集を要請する考えを示した。
川勝は「大惨事にショックを受けている。亡くなられた2人に心からご冥福を申し上げ、行方不明の3人が一刻も早く発見されるよう、祈る気持ち」と頭を下げた。救命胴衣着用が徹底されていなかった点には、「どこかに油断があったのではないかという思いがある。取締役会に名を連ねている者として、用心に用心を重ねる姿勢を言う機会がなかったことを悔やんでいる」とした。
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天竜川下り船転覆:不明3人の捜索難航 <神戸新聞 2011/08/19 07:17>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、静岡県警や浜松市消防局などは2011/08/18、200人以上を動員して行方不明者の捜索を続けたが見つからず、日没で捜索を一時打ち切った。水中の視界が悪く捜索が難航しているという。
静岡県警と浜松市消防局は沿岸の捜索範囲を河口まで広げ、現場付近では潜水部隊や水中音波探知機などを投入して川底を調べるなど大規模な捜索を実施した。浜松市消防局は「水中の濁りがあって水深50cm以下はよく見えない」と説明した。下田海上保安部も河口付近の海上を巡視船で捜索した。
静岡県警は同日、事故で死亡した2人の死因を「水死の疑い」と発表した。
船の運営会社 天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は同日までに、「操船ミス」が事故につながったとの見方を示し、法令で義務づけられている12歳未満の客への救命胴衣着用についても、船頭が「暑いので置いておいていい」と説明していたことを明らかにした。天竜浜名湖鉄道の安全管理担当者は、過去にも子どもに救命胴衣を着用させていない船頭を注意したことがあり、未着用の違法性を認識していたとしている。
静岡県警はこれらの会社側の説明を踏まえ、安全対策の不備や法令違反がなかったかなど、業務上過失致死容疑での立件も視野に関係者の調べを進めていく方針。
国土交通省の船舶事故調査官ら5人は同日、原因究明のため事故現場を視察した。地形や川の流れを調べたほか、天竜浜名湖鉄道の関係者に運航に関する説明を求めた。
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# 天竜川河口(静岡県中部~西部の海域)は本来、清水海上保安部(巡視船1隻、巡視艇3隻)が管轄。管轄外の下田海上保安部(巡視船2隻、巡視艇1隻)が出張る理由はなんだろう? 鳥羽海上保安部じゃないのは(管区が違うから)わかるとして。
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天竜川下り船転覆:渦に突入数秒後、制御失い岩壁へ 船頭が証言 <MSN産経 2011/08/18 23:10>を編集
船は最大の見せ場だった渦の通過で回転し、船首から岩壁に突っ込んだ。
遠州天竜下り船転覆事故で、運航していた天竜浜名湖鉄道は一夜明けた2011/08/18の会見で、無事だった船頭から聞き取り結果をもとに事故当時の状況を説明した。コントロールを失ってから事故までわずか数秒。乗客を突然襲った惨事を再現する。
2011/08/17 14:15頃、23人が乗った川下りの船は流れが急な右カーブにさしかかろうとしていた。このカーブは外側の岩壁に水流がぶつかり発生する渦の中に船を突っ込ませ、乗客にスリルを味わってもらう見せ場だった。船を後方で操るのは船頭経験3年目の北橋国幸(66)。前方では船頭経験8年目の大畑茂雄(61)が乗客に観光案内をしていた。2人は午前中も同じペアで船を操っており、渦をどのようなコースで進むかは、船頭の判断に委ねられていた。船は午前と同様、エンジンをふかし、渦の中心よりやや右に突っ込んでいった。歓声を上げる乗客たち。だが、午前中と違い、船が渦から抜け出せない。渦に沿って回るように流され、数秒後には船首から岩壁にたたきつけられた。後方から水がどんどん入り込み、あっという間に転覆。前方に座っていたとみられる5人ぐらいがとっさに岩壁に上って避難し、残りの人たちは次々と川に投げ出されていった。救命胴衣の着用が義務付けられた12歳未満の乗客は6人いたが、事故当時に実際に着用していたのは船の中でたった1人だけだった。大人たちは救命胴衣として使える救命クッションを座布団代わりに座っており、一部の人たちはこのクッションなどにしがみついて息をつないだ。
「なぜ(船が渦を抜け出せずに)回ったのか分からない。午前中はうまくいったのに…」。救出されたベテラン船頭は2011/08/18未明、会社側の聞き取りに対し、混乱した様子でこう説明したという。
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川下り船の安全運航の徹底について <2011/08/18 国土交通省海事局安全・環境政策課>を編集
2011/08/17、天竜川の川下り船において転覆事故が発生し、死傷者・行方不明者が発生しました。
現在、事実関係の確認及び事故原因調査が進められている状況ですが、事故の重大性に鑑み、国土交通省海事局では、本日付で、全国の川下り船事業者に対し、早急に以下の措置を講じるよう指導することとしました。
(1)転覆事故等を防止するため、慎重な操船の実施を徹底すること
(2)年齢を問わず乗客への救命胴衣の着用を徹底すること(救命クッションを備える船舶にあっては、転落等の際に救命クッションが体から離れることを防止する措置(例えば救命クッションと乗客の体をつなぐひもを設ける等)を講じるとともに使用方法の徹底を図ること)
(3)搭載する小児の数に応じて、適切な小児用の小型船舶用救命胴衣を備え、着用を徹底すること
(4)安全管理規程の届出義務がある事業者においては、上記(2)(3)の措置の実施を安全管理規程において明記すること
以上
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# 船舶職員法などでは、川下り船など船室のない20t未満の小型船舶については、12歳未満の子供には救命胴衣の常時着用を義務づけているが、12歳以上については「着用させるよう努める」との努力義務にとどまっている。
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天竜川下り船転覆:客にスリル…あえて渦へ入るコースの川下り船 <2011/08/18 12:13 読売新聞>を編集
川下りの船は渦に突っ込み、操船不能になっていた。
遠州天竜下り船転覆事故で、遠州天竜下りを運航する天竜浜名湖鉄道は2011/08/18、当時の詳しい状況を説明した。
船は乗客にスリルを味わってもらおうと、あえて渦に入ることになっている。午前中に同じ船頭が渦を無事に通過しており、助かった船頭らは「なぜ渦に巻き込まれたのか分からない」と困惑した。
天竜浜名湖鉄道社長の名倉健三らは10:00から記者会見した。名倉は事故を起こした船の船首にいた勤続7年の船頭 大畑茂雄(61)の話として、「船外機をつけ、渦へ入った。渦の流れに沿って船を走らせた後に進行方向右にカーブして渦から抜けるが、転覆した船は渦を出られず、なぜか(下流に向かって)右にかじを取られた。船頭はあわててしまったのではないか」と話した。
渦があるのは、乗船場所から約3km。上流を見て時計回りに渦が巻き、流れが急になっている。通常の運航で、船外機のエンジンをかけて渦の中心部分へ入る。渦に入るのはコースの見所の一つになっている。渦への入り方や抜け方は船頭によって異なるという。
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天竜川下り船転覆:子供への救命胴衣着用説明せず「暑いので置いておいて」運航会社が内規違反明らかに <静岡新聞 2011/08/18 11:33>を編集
川下り船を運航する天竜浜名湖鉄道社長の名倉健三らが2011/08/18午前に開いた2度目の会見では、船頭から聞き取った内容をもとに詳細な事故状況を説明。また、子供に対する救命胴衣の着用義務について船頭が説明しておらず、社内規定に違反していたことも明らかにした。
天竜浜名湖鉄道幹部が船頭の男性(61)から当時の状況を聞き取ったのは、静岡県警の事情聴取を終えた2011/08/18未明。男性は船の前方で観光案内をしており、操船は行方不明になっている北橋国幸(66)が行っていた。
天竜浜名湖鉄道によると、転覆現場は流れが急でカーブした地点。川下りでは、外側の岩壁に水流がぶつかって発生する渦の中に入り、スリルを味わってもらうという。
船頭の説明では、船は現場で船外機を使用したが、渦に入った後もうまく抜け出せず、渦の流れに沿って船首が上流を向いてしまい、そのまま岩壁に突っ込んだ。その後、船尾から浸水し転覆した。
2人の船頭は午前中の便でも同じペアで乗船。その際も渦に入ったがうまく抜け出していた。船頭は「午前中はうまくいったのに、なぜコントロールを失ったのか分からない」と話している。
また、着用が義務づけられた12歳未満の救命胴衣について、北橋が出発前に「暑いので置いておいてください」と説明。着用義務があった6人のうち1人しか着用していなかったという。
天竜浜名湖鉄道が静岡県警の家宅捜索を受けたことについて、名倉は「厳粛に受け止める。捜査には協力していく」と話した。
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天竜川下り船転覆:国交省調査官を派遣「重大事故」と位置付け <静岡新聞 2011/08/18 07:57>
国土交通省運輸安全委員会は2011/08/17、浜松市天竜区で起きた天竜川の川下り船転覆事故の原因究明のため、船舶事故調査官3人を現地に派遣した。
運輸安全委員会は、重傷者、行方不明者、死亡者などが2人以上とみられることから、重大事故と位置付け、川下り船を運航する天竜浜名湖鉄道の担当者や、転覆した船などの船頭、乗客らから事故状況について口述聴取する。さらに、転覆した船体の損傷具合なども調べる。
一方、国土交通省中部運輸局は2011/08/17、現地に職員を派遣し、転覆の原因や運航管理状況などの調査、確認作業に入った。国土交通省によると、天竜浜名湖鉄道は川下り船の運航に当たり、輸送作業の安全確保を目的に「救命具の格納場所や使用方法を船内に掲示する」「乗客に救命胴衣を着用させるように努める」「12歳未満の児童は常時救命胴衣を着用させる」などの作業基準を盛り込んだ安全管理規定を国土交通省に提出している。
国土交通省の担当者は「(乗船)定員の管理状況を含め、安全管理規定の内容が徹底されていたかを確認したい」としている。川下り船のような乗合船の場合、乗船名簿の作成は法的には義務付けられていない。
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天竜川下り船転覆:2人死亡3人不明 <静岡新聞 2011/08/18 08:00>を編集
2011/08/17 14:15頃、浜松市天竜区二俣町の天竜川で、川下りの船「第11天竜丸」が転覆し乗客らが流された。約20人が救助されたが、うち女性2人が死亡、5人が重軽傷を負い、病院に搬送された。21時現在、依然3人が行方不明。天竜警察署や浜松市消防局などによると、転覆した船は34人乗りで客21人と船頭ら乗員2人が乗っていたという。天竜舟下りを運航する天竜浜名湖鉄道社長の名倉健三は2011/08/17夜会見し、「操船ミスと考えている。大変な事故を起こして申し訳ありません」と謝罪した。
天竜警察署は業務上過失致死の疑いも視野に捜査を始めた。天竜警察署などによると、死亡したのは木村周子(67、豊橋市向山町)、羽根洋子(74、堺市北区百舌鳥赤畑町)。行方不明となっているのは、乗客の男児(2、浜松市西区)、男性(82、大阪府)、船頭の男性(66、浜松市天竜区)。
天竜浜名湖鉄道によると、船は2011/08/17 13:50頃、船明ダム(浜松市天竜区)の下流を出発し、飛龍大橋(浜松市浜北区)付近までの約6kmの区間を下る予定だった。現場はコースのほぼ中間地点で、川の流れが渦を描く「やや難所」だったという。乗員2人のうち、船の後方でかじを取っていた船頭は経験3年目。もう1人の男性(61)は7年目で船の前方でガイド役を務めていた。
天竜浜名湖鉄道などによると、川下り船は個人客64人が3隻に分かれて乗船して出発。転覆したのは2番目の船だった。岩壁にぶつかって転覆したとみられている。08/17は、流れは安定し、特別に水位は高くなかったという。現場付近の水深は約9m。
船明ダムを管理している電源開発によると、事故当時ダムはゲートを開放しての放流はしていなかった。国土交通省浜松河川国道事務所は「しばらく雨が降っておらず、川の水位は若干低かった」としている。
天竜浜名湖鉄道の担当者によると、ライフジャケットは通常乗客数以上を準備し、船の座席に設置しているが、乗船時に着用を徹底していなかったという。天竜警察署によると、事故に遭った子どもはライフジャケットを着ていたが、大人は着用していなかったという。
転覆に気付いた3隻目の乗員から携帯電話で連絡を受けた天竜浜名湖鉄道が119番した。転覆した船は大破したとみられ、まだ見つかっていない。今回の事故では、天竜浜名湖鉄道による乗客の正確な把握が遅れ、不明者の人数発表が二転三転した。
# 川下り船のような乗合船の場合、乗船名簿の作成は法的には義務付けられていない。
国交省運輸安全委員会は船舶事故調査官を派遣した。
■天竜舟下り
長野県、愛知県、静岡県を流れる天竜川の下流に当たる浜松市内で観光客向けに行われている川下り遊覧。天竜観光協会が天竜浜名湖鉄道に業務委託し、毎年3月中旬から11月下旬に平日1日2~4本運航する。2011年は03/18に運航を開始。事故当日は4本運航する予定だった。1隻に船頭2人が前後に乗り、20~30人の乗客が景色を楽しみながら約6kmを約50分かけて下る。例年1万人前後が乗船する。
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天竜舟下り:船頭6人がデビュー 新人養成講座が終了 <中日新聞 2011/08/16>を編集
天竜川の川下りを楽しむ遠州天竜舟下りで、今月から新人の船頭6人がデビューした。ベテラン船頭から指導を受けながら、「早く独り立ちできるように頑張りたい」と張り切っている。
浜松市天竜区の天竜川で運航する遠州天竜舟下りは、北遠地域の観光の目玉。天竜観光協会の委託で天竜浜名湖鉄道が運航業務を行っている。17人の船頭は最も若くて50代。80代が3人いる。
「ベテランがいる間に技術の継承を」と、天竜浜名湖鉄道は6年ぶりに一般募集をして船頭の養成講座を開いた。2011/07に講座が終わり、受講者の中から適性を判断して41歳から62歳まで女性1人を含む6人が天竜浜名湖鉄道と船頭の契約を結んだ。2011/08に入って次々とデビューしている。
6人の1人(54、浜松市北区)は「魚釣りで天竜川にはなじみがあり、船頭をやってみたいと思いました。今月から先輩と一緒にお客さんを乗せて舟下りを始めましたが緊張しますね」と話し、船頭のリーダー格で講座の講師を務めた小山正博(62)は「天竜川に櫂の音が続くように、川の文化を伝えてもらいたい」と新人船頭6人に期待を寄せている。
舟下りは、船明ダム下流の米沢乗船場から飛龍大橋そばの下船場まで約6kmを50分間ほどかけて下る。11月末まで運航。問合せは天竜浜名湖鉄道へ。
天竜浜名湖鉄道、川下りから撤退 取締役会で正式決定 <静岡新聞 2011/11/11 14:40>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営会社の天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区、社長 名倉健三)は2011/11/11、浜松市役所で取締役会を開き、川下り事業からの撤退を正式に決めた。天竜浜名湖鉄道に川下り事業を委託している天竜観光協会(浜松市天竜区)会長の萩田幹雄は「新たな引き受け手を探すことは難しく、廃止はやむを得ない」と話しており、川下りの幕が下りる可能性が高まる。
取締役会は午前10時から非公開で開催。天竜浜名湖鉄道によると、安全管理体制の再構築・徹底には人材確保面で多額の経費が掛かることなどから、事業継続は困難と判断した。取締役会長で静岡県知事の川勝平太は欠席した。
閉会後、名倉らが取材に応じ「人や費用の面を含め、安全管理体制をしっかりと作り上げていくことを踏まえると、川下りの運営は我々では厳しいと判断した」などと説明。地元・浜松市市長の鈴木康友は「保存会を作るとか、イベント的にやるとか、いろんなことがある。今後、観光協会などと浜松市で話し合いをしていきたい」と述べた。
天竜浜名湖鉄道は2003年から川下り事業を受託し、昨シーズンの乗船客数は約9000人。事故後の2011/10、国土交通省中部運輸局から海上運送法に基づく安全確保命令を受けた。
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天竜川下り船転覆:中部運輸局が安全確保命令 社長「川下り継続厳しい」 <静岡新聞 2011/10/14 14:31>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、国土交通省中部運輸局は2011/10/14、運営会社の天竜浜名湖鉄道(社長:名倉健三)に対し、海上運送法に基づく安全確保命令を出した。2011/10/14午前、名古屋市中区の中部運輸局に名倉を呼び、局長の甲斐正彰が命令書を手渡した。名倉は川下り事業の継続について、個人の考えとした上で「厳しいと思っている」と述べた。
改善措置として、
1)社長が主体的に関与する安全管理体制の構築
2)救命胴衣着用の徹底
3)安全教育や訓練の実施体制構築
4)安全管理規定の順守
を天竜浜名湖鉄道に命じた。遅くとも2011年度末までに改善報告をするよう求めている。
名倉は報道陣の取材に対し、命令内容を真摯に検討すると断った上で、安全管理体制の構築にはコストがかかると説明。「(天竜浜名湖鉄道の)本来の役割は地域の足を守る鉄道事業。もっと鉄道へ経営をシフトすべきと考えている」とした。今後、出資自治体による経営強化検討会で協議し、取締役会で継続の可否を判断する。
中部運輸局は事故後、天竜浜名湖鉄道への立入検査を2回実施した。12歳未満への救命胴衣の着用義務を日常的に守っていない天竜浜名湖鉄道の実態などを確認。一方、今回は事業許可の取消は見送った。
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天竜浜名湖鉄道取締役会、会社法に抵触 事故前まで規定回数守らず <中日新聞 2011/10/05>を編集
■出席者不足の疑いも
遠州天竜舟下り船転覆事故で、天竜浜名湖鉄道が事故前まで会社法に抵触する取締役会運営を続けてきたことが中日新聞の調べで分かった。3カ月に1回以上の開催義務を守っていなかった他、直近に開催した9回のうち5回は決議に必要な過半数の出席者を満たしていなかった疑いもある。
取締役の人数は2011/09末まで10人。代表取締役社長の名倉健三を除く非常勤9人は、静岡県知事 川勝平太をはじめ、出資自治体の首長らで構成している。
天竜浜名湖鉄道は中日新聞の取材に対し、3カ月に1回以上の規定違反を認めた。事故後に発足させた出資自治体との経営体制強化検討会で対応を検討する考えを示し、「各取締役が多忙で出席の調整が難しい点も踏まえ、取締役会の改革を議論していきたい」と話している。
中日新聞は事故後、取締役会の開催状況と非常勤9人の出欠などについて各自治体に情報公開請求をした。
開示文書などから、取締役会は2009年度から事故までに9回あり、うち5回は5~6人が欠席して出席者は過半数に達していなかった。9回の平均出席率は50.6%で、袋井市長と豊橋市長は全て欠席だった。
天竜浜名湖鉄道は、2009~2010年度に書面決議で済ませたことが4回あったと説明したが、法的には定期開催に含まれない。役員の出欠状況については「開示義務がない」と回答を拒否。一方で「開催時は過半数の出席があった」と話しており、取締役でない幹部職員らの代理出席を認めていた可能性がある。
小樽商科大学准教授(会社法)の南健悟は「取締役会への代理出席は認められていない」と指摘。その上で「出席者が過半数に満たない状態での取締役会開催は、取締役会決議を行うための定足数要件が欠けており、決議が有効に成立しないため、法令上適切な運営とは言えない」と話している。
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# 取締役は、静岡県知事、静岡県文化・観光部長、浜松市長、磐田市長、袋井市長、湖西市長、掛川市長、森町長、豊橋市長。
# 代理出席でOKと考えるのは、役人の常識。
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会社法第363条2項
前項各号に掲げる取締役(#代表取締役等)は、3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
#↑この条文から、取締役会は3ヶ月に1回以上、開催しなければならない、という解釈になる。開かなければならないという条文はない。
会社法第370条
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
会社法第372条
取締役、会計参与、監査役又は会計監査人が取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しない。
会社法第372条2項
前項の規定は、第363条第2項の規定による報告については、適用しない。
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専務に静岡県交通政策課長の鈴木茂樹 天竜浜名湖鉄道 <静岡新聞 2011/09/30 08:59>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、運営会社の天竜浜名湖鉄道は2011/09/29、事故後初の臨時株主総会を浜松市中区で開き、静岡県交通政策課長の鈴木茂樹(51)を常勤取締役に充てる選任案を満場一致で承認した。続いて開いた臨時取締役会(取締役会長・静岡県知事 川勝平太)で役職を専務と決めた。
天竜浜名湖鉄道は2011/09/19に開いた臨時取締役会で、現在、常勤取締役が社長の名倉1人の経営、安全管理体制を改めようと鈴木の選任案提出を決めていた。
鈴木は1982年静岡県入庁。主に人事、地域政策部門を歩んだ。2011/04から現職。2011/09/30付で静岡県を退職し、2011/10/01付で取締役に就任する。
取締役会後、鈴木は自身の会社での役割について「まずは事故の遺族、被害者への誠心誠意ある対応に努めるのが第一」とした上で、「救命胴衣の問題など会社の安全対策には隙があった。早急に検証し、地域の信頼をもう一度勝ち得るよう早急に改善策をまとめたい」と語り、遺族補償や社全体の安全管理対策の確立に携わる意向を示した。名倉は「天浜線を所管する担当課長としてこれまで相談してきた人。心強く思っている」と話した。
株主総会は非公開で行われ、沿線自治体や民間企業の株主52人のうち、15人が出席、34人が委任状を提出した。名倉によると、天竜浜名湖鉄道が事故について報告したが、株主から特に意見は出なかったという。
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天竜川下り船転覆:常勤取締役に静岡県交通政策課長 天竜浜名湖鉄道方針 <静岡新聞 2011/09/20 07:57>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、天竜浜名湖鉄道は2011/09/19、浜松市天竜区内で事故後2回目の臨時取締役会を開いた。2011/09/29に臨時株主総会を開催し、1人増員が決まっていた常勤取締役について静岡県交通政策課課長の鈴木茂樹(51)を充てる選任案を提出することを決めた。
非公開の臨時取締役会終了後、社長の名倉健三、取締役会長・静岡県知事の川勝平太、浜松市長の鈴木康友が取材に応じた。臨時株主総会で鈴木が選任されれば、2011/10/01付で就任。天竜浜名湖鉄道の常勤取締役は名倉と2人になる。出資自治体による経営体制強化検討会は2011/04からの天竜浜名湖鉄道の新経営体制を検討していて、鈴木の任期は新体制に移行するまでとなる見込み。
川勝は鈴木を推薦した理由について、担当課長として天竜浜名湖鉄道と深く関わり「責任を感じて使命感に燃え、社長の信任も厚い」と説明。「名倉の就任以前は、常勤取締役が2人いた。静岡県として名倉を支えると同時に、安全管理を徹底させたい」と述べた。
名倉は「心強く思う。基本的には補償交渉を含め、私の補佐をしていただく。安全管理についても新しい目で見ていただきたい」と語った。
取締役は臨時取締役会に先立ち、事故現場近くの河原を訪れ献花した。
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天竜川下り船転覆:運航会社、安全管理評価を実施せず <MSN産経 2011/09/14 11:38>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国土交通省中部運輸局が運航会社の天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)の海事部門に対して安全管理体制を点検する運輸安全マネジメント評価を実施していなかったことが2011/09/14分かった。
天竜浜名湖鉄道の鉄道部門には2007/11に実施していたが、海事部門には行っていなかった。事故では静岡県警が天竜浜名湖鉄道の安全管理に問題があったとみて、業務上過失致死傷容疑で調べている。中部運輸局は「海事部門は対象事業者数が非常に多い。順番にやっており、たまたま未実施だった」としている。
マネジメント評価は経営陣の聴取などを通じ、安全管理への取り組み状況を確認するもので、尼崎JR宝塚線脱線事故を受け2006/10に導入された。
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天竜川下り船転覆:原因究明には「時間かかる」 運輸安全委員会が現地調査 <静岡新聞 2011/09/13 08:13>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国土交通省運輸安全委員会の船舶事故調査官ら8人が2011/09/12、現地調査を行い、川下り船に乗船して事故現場となった渦を確認した。
現地調査は、事故直後の初動調査以来という。転覆船についている新旧の傷を記録した他、船頭から話を聞き、船で事故現場に向かった。
船舶事故調査官の田中独歩は「船頭の説明では事故当時より川の流れが急で、水も濁っていた」と乗船時の印象を述べ、事故原因の究明については「これから分析をしないといけない。まだまだ時間はかかる」とした。
一方、静岡県警は2011/09/12、見つかっていない船外機の捜索を再開した。捜査関係者によると発見には至らなかったという。
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天竜川下り船転覆:安全管理「社長関与不足」 中部運輸局2回目監査 <静岡新聞 2011/09/07 07:37>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、国土交通省中部運輸局は2011/09/06、海上運送法に基づき、運営会社の天竜浜名湖鉄道に2回目の立入り監査を行い、社長の名倉健三から安全管理に対する認識を聞き取った。
監査後に取材に応じた中部運輸局次席運航労務監理官の藤井孝昌は、経営者の責務とされる安全管理体制の構築について「社長に関与不足があった」との認識を示した。
天竜浜名湖鉄道が安全管理規定に基づき定めた作業基準は「12歳未満の児童には常時救命胴衣を着用させること」としているが、聞き取りに対し名倉は「知らなかった」と話したという。藤井は「(規定の)中身を率先して充実させていくのが社長。『知らなかった』というのは、あってはならない」と指摘した。
一方、天竜浜名湖鉄道の安全管理体制が事故の原因になったかどうかは検証が必要とした他、安全管理体制について「どの事業所も少なからず弱点を持っている」とも述べた。天竜警察署も訪ね、静岡県警が押収した天竜浜名湖鉄道の点検記録などを事故後初めて確認した。
中部運輸局は、今月中にも天竜浜名湖鉄道に行政処分を出す方針を明かしている。
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天竜川下り船転覆:「まず事業者が継続可否結論を」浜松市長 <静岡新聞 2011/09/01 08:24>を編集
浜松市長の鈴木康友は2011/08/31の定例会見で、遠州天竜舟下り船転覆事故を受けて、来季以降も継続するか検討されている川下り事業について「まずは(運営会社の)天竜浜名湖鉄道で結論を出してもらい、それから天竜観光協会も含めて検討していきたい」と、天竜浜名湖鉄道の検討結果を待つ考えを表した。
川下り事業は、天竜浜名湖鉄道が天竜観光協会からの事業委託を受けて運営している。浜松市によると、委託に当たり、天竜観光協会、天竜浜名湖鉄道、浜松市で3者協定を結び、浜松市は赤字補填の基金などへ補助金を出している。こうした経緯から、事業継続の最終判断は3者協議で決めることになっているという。
鈴木は「北遠の名物でもあり、出来るだけ残してもらいたい」としながら「事業者が安全管理、運営体制の見直しを進め、事業継続できるかの結論を出すのが先決」とした。川下り事業の継続可否については、天竜浜名湖鉄道に出資する静岡県や浜松市など周辺市町などで作る検討会でも、協議が始まっている。
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天竜川下り船転覆:事業継続判断 10月めど 天浜鉄道第1回検討会 <静岡新聞 2011/08/31 07:22>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営事業者の第3セクター 天竜浜名湖鉄道に出資する静岡県や沿線市町は2011/08/30、天竜浜名湖鉄道の経営体制や安全管理について協議する第1回経営体制強化検討会を浜松市役所で開いた。2011/10末までに来季以降の川下り事業を継続するかどうかの結論を出すことを決め、社長の名倉1人だった常勤取締役も増員することを確認した。
非公開の検討会後、静岡県文化・観光部長の出野勉は経営体制の見直しについて、次回以降の検討会で専門家の意見を聞き人数などを決める、とした。出野は「人選は未定。他の(非常勤)取締役が首長でいいのかということも課題になる」と話した。次回検討会は2011/09上旬の予定。検討会は出野の他、社長の名倉と、沿線の7市町の副市長、副町長、担当部長の計9人が出席した。
川下り事業は天竜観光協会の業務を受託する形で運営する。浜松市によると、業務受託の際、天竜観光協会、天竜浜名湖鉄道、浜松市で3者協定を結んでいるため、天竜浜名湖鉄道が事業継続するかどうかの意思を決めた後、最終的な結論を出すにはさらに3者協議を行う必要があるという。
2011/08/30、名倉から事故後の経過説明を初めて受けた天竜観光協会会長の萩田幹雄は「可能ならば川下りを続けてもらいたいが、仮に受託できないとなると新たな引き受け手を探すのは難しい」と話した。
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天竜川下り船転覆:天竜浜名湖鉄道経営見直しへ検討会 <静岡新聞 2011/08/26 07:47>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故を受け、運営事業者の第3セクター 天竜浜名湖鉄道(社長:名倉健三)は2011/08/25、臨時取締役会を開いた。
臨時取締役会には、取締役会長で静岡県知事の川勝平太や、浜松市長の鈴木康友ら取締役10人のうち7人が出席。常勤取締役の増員を含め新たな取締役体制や安全管理について協議していく検討会を来週にも立ち上げることを決めた。今季の川下りは中止としたが、川勝は「天竜の風物詩であり、何らかの形で存続するのが望ましい。検討会での論点になる」と述べた。
取締役会は非公開で行い、終了後、川勝と名倉らが取材に応じた。補償交渉については「誠心誠意、できる最大限の対応をすることを確認した」と説明した。
検討会は、天竜浜名湖鉄道に出資する静岡県や沿線市町のトップ級が参加し、今後の取締役体制や安全管理について2011年度中をめどに結論を出すとした。来季以降の川下り事業についても協議するとした。
常勤取締役が名倉だけという現在の役員体制について、川勝は「全てが名倉におんぶに抱っこになってしまっている。もう1人いれば分業できる。現在の体制ではまた事故が起こりかねない」との認識を示した。川下りの今後については「天浜線の経営に位置づけるのか、あるいは外すのか。経営するなら安全が確立できるのか。早急にとりまとめてもらいたい」と述べた。名倉については「歯を食いしばってでも頑張ってもらいたい」と当面は続投を求める考えを強調した。
遠州鉄道出身の名倉は川下り船の事故について「天浜線の経営を立て直そうと来たが、目が『鉄道、鉄道』とどうしてもなり、舟下りはベテラン社員に任せきりになっていた」と述べた。
終了後、事故現場近くの河原を訪れ、献花した。関係者によると、取締役会では乗客への見舞金についても話し合ったという。
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天竜川下り船転覆:「船外機フルスロットル」で岩に一直線 乗船男性が証言 <静岡新聞 2011/08/25 07:45>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、転覆した船に乗船していた男性が2011/08/23までに静岡新聞社の取材に応じ、事故が起きた渦で「船が一度止まったようになり、川上方向に向きを変えた後、船外機がフルスロットルのような感じで岩に一直線にぶつかった」と証言した。
男性によると、事故現場は川の流れが緩やかな場所もあり、渦と呼べるほどではないと感じた。船は流れに入ると回転して河原の方向へ向き、一度止まったようになった後、川上方向へ向きを変えたという。その時、船首にいたガイド役の船頭(61)が「おいおい、かけろ」と舵取り役の船尾の船頭(66、死亡)に指示を出すと、船外機が「フルスロットルのよう」になって加速し、岩壁に一直線に進んでいったという。男性は「『こんな速さじゃいかんだろう』と不安を感じ、とっさに船の縁をつかんだ」と振り返る。直後に船は船首の右側から岩に乗り上げて衝突。その後、船が左側に傾き、水中へ投げ出されたという。男性は「船外機がいつからかかっていたのか分からないが、なぜあそこでふかしたのか不思議」と首をひねり、「(船外機を)そのまま使わなければ、船は一回転して流れに戻れたんじゃないか」との印象を持っていると話した。
キャリア30年以上の元船頭によると、通常、渦の手前から船外機を使い始め、渦に入り、さらにふかして抜けるという。
川下り船を運営する天竜浜名湖鉄道のこれまでの説明によると、船外機は渦に入る手前から衝突するまでかかっていたという。ただ、「渦で船外機をどう使ったか、船の向きがなぜ変わったかは分かっていない」としている。
静岡県警は、現場上流のダムからの放水が止まるのを待ち、まだ見つかっていない船外機の捜索を再開する方針。
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天竜川下り船転覆:幼児用救命胴衣備えず 運輸安全委員長会見 <静岡新聞 2011/08/25 07:42>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国交省運輸安全委員会委員長の後藤昇弘は2011/08/24の定例会見で、これまでの調査で、川下り船を運営する天竜浜名湖鉄道が体重15kg未満の幼児用救命胴衣を備えていなかったことが確認されたと明らかにした。
後藤は事故の問題点として、大半の乗客が救命具を着けていなかった点をあらためて強調。その上で「体重40kg未満用の救命胴衣はいくつかあったようだが、(亡くなった)2歳のお子さんに当てはまる救命胴衣は搭載されてなかったし、会社にも準備されていなかったと聞いている」「なぜ搭載、準備されていなかったのか、その事情を調査している」と述べた。
法令では、体重による義務規定はないものの、12歳未満の子供に救命器具を着用させることが義務付けられている。
事故原因の究明と再発防止のための調査については、現地での関係者からの口述聴取など初動調査を終えた段階と説明。今後は、模型船を使って現場状況を再現するような実験も行い、操船(舵取り)、天竜川の当時の状況、川の流れと船の関係などの解析を進め、「1年以内に調査報告をまとめられるように努力したい」との見通しを示した。
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天竜川下り船転覆:運航会社法令違反の可能性 中部運輸局 <静岡新聞 2011/08/24 08:17>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、国土交通省中部運輸局次席運航労務監理官の藤井孝昌は2011/08/23、運営事業者の天竜浜名湖鉄道への海上運送法に基づく特別監査後、法令で定めた12歳未満の子どもの救命胴衣着用義務について、天竜浜名湖鉄道に「違反の可能性がある」との認識を示した。
監査では、運航管理者と転覆船の船頭(61)から安全管理規定の順守・運用状況を聞き取った。関係書類の確認や聴取を重ね、業務改善命令など行政処分を検討する。
天竜浜名湖鉄道が安全管理規定に基づき定めた作業基準は「12歳未満の児童には常時救命胴衣を着用させること」としているが、天竜浜名湖鉄道は日常的に順守していなかったことを明かしている。藤井は取材に「非常にマイナス点」と指摘、救命胴衣の未着用が重大な結果につながった可能性を示唆した。
天竜浜名湖鉄道は救命胴衣について「準備していたし規定も認識していたが、事故がなく、着用については安心感が出て法令順守が緩くなった」と説明したという。社長の名倉健三は着用義務について「事故後に知った」と話しており、中部運輸局は今後、名倉からも安全管理に対する認識を聴取する方針。
中部運輸局は2~3年ごとに夏季安全点検を行っているという。着用義務違反には「その時にお子さんが乗っていなければ、確認できない」とした。
一方、静岡県警は2011/08/23、乗船場で転覆船を実況見分し、破損状況を調べた。
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天竜川下り船転覆:観光の目玉、再開へ期待強く 地元の苦渋 <MSN産経 2011/08/23 02:09>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故では、船を運航する天竜浜名湖鉄道の安全管理体制に厳しい目が向けられる一方、地元住民の間で船頭らへの同情の声も広がっている。北遠地方の観光名物として期待はなお大きく、運航再開のめどが立たない現状に落胆する地元住民も多いようだ。
「私が見る限り、船頭さんたちは安全にすごく気を遣っていた」。父親が元船頭で乗船場近くに住む女性(62)はこう話して俯いた。風が出たり川の水位が少し上昇したりすると運休にし、遠方からの観光客に「なぜ船を出さないのか」と詰め寄られる船頭の姿もよく目にしたという。
遠州天竜舟下りは昭和20年代に始まり、3~11月の風物詩として人気を博してきた。2003年に天竜観光協会から天竜浜名湖鉄道に運営を委託。天浜線 天竜二俣駅で客を集め、乗船場までバスで移動するなどアクセスを改善し、全国から客を集めるまでになった。
天竜観光協会の職員は「静岡県内外から広く観光客を呼べる材料は舟下りだけだった」と肩を落とす。舟下りは周辺の飲食店や土産店にも恩恵を与えてきた。天竜区二俣町の蕎麦店経営者は「(運航時期は)数十人のお客さんがまとまって訪れ、町が賑やかになる。運航をやめると町が寂れるんじゃないだろうか」と項垂れた。
天竜浜名湖鉄道は2011/08/22、事故を受けた安全対策などを話し合う臨時取締役会を2011/08/25に開催することを決定。だが、「運航再開を口にできる雰囲気ではない」(関係者)のが実情だ。
乗船場近くに住む女性は「天竜浜名湖鉄道も力を入れ、やっとお客さんが増えてきた。これからどうなるのか」と話していた。
天竜の名を全国区にした舟下りは観光だけでなく、上流の天竜杉を筏に組んで下流に運んだ時代から北遠の文化でもある。船の運休が長引くほど地元の喪失感は大きい。同じ女性は「ぜひもう一度安全な形でやり直してほしい」とも話し、力なくも運航再開に期待を込めていた。
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天竜川下り船転覆:不明者全員の遺体発見 原因究明、捜査が焦点 <MSN産経 2011/08/22 02:23>を編集
■専門家「急流で渦も強い」
遠州天竜舟下り船転覆事故では、2011/08/20深夜までに行方不明者全員の遺体が見つかり、死者5人となった。事故の焦点は、原因の究明と業務上過失致死傷容疑で静岡県警が進めている捜査の行方に移った。一方、船を運営する天竜浜名湖鉄道は2011/08/21、記者会見し、近く臨時取締役会を召集して安全対策を再考する方針を明らかにした。
静岡県警は事故現場付近の捜索の規模を2011/08/21から縮小、まだ見つかっていない船外機などの発見を急ぐ。今回の事故では遺体発見におよそ3日かかり、発見場所も転覆現場から約300m~11km下流と広範囲に及んだ。場所や深さで変わる複雑な流れと濁った水という天竜川独特の事情が関係したと指摘する専門家もおり、事故原因の解明や静岡県警の捜査でもポイントの一つとなりそうだ。
事故原因をめぐっては、国土交通省運輸安全委員会の船舶事故調査官らが調査、静岡県警が業務上過失致死傷容疑で捜査を進めている。
天竜川は外から見れば穏やかで水量も少ないように見える。だが、東北大学教授・静岡大学客員教授(水工学)の風間聡は「天竜川、大井川、安倍川など静岡県の川は比較的急流で流量も多い」と説明する。事故現場となった蛇行部は「大きく強い渦が横だけでなく縦方向にもできる。一度渦に入ってしまうと押し込まれてなかなか出られないことがある」「深いところで流されると思いのほか早い」。風間はこういった条件が、行方不明者の捜索に時間がかかった要因とみている。
ただ、逆の見方も。「見た目より川の流れは速いが、激流というわけではない」(天竜川漁協職員)とする意見も地元で根強い。船明ダムなどが建設されるまでは暴れ天竜の異名の通り水量が安定せず、「あちこちで渦ができたり消えたりして危なかった」。現在は「水量も安定して渦も小さく、船の危険はほとんどなくなった」(職員)と話す。
水中の視界が悪いという天竜川独特の事情も、捜索を難しくした。天竜川の水位や水質を調べている国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所調査1課は「船明ダムより下流は放流があるため、川底の砂や泥が巻き上げられ、常に白く濁っている」と話す。担当者によれば、平時の水中の視界は「感覚的には30cmくらい」と話している。
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天竜川下り船転覆:2歳男児、80歳男性、66歳船頭の遺体を発見 <MSN産経 2011/08/21 00:25>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、静岡県警と浜松市消防局の捜索隊は2011/08/20、船頭の北橋国幸(66、浜松市天竜区西雲名)と、乗客の羽根弘(80、堺市北区百舌鳥赤畑町)の2遺体を発見した。2011/08/20夜になって、望月柾良(2、浜松市西区桜台)の遺体も発見され、行方不明者全員の遺体が見つかった。
転覆した船の舵取り役だった船頭の遺体は2011/08/20午前、釣り人の男性が事故現場から約10km下流の川の中州で見つけ、119番通報した。「天竜下り」と書かれた法被に股引姿で、裏地には「北橋」と名前が書かれていた。
80歳男性の遺体は2011/08/20午後、事故現場から約300m下流で発見された。
2011/08/20夜には、水面に浮いている黄色いタンクトップに紙おむつ姿の2歳男児の遺体を、捜索隊が発見した。
3人とも静岡県警で遺族が確認し身元が特定され、事故の死者は計5人となった。
静岡県警などは2011/08/20午前、転覆現場から約1.5km下流の川底(水深約7m)で見つかった第十一天竜丸を水面に引き揚げる作業も実施。ダイバーが水中に沈んでいた船に浮袋を取り付け、警察と消防の車両がワイヤで引き揚げた。静岡県警によれば、引き揚げられた船には船外機がなかったほか、船体の中央に亀裂が入り、船尾部分が破損していたという。
一方、北橋はベテラン船頭の補助なしで1人で操船を行ったのは、確認できるだけで9回だけだったことを運航会社の天竜浜名湖鉄道は明らかにした。
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天竜川下り船転覆:現場から1.5km下流の川底で船体を発見 <MSN産経 2011/08/20 12:21>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、静岡県警などは船は2011/08/19午後、水深約7mの川底で発見。2011/0820午前、事故現場から約1.5km下流の川底で見つかった「第十一天竜丸」を水面に引き揚げる作業を実施。ダイバーが水中に沈んでいた船に浮袋を取り付け、警察と消防の2車両がワイヤで引き揚げた。同日中に地上に引き揚げた。
船体には船外機がなかった。船尾部分が破損していた。右舷中央のやや後方に長さ約50cmほどの縦の亀裂が入っていた。他には目立った損傷はなかったという。静岡県警などはさらに船体の損傷状況などを調べ、事故原因の特定を進める。
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天竜川下り船転覆:法制度は海上想定 対策は業者任せに <MSN産経 2011/08/20 22:43>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営する天竜浜名湖鉄道が、法律で義務づけられている子供への救命胴衣着用義務を説明していなかったり、転覆を想定した訓練を実施していないなど、杜撰な安全管理が次々と明らかになった。国土交通省海事局は事故を受けて、全乗客に救命胴衣の着用などを義務づけるよう全国の事業者に指導したが、川の船に適用される法律はもともと海上の船を想定したもので、安全対策は業者任せにしていた現状がある。
国交省によると、川下り事業者の安全対策をめぐる法律は、(1)船舶安全法、(2)船舶職員法、(3)海上運送法の3つ。
(1)は、川下り船のような屋根のない20t未満の小型船舶に救命胴衣かクッション型の救命具を配備するよう規定。(2)は船頭(船長)に対して12歳未満の乗客には救命胴衣を必ず着用させ、12歳以上には着用を促すよう求めている。(3)は事業者に対し、安全管理規程のマニュアルを設けて国に提出するよう定めている。
ただ、(2)(3)の対象となるのは、エンジンが搭載された小型船舶を所有する事業者や操船者が対象。こうした認可業者は2011/04現在で全国に968あるが、ほとんどがフェリーなど海上の業者で、事故を起こした船と同様に屋根がない船で川下りを行っている認可業者は15のみだ。
だが、エンジンがついていない船で川下りをしている業者は「相当数ある」(国交省幹部)とされ、こうした業者には救命胴衣の着用などについて法的な規制がない。業者によっては子供に救命胴衣を着させずに乗船させるケースも多い。国交省は今回、認可業者だけでなくこうした業者も指導の対象とした。
また海の小型船舶の場合、海上保安庁が定期的に船舶免許や安全設備の確認などを行っているが、川の船に関しては、公的機関による定期的な検査などは十分に行われていない。天竜浜名湖鉄道のような認可業者についても、外部から安全管理態勢に対する監視の目は働いていなかった疑いが強い。
海難事故に詳しい東海大学教授の山田吉彦は「船舶安全法などはそもそも海上を想定したもので、川の船は法の網から抜けた存在といえる」「法律で規制されないからといって安全義務を果たさなくていい理由にはならず、事業者は安全管理を再確認すべきだ」と話している。
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天竜川下り船転覆:救命胴衣の一時義務化を検討 <静岡新聞 2011/08/19 14:28>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、運営会社の天竜浜名湖鉄道は2011/08/19の会見で、2003年に長野県内の天竜川で同様の川下り船が転覆した事故を受け、社内で一時、乗客全員に救命胴衣の着用を求める検討をしたが、徹底に至らなかったことを明らかにした。
この事故は長野県飯田市で、天竜舟下りが運営する川下り船(天竜舟下り、弁天港→時又港)が岩に衝突して転覆、水中に投げ出された中学生と船頭の計2人が怪我をした。川下り船には今回の事故の船と同様に救命クッションが座席に敷かれていたが、活用した乗客は少なかったという。
# この会社はその後、自動膨脹型ライフジャケットを着用義務としている。
天竜浜名湖鉄道は会見で、当時、12歳以上の大人を含む乗客全員に着衣型の救命胴衣の利用を義務付けようと社内で検討したと説明。「当時の営業担当者が『クッション型で法律上問題ない』などとして買い換えを見送った」と経緯を明らかにした。
その後、救命クッションの活用など安全対策は現場の船頭らに一任し、2年ほど前からは船頭らが法令で定められている12歳未満の客への救命胴衣着用も求めなくなっていったという。
天竜浜名湖鉄道 営業課長の松野幸夫は「クッション型でも法令違反はないと判断した。国の機関からも指摘を受けたことがなかったが、安全管理に対する認識が甘かった。社内で安全について話し合う場もなかった」と述べた。
静岡県警は2011/08/19以降も天竜浜名湖鉄道や船頭などから事情を聴き、天竜浜名湖鉄道の安全対策などについて調べていくとみられる。
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天竜川下り船転覆:舵取りは「新人」船頭 実経験わずか半年 <静岡新聞 2011/08/19 08:51>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、川下りを受託運営している天竜浜名湖鉄道は転覆を想定した訓練をほとんど実施していなかったことが2011/08/18、関係者への取材で分かった。行方不明となっている船頭(66)については、天竜浜名湖鉄道はこれまで「ベテラン」などと説明していたが、操船を担う船尾の舵取り役を担当したのは2011/03からで、実践経験はまだ半年程度だった。
天竜浜名湖鉄道は年1回、天竜川漁協や天竜消防署などと水難訓練を行っていた。しかし、訓練は流された釣り人を助けるなどの想定で、自船が事故を起こした場合の訓練はまれだったという。最近では2007年に「川下り船が橋の欄干に衝突、航行できなくなり、乗客が流される」との訓練はあったが、この際も転覆までは想定されていなかった。天竜浜名湖鉄道は「実際に船を転覆させるわけにもいかないため、想定したことはなかった」と説明する。
天竜浜名湖鉄道によると天竜川下りの船頭22人のうち、高度な技術が求められる船尾を担当している船頭は8人。行方不明の船頭は船頭歴3年目だが、舵取り役の中では最も経験が浅かったという。養成講座を受け船頭となった後は、技術向上のための体系だった研修会はなく、経験豊富なベテランから日常業務の中で指導を受けるだけだったという。船首から船尾へ担当をを変える際の判断も、ベテラン船頭が個人の技量を独自判断し決めていた。船頭歴1~2年で船尾を務める船頭もいれば、5年以上かかる人もいるという。天竜浜名湖鉄道は、舵取り歴の浅さが事故につながった可能性は「否定できない」とした。
■静岡県知事「深く反省」
天竜舟下りの転覆事故を受け、静岡県知事の川勝平太は2011/08/18、静岡県庁で報道陣の取材に応じた。静岡県は船下りを運営する天竜浜名湖鉄道の最大出資者。静岡県知事は天竜浜名湖鉄道の取締役会長を務める立場から、川勝は「非常に深く反省している」と述べ、危機管理対応の確認などで臨時取締役会の招集を要請する考えを示した。
川勝は「大惨事にショックを受けている。亡くなられた2人に心からご冥福を申し上げ、行方不明の3人が一刻も早く発見されるよう、祈る気持ち」と頭を下げた。救命胴衣着用が徹底されていなかった点には、「どこかに油断があったのではないかという思いがある。取締役会に名を連ねている者として、用心に用心を重ねる姿勢を言う機会がなかったことを悔やんでいる」とした。
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天竜川下り船転覆:不明3人の捜索難航 <神戸新聞 2011/08/19 07:17>を編集
遠州天竜舟下り船転覆事故で、静岡県警や浜松市消防局などは2011/08/18、200人以上を動員して行方不明者の捜索を続けたが見つからず、日没で捜索を一時打ち切った。水中の視界が悪く捜索が難航しているという。
静岡県警と浜松市消防局は沿岸の捜索範囲を河口まで広げ、現場付近では潜水部隊や水中音波探知機などを投入して川底を調べるなど大規模な捜索を実施した。浜松市消防局は「水中の濁りがあって水深50cm以下はよく見えない」と説明した。下田海上保安部も河口付近の海上を巡視船で捜索した。
静岡県警は同日、事故で死亡した2人の死因を「水死の疑い」と発表した。
船の運営会社 天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は同日までに、「操船ミス」が事故につながったとの見方を示し、法令で義務づけられている12歳未満の客への救命胴衣着用についても、船頭が「暑いので置いておいていい」と説明していたことを明らかにした。天竜浜名湖鉄道の安全管理担当者は、過去にも子どもに救命胴衣を着用させていない船頭を注意したことがあり、未着用の違法性を認識していたとしている。
静岡県警はこれらの会社側の説明を踏まえ、安全対策の不備や法令違反がなかったかなど、業務上過失致死容疑での立件も視野に関係者の調べを進めていく方針。
国土交通省の船舶事故調査官ら5人は同日、原因究明のため事故現場を視察した。地形や川の流れを調べたほか、天竜浜名湖鉄道の関係者に運航に関する説明を求めた。
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# 天竜川河口(静岡県中部~西部の海域)は本来、清水海上保安部(巡視船1隻、巡視艇3隻)が管轄。管轄外の下田海上保安部(巡視船2隻、巡視艇1隻)が出張る理由はなんだろう? 鳥羽海上保安部じゃないのは(管区が違うから)わかるとして。
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天竜川下り船転覆:渦に突入数秒後、制御失い岩壁へ 船頭が証言 <MSN産経 2011/08/18 23:10>を編集
船は最大の見せ場だった渦の通過で回転し、船首から岩壁に突っ込んだ。
遠州天竜下り船転覆事故で、運航していた天竜浜名湖鉄道は一夜明けた2011/08/18の会見で、無事だった船頭から聞き取り結果をもとに事故当時の状況を説明した。コントロールを失ってから事故までわずか数秒。乗客を突然襲った惨事を再現する。
2011/08/17 14:15頃、23人が乗った川下りの船は流れが急な右カーブにさしかかろうとしていた。このカーブは外側の岩壁に水流がぶつかり発生する渦の中に船を突っ込ませ、乗客にスリルを味わってもらう見せ場だった。船を後方で操るのは船頭経験3年目の北橋国幸(66)。前方では船頭経験8年目の大畑茂雄(61)が乗客に観光案内をしていた。2人は午前中も同じペアで船を操っており、渦をどのようなコースで進むかは、船頭の判断に委ねられていた。船は午前と同様、エンジンをふかし、渦の中心よりやや右に突っ込んでいった。歓声を上げる乗客たち。だが、午前中と違い、船が渦から抜け出せない。渦に沿って回るように流され、数秒後には船首から岩壁にたたきつけられた。後方から水がどんどん入り込み、あっという間に転覆。前方に座っていたとみられる5人ぐらいがとっさに岩壁に上って避難し、残りの人たちは次々と川に投げ出されていった。救命胴衣の着用が義務付けられた12歳未満の乗客は6人いたが、事故当時に実際に着用していたのは船の中でたった1人だけだった。大人たちは救命胴衣として使える救命クッションを座布団代わりに座っており、一部の人たちはこのクッションなどにしがみついて息をつないだ。
「なぜ(船が渦を抜け出せずに)回ったのか分からない。午前中はうまくいったのに…」。救出されたベテラン船頭は2011/08/18未明、会社側の聞き取りに対し、混乱した様子でこう説明したという。
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川下り船の安全運航の徹底について <2011/08/18 国土交通省海事局安全・環境政策課>を編集
2011/08/17、天竜川の川下り船において転覆事故が発生し、死傷者・行方不明者が発生しました。
現在、事実関係の確認及び事故原因調査が進められている状況ですが、事故の重大性に鑑み、国土交通省海事局では、本日付で、全国の川下り船事業者に対し、早急に以下の措置を講じるよう指導することとしました。
(1)転覆事故等を防止するため、慎重な操船の実施を徹底すること
(2)年齢を問わず乗客への救命胴衣の着用を徹底すること(救命クッションを備える船舶にあっては、転落等の際に救命クッションが体から離れることを防止する措置(例えば救命クッションと乗客の体をつなぐひもを設ける等)を講じるとともに使用方法の徹底を図ること)
(3)搭載する小児の数に応じて、適切な小児用の小型船舶用救命胴衣を備え、着用を徹底すること
(4)安全管理規程の届出義務がある事業者においては、上記(2)(3)の措置の実施を安全管理規程において明記すること
以上
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# 船舶職員法などでは、川下り船など船室のない20t未満の小型船舶については、12歳未満の子供には救命胴衣の常時着用を義務づけているが、12歳以上については「着用させるよう努める」との努力義務にとどまっている。
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天竜川下り船転覆:客にスリル…あえて渦へ入るコースの川下り船 <2011/08/18 12:13 読売新聞>を編集
川下りの船は渦に突っ込み、操船不能になっていた。
遠州天竜下り船転覆事故で、遠州天竜下りを運航する天竜浜名湖鉄道は2011/08/18、当時の詳しい状況を説明した。
船は乗客にスリルを味わってもらおうと、あえて渦に入ることになっている。午前中に同じ船頭が渦を無事に通過しており、助かった船頭らは「なぜ渦に巻き込まれたのか分からない」と困惑した。
天竜浜名湖鉄道社長の名倉健三らは10:00から記者会見した。名倉は事故を起こした船の船首にいた勤続7年の船頭 大畑茂雄(61)の話として、「船外機をつけ、渦へ入った。渦の流れに沿って船を走らせた後に進行方向右にカーブして渦から抜けるが、転覆した船は渦を出られず、なぜか(下流に向かって)右にかじを取られた。船頭はあわててしまったのではないか」と話した。
渦があるのは、乗船場所から約3km。上流を見て時計回りに渦が巻き、流れが急になっている。通常の運航で、船外機のエンジンをかけて渦の中心部分へ入る。渦に入るのはコースの見所の一つになっている。渦への入り方や抜け方は船頭によって異なるという。
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天竜川下り船転覆:子供への救命胴衣着用説明せず「暑いので置いておいて」運航会社が内規違反明らかに <静岡新聞 2011/08/18 11:33>を編集
川下り船を運航する天竜浜名湖鉄道社長の名倉健三らが2011/08/18午前に開いた2度目の会見では、船頭から聞き取った内容をもとに詳細な事故状況を説明。また、子供に対する救命胴衣の着用義務について船頭が説明しておらず、社内規定に違反していたことも明らかにした。
天竜浜名湖鉄道幹部が船頭の男性(61)から当時の状況を聞き取ったのは、静岡県警の事情聴取を終えた2011/08/18未明。男性は船の前方で観光案内をしており、操船は行方不明になっている北橋国幸(66)が行っていた。
天竜浜名湖鉄道によると、転覆現場は流れが急でカーブした地点。川下りでは、外側の岩壁に水流がぶつかって発生する渦の中に入り、スリルを味わってもらうという。
船頭の説明では、船は現場で船外機を使用したが、渦に入った後もうまく抜け出せず、渦の流れに沿って船首が上流を向いてしまい、そのまま岩壁に突っ込んだ。その後、船尾から浸水し転覆した。
2人の船頭は午前中の便でも同じペアで乗船。その際も渦に入ったがうまく抜け出していた。船頭は「午前中はうまくいったのに、なぜコントロールを失ったのか分からない」と話している。
また、着用が義務づけられた12歳未満の救命胴衣について、北橋が出発前に「暑いので置いておいてください」と説明。着用義務があった6人のうち1人しか着用していなかったという。
天竜浜名湖鉄道が静岡県警の家宅捜索を受けたことについて、名倉は「厳粛に受け止める。捜査には協力していく」と話した。
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天竜川下り船転覆:国交省調査官を派遣「重大事故」と位置付け <静岡新聞 2011/08/18 07:57>
国土交通省運輸安全委員会は2011/08/17、浜松市天竜区で起きた天竜川の川下り船転覆事故の原因究明のため、船舶事故調査官3人を現地に派遣した。
運輸安全委員会は、重傷者、行方不明者、死亡者などが2人以上とみられることから、重大事故と位置付け、川下り船を運航する天竜浜名湖鉄道の担当者や、転覆した船などの船頭、乗客らから事故状況について口述聴取する。さらに、転覆した船体の損傷具合なども調べる。
一方、国土交通省中部運輸局は2011/08/17、現地に職員を派遣し、転覆の原因や運航管理状況などの調査、確認作業に入った。国土交通省によると、天竜浜名湖鉄道は川下り船の運航に当たり、輸送作業の安全確保を目的に「救命具の格納場所や使用方法を船内に掲示する」「乗客に救命胴衣を着用させるように努める」「12歳未満の児童は常時救命胴衣を着用させる」などの作業基準を盛り込んだ安全管理規定を国土交通省に提出している。
国土交通省の担当者は「(乗船)定員の管理状況を含め、安全管理規定の内容が徹底されていたかを確認したい」としている。川下り船のような乗合船の場合、乗船名簿の作成は法的には義務付けられていない。
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天竜川下り船転覆:2人死亡3人不明 <静岡新聞 2011/08/18 08:00>を編集
2011/08/17 14:15頃、浜松市天竜区二俣町の天竜川で、川下りの船「第11天竜丸」が転覆し乗客らが流された。約20人が救助されたが、うち女性2人が死亡、5人が重軽傷を負い、病院に搬送された。21時現在、依然3人が行方不明。天竜警察署や浜松市消防局などによると、転覆した船は34人乗りで客21人と船頭ら乗員2人が乗っていたという。天竜舟下りを運航する天竜浜名湖鉄道社長の名倉健三は2011/08/17夜会見し、「操船ミスと考えている。大変な事故を起こして申し訳ありません」と謝罪した。
天竜警察署は業務上過失致死の疑いも視野に捜査を始めた。天竜警察署などによると、死亡したのは木村周子(67、豊橋市向山町)、羽根洋子(74、堺市北区百舌鳥赤畑町)。行方不明となっているのは、乗客の男児(2、浜松市西区)、男性(82、大阪府)、船頭の男性(66、浜松市天竜区)。
天竜浜名湖鉄道によると、船は2011/08/17 13:50頃、船明ダム(浜松市天竜区)の下流を出発し、飛龍大橋(浜松市浜北区)付近までの約6kmの区間を下る予定だった。現場はコースのほぼ中間地点で、川の流れが渦を描く「やや難所」だったという。乗員2人のうち、船の後方でかじを取っていた船頭は経験3年目。もう1人の男性(61)は7年目で船の前方でガイド役を務めていた。
天竜浜名湖鉄道などによると、川下り船は個人客64人が3隻に分かれて乗船して出発。転覆したのは2番目の船だった。岩壁にぶつかって転覆したとみられている。08/17は、流れは安定し、特別に水位は高くなかったという。現場付近の水深は約9m。
船明ダムを管理している電源開発によると、事故当時ダムはゲートを開放しての放流はしていなかった。国土交通省浜松河川国道事務所は「しばらく雨が降っておらず、川の水位は若干低かった」としている。
天竜浜名湖鉄道の担当者によると、ライフジャケットは通常乗客数以上を準備し、船の座席に設置しているが、乗船時に着用を徹底していなかったという。天竜警察署によると、事故に遭った子どもはライフジャケットを着ていたが、大人は着用していなかったという。
転覆に気付いた3隻目の乗員から携帯電話で連絡を受けた天竜浜名湖鉄道が119番した。転覆した船は大破したとみられ、まだ見つかっていない。今回の事故では、天竜浜名湖鉄道による乗客の正確な把握が遅れ、不明者の人数発表が二転三転した。
# 川下り船のような乗合船の場合、乗船名簿の作成は法的には義務付けられていない。
国交省運輸安全委員会は船舶事故調査官を派遣した。
■天竜舟下り
長野県、愛知県、静岡県を流れる天竜川の下流に当たる浜松市内で観光客向けに行われている川下り遊覧。天竜観光協会が天竜浜名湖鉄道に業務委託し、毎年3月中旬から11月下旬に平日1日2~4本運航する。2011年は03/18に運航を開始。事故当日は4本運航する予定だった。1隻に船頭2人が前後に乗り、20~30人の乗客が景色を楽しみながら約6kmを約50分かけて下る。例年1万人前後が乗船する。
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天竜舟下り:船頭6人がデビュー 新人養成講座が終了 <中日新聞 2011/08/16>を編集
天竜川の川下りを楽しむ遠州天竜舟下りで、今月から新人の船頭6人がデビューした。ベテラン船頭から指導を受けながら、「早く独り立ちできるように頑張りたい」と張り切っている。
浜松市天竜区の天竜川で運航する遠州天竜舟下りは、北遠地域の観光の目玉。天竜観光協会の委託で天竜浜名湖鉄道が運航業務を行っている。17人の船頭は最も若くて50代。80代が3人いる。
「ベテランがいる間に技術の継承を」と、天竜浜名湖鉄道は6年ぶりに一般募集をして船頭の養成講座を開いた。2011/07に講座が終わり、受講者の中から適性を判断して41歳から62歳まで女性1人を含む6人が天竜浜名湖鉄道と船頭の契約を結んだ。2011/08に入って次々とデビューしている。
6人の1人(54、浜松市北区)は「魚釣りで天竜川にはなじみがあり、船頭をやってみたいと思いました。今月から先輩と一緒にお客さんを乗せて舟下りを始めましたが緊張しますね」と話し、船頭のリーダー格で講座の講師を務めた小山正博(62)は「天竜川に櫂の音が続くように、川の文化を伝えてもらいたい」と新人船頭6人に期待を寄せている。
舟下りは、船明ダム下流の米沢乗船場から飛龍大橋そばの下船場まで約6kmを50分間ほどかけて下る。11月末まで運航。問合せは天竜浜名湖鉄道へ。
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