Sclaps KOBE
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【復興日本】第2部 首都一極の危うさ(5) 「無駄な空港」が重要拠点に 強い東京との両立カギ <MSN産経 2011/06/15 19:51>を編集
東日本大震災をきっかけにした、超過密首都・東京を再考する動きは、消えてしまったはずの過去をも甦らせようとしている。
福島空港は福島県東部、北は宮城県から南は茨城県まで広がる阿武隈山地のほぼ半ば、福島県須賀川市と玉川村にまたがっている。首都圏に近く、無駄な公共工事の象徴と揶揄され続けてきた空港が、大震災では重要な拠点となった。
須賀川市では、震度6弱の揺れを観測、ため池が決壊するなど11人の死者・行方不明者が出た。市庁舎は損傷し、市内の体育館などで業務を続けている状態だ。一方、福島空港は管制塔のガラスが全て割れるなどの被害を受けたものの、阿武隈山地の強い地盤に守られ、運用を続けることができた。
震災直後、空港には被災地向けの救援物資や人員を運ぶ民間機と自衛隊機が集結。マスコミの取材ヘリも集まった。羽田空港や名古屋空港との臨時便が発着し、新千歳空港や伊丹空港に向かう便も増発されるなどフルに稼働した。津波で使用不能になった仙台空港や、寸断された鉄道に代わる役割を果たしたのである。
×××
この地域はかつて、首都機能移転論議が盛り上がったころ、国会などの移転先に名乗りを上げていた「栃木・福島地域」。その核が福島空港だった。
昭和30年代から始まった首都機能移転論議のピークは、バブル景気で首都圏の土地高騰、交通渋滞や通勤ラッシュなど一極集中の弊害が噴き出した1993年ごろだ。この年、経団連が新首都建設を提言。1999年には国会等移転審議会が「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」「三重・畿央地域」を候補地に選んだ。
ただ、十数兆円もの費用に対し、移動人口は100万人未満にとどまるうえ、国民の関心は高まらず、2003年には衆参両院の国会等移転特別委員会が「意見集約に至らなかった」と結論付け、議論も終わった。
「福島は震災、津波、東京電力福島第一原子力発電所事故に風評被害まで受けた。東京電力だけでなく国にもけじめをつけてほしい。例えば、首都機能移転だ」と地元県議は意気込む。震災から3カ月、福島空港に震災直後の熱気はない。それでも、地元が首都機能誘致に再び意欲を燃やし始めた背景には、大震災で福島空港が存在感を示したことへの自信があるようだ。
もっとも、10年以上の歳月は、あるべき都市の姿も様変わりさせた。
×××
首都機能移転論の終息後、東京の一極集中はむしろ加速し、首都圏と他地域との格差は広がるばかりだ。その一方で、少子高齢化の進行や、国際化による世界の都市間競争の激化を背景に、いかに強い都市をつくり、勝ち抜くかが焦点となっている。
アメリカのワシントンとニューヨーク、ブラジルのブラジリアとリオデジャネイロ、中国の北京と上海は、政治の中心である首都と経済都市を両立させている。韓国でも、ソウルから中西部の世宗市に官庁を移転し、新行政都市をつくる計画
が進んでいる。
# 韓国のやつはポシャりました。
このため、首都分割論は根強いのだが、こうした論には首をかしげる向きも多い。
×××
明治大学教授の市川宏雄はそのひとりだ。市川は、アメリカでもワシントン周辺に産業の集積が進んでいると指摘し、「政策や政府の規制と密接な関わりを持つ金融やサービス分野が拡大し、政治と経済の連携がかつてないほど密接になっている。情報化で分散するとの見方とは逆に、政経の拠点が近い方が都市としてのメリットは大きい」と強調する。さらに、「日本が飛躍的に発展したのは、数km圏に首都機能が集中していたから。それを壊せば東京の国際競争力が失われる」といい、首都分散を「時代遅れの議論」とまで言い切る。
慶応大学教授の竹中平蔵も「今回の震災を通じ、東京以外にバックアップ機能を持つ重要性が認識された。ただ、あくまでも東京への機能集積を大事にすべきだ」と語る。
こうした考えは首都圏をライバル視する関西にもある。この問題に積極的な関西広域連合が出した提言のもとになった案は、首都機能の代替地域に政府機能代行本部を立ち上げ、リーダーが移動し、災害復旧を支援したり、情報を発信する、としている。日銀大阪支店や大阪証券取引所などが金融機能を維持するものの、首都の復旧に応じて順次、東京に戻していくことになる。恒久的な移転ではなく、あくまでも非常時の緊急避難地という限られた役割に徹している。
×××
市川は、岩盤の強さや津波被害の想定されない首都機能のバックアップの候補地として、秋田県角館地区(仙北市)や岡山県倉敷市を挙げ、「既存の施設を活用すれば十分」と指摘する。
野村総合研究所主任研究員の小林庸至は「リニア中央新幹線が開通すれば、東京-名古屋-大阪が1時間余りでつながれ、巨大な都市圏が生まれる。リニアを動脈に、駅の設置予定地に首都機能を分散させることも可能だ」と提案する。復興の司令塔として行政・議会機能を維持できる会議場を置く。省庁は政策立案を行う戦略策定と、実施機関に分けてバックアップ機能をもたせ、地域活性化にもつなげる。
今回の震災では、バックアップ機能を生かす人材の移動に必要な新幹線、高速道路網の遮断が現実に起きることが分かった。それでも小林は「情報通信環境さえ整えば、当面の業務継続は可能だ」とする。一方で、福島空港のように無駄と指摘されてきた空港や鉄道施設が支援活動に役立った。地方での施設整備にあたっては、「何かあったときに使える余力を持たせることだ」と小林は説いている。
現代版首都機能移転のカギは、首都そのものの移転はもちろん、単純な機能分割でもない。東京に首都機能を置いたまま、有事の際のバックアップ機能をどう確保するかという一極集中の弱点克服なのだ。
福島空港は福島県東部、北は宮城県から南は茨城県まで広がる阿武隈山地のほぼ半ば、福島県須賀川市と玉川村にまたがっている。首都圏に近く、無駄な公共工事の象徴と揶揄され続けてきた空港が、大震災では重要な拠点となった。
須賀川市では、震度6弱の揺れを観測、ため池が決壊するなど11人の死者・行方不明者が出た。市庁舎は損傷し、市内の体育館などで業務を続けている状態だ。一方、福島空港は管制塔のガラスが全て割れるなどの被害を受けたものの、阿武隈山地の強い地盤に守られ、運用を続けることができた。
震災直後、空港には被災地向けの救援物資や人員を運ぶ民間機と自衛隊機が集結。マスコミの取材ヘリも集まった。羽田空港や名古屋空港との臨時便が発着し、新千歳空港や伊丹空港に向かう便も増発されるなどフルに稼働した。津波で使用不能になった仙台空港や、寸断された鉄道に代わる役割を果たしたのである。
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この地域はかつて、首都機能移転論議が盛り上がったころ、国会などの移転先に名乗りを上げていた「栃木・福島地域」。その核が福島空港だった。
昭和30年代から始まった首都機能移転論議のピークは、バブル景気で首都圏の土地高騰、交通渋滞や通勤ラッシュなど一極集中の弊害が噴き出した1993年ごろだ。この年、経団連が新首都建設を提言。1999年には国会等移転審議会が「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」「三重・畿央地域」を候補地に選んだ。
ただ、十数兆円もの費用に対し、移動人口は100万人未満にとどまるうえ、国民の関心は高まらず、2003年には衆参両院の国会等移転特別委員会が「意見集約に至らなかった」と結論付け、議論も終わった。
「福島は震災、津波、東京電力福島第一原子力発電所事故に風評被害まで受けた。東京電力だけでなく国にもけじめをつけてほしい。例えば、首都機能移転だ」と地元県議は意気込む。震災から3カ月、福島空港に震災直後の熱気はない。それでも、地元が首都機能誘致に再び意欲を燃やし始めた背景には、大震災で福島空港が存在感を示したことへの自信があるようだ。
もっとも、10年以上の歳月は、あるべき都市の姿も様変わりさせた。
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首都機能移転論の終息後、東京の一極集中はむしろ加速し、首都圏と他地域との格差は広がるばかりだ。その一方で、少子高齢化の進行や、国際化による世界の都市間競争の激化を背景に、いかに強い都市をつくり、勝ち抜くかが焦点となっている。
アメリカのワシントンとニューヨーク、ブラジルのブラジリアとリオデジャネイロ、中国の北京と上海は、政治の中心である首都と経済都市を両立させている。韓国でも、ソウルから中西部の世宗市に官庁を移転し、新行政都市をつくる計画
が進んでいる。
# 韓国のやつはポシャりました。
このため、首都分割論は根強いのだが、こうした論には首をかしげる向きも多い。
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明治大学教授の市川宏雄はそのひとりだ。市川は、アメリカでもワシントン周辺に産業の集積が進んでいると指摘し、「政策や政府の規制と密接な関わりを持つ金融やサービス分野が拡大し、政治と経済の連携がかつてないほど密接になっている。情報化で分散するとの見方とは逆に、政経の拠点が近い方が都市としてのメリットは大きい」と強調する。さらに、「日本が飛躍的に発展したのは、数km圏に首都機能が集中していたから。それを壊せば東京の国際競争力が失われる」といい、首都分散を「時代遅れの議論」とまで言い切る。
慶応大学教授の竹中平蔵も「今回の震災を通じ、東京以外にバックアップ機能を持つ重要性が認識された。ただ、あくまでも東京への機能集積を大事にすべきだ」と語る。
こうした考えは首都圏をライバル視する関西にもある。この問題に積極的な関西広域連合が出した提言のもとになった案は、首都機能の代替地域に政府機能代行本部を立ち上げ、リーダーが移動し、災害復旧を支援したり、情報を発信する、としている。日銀大阪支店や大阪証券取引所などが金融機能を維持するものの、首都の復旧に応じて順次、東京に戻していくことになる。恒久的な移転ではなく、あくまでも非常時の緊急避難地という限られた役割に徹している。
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市川は、岩盤の強さや津波被害の想定されない首都機能のバックアップの候補地として、秋田県角館地区(仙北市)や岡山県倉敷市を挙げ、「既存の施設を活用すれば十分」と指摘する。
野村総合研究所主任研究員の小林庸至は「リニア中央新幹線が開通すれば、東京-名古屋-大阪が1時間余りでつながれ、巨大な都市圏が生まれる。リニアを動脈に、駅の設置予定地に首都機能を分散させることも可能だ」と提案する。復興の司令塔として行政・議会機能を維持できる会議場を置く。省庁は政策立案を行う戦略策定と、実施機関に分けてバックアップ機能をもたせ、地域活性化にもつなげる。
今回の震災では、バックアップ機能を生かす人材の移動に必要な新幹線、高速道路網の遮断が現実に起きることが分かった。それでも小林は「情報通信環境さえ整えば、当面の業務継続は可能だ」とする。一方で、福島空港のように無駄と指摘されてきた空港や鉄道施設が支援活動に役立った。地方での施設整備にあたっては、「何かあったときに使える余力を持たせることだ」と小林は説いている。
現代版首都機能移転のカギは、首都そのものの移転はもちろん、単純な機能分割でもない。東京に首都機能を置いたまま、有事の際のバックアップ機能をどう確保するかという一極集中の弱点克服なのだ。
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