Sclaps KOBE
神戸に関連する/しない新聞記事をスクラップ。神戸の鉄ちゃんのブログは分離しました。人名は全て敬称略が原則。
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□舞阪中学校の屋上から見た住宅地。高台や3階以上の建物がほとんどない。左奥に見えるビル群が弁天島のホテルやマンション=浜松市西区舞阪町で
「いったいどこに逃げれば」。津波の脅威をまざまざとみせつけた東日本大震災を受け、静岡県沿岸部で周りに高台や高い建物がない地域の住民が不安に襲われている。東海地震の津波は10m級。しかし対津波の避難所整備は自治体ごとにまちまちで、浜松市は避難所の指定すらしていない。これではいくら住民の防災意識が増しても、多くの命が犠牲になりかねない。
浜松市西区舞阪町は南に遠州灘、北と西に浜名湖が広がる。海岸から約300mの距離にある鉄筋3階建て(高さ11.5m)の舞阪中学校の屋上に上った。
「東海地震がきたらこの一帯は波にのまれてしまう。この屋上は詰めても500人。他の住人はどうしたらいいのか…」と教頭の外山昭博は顔を曇らせる。
北は見渡す限り住宅地が広がり、3階以上の建物はほとんどない。北西約2km先に弁天島のホテル群が見えるが、浜名湖にかかる橋を渡るため、避難には危険が伴う。
舞阪町には合併前の旧舞阪町が指定した津波避難施設が13カ所あるが、基準は鉄筋2階以上で、10m級の津波には耐えられない。住民は「海から逃げても、浜名湖側から津波が来る。みんなあきらめているよ」と苦笑いだ。
だが舞阪町より東の浜松市沿岸になると、津波の避難所すらない。浜松市危機管理課長の伊藤一彦は、東海地震による市内の津波想定が5mであることを根拠に「天竜川から舞阪まで5mの防潮堤があるから、浜松市内に津波は来ない」と断言。だから「(合併前に指定された場所を除き)浜松市は対津波の避難所を指定していない」と説明する。
避難所がある舞阪町の東側に位置する馬郡町や坪井町(旧浜松市内)。舞阪町と同じような立地だが、住人に安全な場所は示されていない。坪井町の住民は「震災後すぐに防災リュックを作り、家族で避難計画を練った。でもどこに逃げればいいのか、今も結論が出ない」と嘆く。
□10m規模の津波を想定して設けられた避難用タワー=沼津市内浦重須で
一方、最大7.2mの津波が想定される静岡市は「津波避難ビル」として、静岡市内で56(公営22、民間34)施設の73棟を指定。看板も出し、市民の目に付くようにしている。津波の危険度が低い地区を除き、原則鉄筋3階建て以上。外の階段が上れるなど、24時間利用を条件としている。
沼津市は津波想定が10mを超えるため、沿岸部の静浦地区や西浦地区を中心に整備が進む。山の斜面を切り崩してコンクリートで整備した「避難マウント」(高さ12m、300人収容)、鉄筋の階段と台座を設置した「津波避難タワー」(津波想定より2m高、収容80人)が、それぞれ3カ所。静岡市の「津波避難ビル」に相当する「津波避難協力所」(鉄筋3階建て以上)は465カ所指定している。
東日本大震災では4階まで津波が達した場所があり、東海地震が自治体の想定を上回る可能性もある。名古屋大大学院教授の水谷法美は「東日本大震災の断層の割れが東海地震を早めたという説がある。行政は早急に津波に対して弱い地区を特定すべきだ」と語気を強めた。
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その後のお話
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浜松市、避難施設指定拡大へ 津波対策を抜本見直し <中日新聞 2011/03/24>を添削
□タワー建設も検討
東日本大震災で大津波が多くの自治体に壊滅的な被害をもたらしているため、浜松市は2011/03/23、津波対策を抜本的に見直すことを明らかにした。現状の東海地震の被害想定から、対津波の避難施設は西区舞阪町以外に指定していないが、西区雄踏町など浜名湖側を含め、海岸線沿い全域で指定を増やす。少なくとも3階以上の建物がない地域では、避難タワーの建設も検討する。
記者会見した浜松市長の鈴木康友は「先進地とされた三陸沖でも想定をはるかに上回る被害状況だった」と、表明済みの地域防災計画見直しで津波の対策強化を最重点と位置づけた。
現状の対策は、静岡県が2001年に策定した第3次被害想定に基づき、遠州灘で最大5.6mの津波を見込むが、防潮堤などの効果で死傷者0と人的被害が発生しない前提。床上浸水が想定される舞阪町では13カ所の避難施設を指定している。
現状の想定について、鈴木は「国や静岡県も当然見直しを図るだろうが、白紙の状態で作らないといけない」と指摘する。
改定までの時間も踏まえ、ソフト対策を先行させる。「迅速に避難できる態勢づくりが一番だ」(鈴木)と、まずは海岸線に近いビルなどの調査に着手する。妥当と判断した民間施設については協定形式の指定を進めていく。
高さは鉄筋3階建て以上が通説とされるが、「(今回の被災地では)5階まで津波が来たという情報があり、その辺りも検証していく」(浜松市危機管理監の安形英敏)考え。舞阪町の避難施設もあらためて点検する。市民向けに図上訓練や出前講座も積極的に開き、避難意識の高まりを促す。
2011年度には専門家による津波対策委員会を立ち上げ、ハードとソフトの両面で対策を進めていく。
□舞阪中学校の屋上から見た住宅地。高台や3階以上の建物がほとんどない。左奥に見えるビル群が弁天島のホテルやマンション=浜松市西区舞阪町で
「いったいどこに逃げれば」。津波の脅威をまざまざとみせつけた東日本大震災を受け、静岡県沿岸部で周りに高台や高い建物がない地域の住民が不安に襲われている。東海地震の津波は10m級。しかし対津波の避難所整備は自治体ごとにまちまちで、浜松市は避難所の指定すらしていない。これではいくら住民の防災意識が増しても、多くの命が犠牲になりかねない。
浜松市西区舞阪町は南に遠州灘、北と西に浜名湖が広がる。海岸から約300mの距離にある鉄筋3階建て(高さ11.5m)の舞阪中学校の屋上に上った。
「東海地震がきたらこの一帯は波にのまれてしまう。この屋上は詰めても500人。他の住人はどうしたらいいのか…」と教頭の外山昭博は顔を曇らせる。
北は見渡す限り住宅地が広がり、3階以上の建物はほとんどない。北西約2km先に弁天島のホテル群が見えるが、浜名湖にかかる橋を渡るため、避難には危険が伴う。
舞阪町には合併前の旧舞阪町が指定した津波避難施設が13カ所あるが、基準は鉄筋2階以上で、10m級の津波には耐えられない。住民は「海から逃げても、浜名湖側から津波が来る。みんなあきらめているよ」と苦笑いだ。
だが舞阪町より東の浜松市沿岸になると、津波の避難所すらない。浜松市危機管理課長の伊藤一彦は、東海地震による市内の津波想定が5mであることを根拠に「天竜川から舞阪まで5mの防潮堤があるから、浜松市内に津波は来ない」と断言。だから「(合併前に指定された場所を除き)浜松市は対津波の避難所を指定していない」と説明する。
避難所がある舞阪町の東側に位置する馬郡町や坪井町(旧浜松市内)。舞阪町と同じような立地だが、住人に安全な場所は示されていない。坪井町の住民は「震災後すぐに防災リュックを作り、家族で避難計画を練った。でもどこに逃げればいいのか、今も結論が出ない」と嘆く。
□10m規模の津波を想定して設けられた避難用タワー=沼津市内浦重須で
一方、最大7.2mの津波が想定される静岡市は「津波避難ビル」として、静岡市内で56(公営22、民間34)施設の73棟を指定。看板も出し、市民の目に付くようにしている。津波の危険度が低い地区を除き、原則鉄筋3階建て以上。外の階段が上れるなど、24時間利用を条件としている。
沼津市は津波想定が10mを超えるため、沿岸部の静浦地区や西浦地区を中心に整備が進む。山の斜面を切り崩してコンクリートで整備した「避難マウント」(高さ12m、300人収容)、鉄筋の階段と台座を設置した「津波避難タワー」(津波想定より2m高、収容80人)が、それぞれ3カ所。静岡市の「津波避難ビル」に相当する「津波避難協力所」(鉄筋3階建て以上)は465カ所指定している。
東日本大震災では4階まで津波が達した場所があり、東海地震が自治体の想定を上回る可能性もある。名古屋大大学院教授の水谷法美は「東日本大震災の断層の割れが東海地震を早めたという説がある。行政は早急に津波に対して弱い地区を特定すべきだ」と語気を強めた。
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その後のお話
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浜松市、避難施設指定拡大へ 津波対策を抜本見直し <中日新聞 2011/03/24>を添削
□タワー建設も検討
東日本大震災で大津波が多くの自治体に壊滅的な被害をもたらしているため、浜松市は2011/03/23、津波対策を抜本的に見直すことを明らかにした。現状の東海地震の被害想定から、対津波の避難施設は西区舞阪町以外に指定していないが、西区雄踏町など浜名湖側を含め、海岸線沿い全域で指定を増やす。少なくとも3階以上の建物がない地域では、避難タワーの建設も検討する。
記者会見した浜松市長の鈴木康友は「先進地とされた三陸沖でも想定をはるかに上回る被害状況だった」と、表明済みの地域防災計画見直しで津波の対策強化を最重点と位置づけた。
現状の対策は、静岡県が2001年に策定した第3次被害想定に基づき、遠州灘で最大5.6mの津波を見込むが、防潮堤などの効果で死傷者0と人的被害が発生しない前提。床上浸水が想定される舞阪町では13カ所の避難施設を指定している。
現状の想定について、鈴木は「国や静岡県も当然見直しを図るだろうが、白紙の状態で作らないといけない」と指摘する。
改定までの時間も踏まえ、ソフト対策を先行させる。「迅速に避難できる態勢づくりが一番だ」(鈴木)と、まずは海岸線に近いビルなどの調査に着手する。妥当と判断した民間施設については協定形式の指定を進めていく。
高さは鉄筋3階建て以上が通説とされるが、「(今回の被災地では)5階まで津波が来たという情報があり、その辺りも検証していく」(浜松市危機管理監の安形英敏)考え。舞阪町の避難施設もあらためて点検する。市民向けに図上訓練や出前講座も積極的に開き、避難意識の高まりを促す。
2011年度には専門家による津波対策委員会を立ち上げ、ハードとソフトの両面で対策を進めていく。
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