Sclaps KOBE
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不起訴の事件、一転起訴 合法でも異例 神戸地検姫路支部 <神戸新聞 2010/10/27>を添削
2年前の覚醒剤所持・傷害の事件で不起訴となったのに、一転して起訴された被告の公判が、神戸地裁姫路支部で始まった。不起訴処分後にあらためて起訴するのは違法ではないが、被告は今回の起訴内容と密接に関連する事件で覚醒剤使用の罪に問われ、2010/04に無罪判決を受けたばかりという異例の展開。検察は「新証拠がある」としているが、被告の弁護人は「証拠も事件状況も共通しており、実質的には刑事訴訟法が禁じる『二重起訴』だ」として公訴棄却を申し立てている。
小松健二(60)は2008/04、加古川市内のホテルで知人女性を殴り、ライターで火傷させたとして、傷害容疑で加古川警察署に現行犯逮捕された。
逮捕後の尿検査で覚醒剤反応が出たとして、神戸地検姫路支部は覚醒剤使用の罪で起訴。さらに小松が警察署内で、靴の中に覚醒剤約0.7gを隠し持っていた疑いも浮上したが、神戸地検姫路支部は覚醒剤所持容疑や女性への傷害容疑は、嫌疑不十分で不起訴とした。
しかし、覚醒剤使用について、神戸地裁姫路支部の杉田友宏 裁判官は2010/04「他人に飲まされた可能性が否定できない」と無罪を言い渡した。検察側は控訴し、2010/11に控訴審初公判が予定されている。
小松は釈放されたが、神戸地検姫路支部は2010/09、いったん不起訴とした覚醒剤所持の疑いで逮捕し、傷害の罪と合わせて起訴した。神戸地検姫路支部の関係者によると「新たな物証がみつかった」としている。
2010/10/19の初公判で、小松は「身に覚えがない」とあらためて起訴内容を否認。弁護側は公訴棄却の申立書で「無罪判決が出た途端、放置してきた容疑の捜査に乗り出した。一つの裁判で有罪か無罪かが決着するはずだったのに、捜査怠慢の責任を被告に押し付けている」と検察側を批判している。検察側は法廷で「適正な起訴ということを、公判で立証していく」と述べた。
【不起訴処分】
検察官が裁判に掛ける公訴を提起しないこと。
容疑者がその行為者であるかどうか、容疑者の行為が犯罪に当たるかどうかについて認定すべき証拠がないときは「嫌疑不十分」として不起訴になる。
罪を犯したことの立証が可能でも、検察官には容疑者の情状や状況を考慮し、起訴を見送る「起訴猶予」が認められている。
不起訴処分の事件を再捜査・起訴することはできるが、刑事訴訟法は、既に起訴された事件と同一の事件で再び起訴する二重起訴を禁じている。
弁護士 落合洋司(元東京地検検事)
不起訴の判断を検察自身が翻して再捜査し、起訴に持ち込むのは極めて異例だ。違法ではないが、合理的理由がある場合に限るべきだ。今回のケースも、新証拠が出てきたなら起訴に問題はない。だが被告に不利益を与えたのは事実で、当初の捜査が不十分だったとの批判は免れないだろう。
甲南大学法科大学院教授 渡辺修
無罪判決に対する報復起訴ととられても仕方なく、公訴権の乱用。裁判所は公訴棄却の判決を出すべきだ。被告は検察の面子の犠牲になり、再び逮捕されて裁判を受け直す羽目になった。公訴権は国民の負託に基づく厳かなもの。こんな不適切な行使を続ければ検察不信を増大させる。
2年前の覚醒剤所持・傷害の事件で不起訴となったのに、一転して起訴された被告の公判が、神戸地裁姫路支部で始まった。不起訴処分後にあらためて起訴するのは違法ではないが、被告は今回の起訴内容と密接に関連する事件で覚醒剤使用の罪に問われ、2010/04に無罪判決を受けたばかりという異例の展開。検察は「新証拠がある」としているが、被告の弁護人は「証拠も事件状況も共通しており、実質的には刑事訴訟法が禁じる『二重起訴』だ」として公訴棄却を申し立てている。
小松健二(60)は2008/04、加古川市内のホテルで知人女性を殴り、ライターで火傷させたとして、傷害容疑で加古川警察署に現行犯逮捕された。
逮捕後の尿検査で覚醒剤反応が出たとして、神戸地検姫路支部は覚醒剤使用の罪で起訴。さらに小松が警察署内で、靴の中に覚醒剤約0.7gを隠し持っていた疑いも浮上したが、神戸地検姫路支部は覚醒剤所持容疑や女性への傷害容疑は、嫌疑不十分で不起訴とした。
しかし、覚醒剤使用について、神戸地裁姫路支部の杉田友宏 裁判官は2010/04「他人に飲まされた可能性が否定できない」と無罪を言い渡した。検察側は控訴し、2010/11に控訴審初公判が予定されている。
小松は釈放されたが、神戸地検姫路支部は2010/09、いったん不起訴とした覚醒剤所持の疑いで逮捕し、傷害の罪と合わせて起訴した。神戸地検姫路支部の関係者によると「新たな物証がみつかった」としている。
2010/10/19の初公判で、小松は「身に覚えがない」とあらためて起訴内容を否認。弁護側は公訴棄却の申立書で「無罪判決が出た途端、放置してきた容疑の捜査に乗り出した。一つの裁判で有罪か無罪かが決着するはずだったのに、捜査怠慢の責任を被告に押し付けている」と検察側を批判している。検察側は法廷で「適正な起訴ということを、公判で立証していく」と述べた。
【不起訴処分】
検察官が裁判に掛ける公訴を提起しないこと。
容疑者がその行為者であるかどうか、容疑者の行為が犯罪に当たるかどうかについて認定すべき証拠がないときは「嫌疑不十分」として不起訴になる。
罪を犯したことの立証が可能でも、検察官には容疑者の情状や状況を考慮し、起訴を見送る「起訴猶予」が認められている。
不起訴処分の事件を再捜査・起訴することはできるが、刑事訴訟法は、既に起訴された事件と同一の事件で再び起訴する二重起訴を禁じている。
弁護士 落合洋司(元東京地検検事)
不起訴の判断を検察自身が翻して再捜査し、起訴に持ち込むのは極めて異例だ。違法ではないが、合理的理由がある場合に限るべきだ。今回のケースも、新証拠が出てきたなら起訴に問題はない。だが被告に不利益を与えたのは事実で、当初の捜査が不十分だったとの批判は免れないだろう。
甲南大学法科大学院教授 渡辺修
無罪判決に対する報復起訴ととられても仕方なく、公訴権の乱用。裁判所は公訴棄却の判決を出すべきだ。被告は検察の面子の犠牲になり、再び逮捕されて裁判を受け直す羽目になった。公訴権は国民の負託に基づく厳かなもの。こんな不適切な行使を続ければ検察不信を増大させる。
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