Sclaps KOBE
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【久保田るり子の外交ウオッチ】尖閣で主権も外交も放棄した菅直人政権に回ってくる大きなツケ <MSN産経 2010/09/25>を添削
これほどの腰砕けとは。国民を唖然とさせた中国漁船衝突事件の船長の処分保留決定から一夜が明けた。外交・安保分野にかかわるこの妥協が日本の国際的な信頼性を失墜させるのは疑いなく、何よりも尖閣諸島が早晩、韓国に実効支配されている竹島化するのではとの懸念さえ出ている。
これほどの腰砕けとは。国民を唖然とさせた中国漁船衝突事件の船長の処分保留決定から一夜が明けた。外交・安保分野にかかわるこの妥協が日本の国際的な信頼性を失墜させるのは疑いなく、何よりも尖閣諸島が早晩、韓国に実効支配されている竹島化するのではとの懸念さえ出ている。
■「民主党外交は原則を曲げる」
中国側は船長(41)に毎日、面会していた。公務執行妨害容疑で2010/09/09に那覇地検石垣支部に送検された船長は八重山警察署(石垣市)の留置所に収監されていたが、中国は福岡市の領事館から担当者を派遣、船長の心理的な支援や情報収集も行っていた。
船長は、少なくとも過去2回の衝突事故などトラブルを起こした人物で、地元の福建省普江市の当局でも有名人。事件はきわめて故意的で悪質だった。
尖閣諸島周辺には漁期で多いときは270隻もの中国漁船が現れ、うち70隻が領海に入ってくる。だが通常、海上保安庁の巡視船を認めれば大概、領海から出て行く。彼らはGPSを持っているから領海に入っていることは認識している。立入検査に至るケースも1年に数件あるが、衝突を仕掛ける事件はこれまでただの一度もなかった。
それだけに海保関係者は公務執行妨害は勿論、起訴されると考えていた。さらにその質の悪さから「粛々と法的措置」を行うのであれば、領海内での外国船の漁業行為を禁じる外国人漁業規制法違反で追送致もあるとみていた。
今回の政治介入がいかに不穏当であるかだ。
しかし、裁判となれば、今夏のシーシェパード事件並みに予測して、最短でも事態の2~3カ月の長期化が確実だった。菅政権はこれに耐えられなかったということである。
日本の民主党外交は2009年末、中国に値踏みされている。鳩山前政権でルールを曲げて実現させた天皇と中国国家副主席・習近平の異例の会見だ。民主党元幹事長 小沢一郎の訪中団と中国国家主席・胡錦涛との面会とセットだったのは記憶に新しい。
「民主党の日本外交に原則はない」と知った中国が、尖閣問題で強気に出るには、前例の確信があったからに相違ない。果たして前例通り、菅政権はごり押しに屈した。
今後、尖閣諸島周辺に中国海軍の軍艦が出没しないとも限らず、その場合、一度譲歩してしまった日本は、防衛出動はおろか、何の手出しもできないのではないか。
■中国から台湾、沖縄に伝播する反日?
日本政府は中国側の出方を甘く見積もっていた。2010/11下旬に横浜で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)に国家主席・胡錦涛が来日を予定しているため、「世論との板ばさみで当面の高姿勢は仕方ないが、どうせしばらくすれば向こうから降りてくる」(政府高官)と高をくくっていたふしがある。少なくとも「APECまでには落としどことが見えてくる」との見方が多勢だった。
中国の対日ナショナリズムや尖閣問題への感度があれば、まず初動で中国との情報戦に構える必要があった。中国からのでたらめなネット攻撃に備える日本としての国際社会への効果的な発信はついに行われなかった。その後「粛々と国内法で処理する」と判で押したような閣僚発言が続いたが、結局、国内法すら「検察の外交的配慮」で判断を保留する、超法規的な方法で事態収拾を図ったことになる。
中国の反日攻勢が実利を挙げたことで、強きに屈する日本政府攻撃が拡大伝播する可能性もある。
衝突事件後、台湾の民間団体が巡視船に援護されながら尖閣を目指した。外省人の馬英九政権は対日強硬の中国に連動しやすい。沖縄は普天間問題で民主党政府に不信感を募らせている。「声が大きい方が勝つ」とすれば、沖縄は普天間問題で今後、一歩も引かないだろう。
今回、中国は領土問題のフレームアップに大成功。反日ナショナリズムをも高揚(アクセル)と抑制(ブレーキ)でコントロールした。アメリカ元国務副長官アーミテージの言うように、日本はテストされ、菅政権の外交力量は軽さを見極められ、「尖閣は日米安保条約の適用範囲」と明言したアメリカの助言より安寧を優先する日本外交の実体は世界に速報された。
ツケは高いだろう。東シナ海をめぐる中国共産党と軍の権益獲得への活動は、加速化しそうだ。
今夏、首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が出した報告書は、離島・島嶼の安全確保について、「防衛力の配置(自衛隊の駐屯)やその周辺海域などでの米軍との共同作戦」を提言した。しかし政府・官邸がこれを検討したふしはない。
中国側は船長(41)に毎日、面会していた。公務執行妨害容疑で2010/09/09に那覇地検石垣支部に送検された船長は八重山警察署(石垣市)の留置所に収監されていたが、中国は福岡市の領事館から担当者を派遣、船長の心理的な支援や情報収集も行っていた。
船長は、少なくとも過去2回の衝突事故などトラブルを起こした人物で、地元の福建省普江市の当局でも有名人。事件はきわめて故意的で悪質だった。
尖閣諸島周辺には漁期で多いときは270隻もの中国漁船が現れ、うち70隻が領海に入ってくる。だが通常、海上保安庁の巡視船を認めれば大概、領海から出て行く。彼らはGPSを持っているから領海に入っていることは認識している。立入検査に至るケースも1年に数件あるが、衝突を仕掛ける事件はこれまでただの一度もなかった。
それだけに海保関係者は公務執行妨害は勿論、起訴されると考えていた。さらにその質の悪さから「粛々と法的措置」を行うのであれば、領海内での外国船の漁業行為を禁じる外国人漁業規制法違反で追送致もあるとみていた。
今回の政治介入がいかに不穏当であるかだ。
しかし、裁判となれば、今夏のシーシェパード事件並みに予測して、最短でも事態の2~3カ月の長期化が確実だった。菅政権はこれに耐えられなかったということである。
日本の民主党外交は2009年末、中国に値踏みされている。鳩山前政権でルールを曲げて実現させた天皇と中国国家副主席・習近平の異例の会見だ。民主党元幹事長 小沢一郎の訪中団と中国国家主席・胡錦涛との面会とセットだったのは記憶に新しい。
「民主党の日本外交に原則はない」と知った中国が、尖閣問題で強気に出るには、前例の確信があったからに相違ない。果たして前例通り、菅政権はごり押しに屈した。
今後、尖閣諸島周辺に中国海軍の軍艦が出没しないとも限らず、その場合、一度譲歩してしまった日本は、防衛出動はおろか、何の手出しもできないのではないか。
■中国から台湾、沖縄に伝播する反日?
日本政府は中国側の出方を甘く見積もっていた。2010/11下旬に横浜で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)に国家主席・胡錦涛が来日を予定しているため、「世論との板ばさみで当面の高姿勢は仕方ないが、どうせしばらくすれば向こうから降りてくる」(政府高官)と高をくくっていたふしがある。少なくとも「APECまでには落としどことが見えてくる」との見方が多勢だった。
中国の対日ナショナリズムや尖閣問題への感度があれば、まず初動で中国との情報戦に構える必要があった。中国からのでたらめなネット攻撃に備える日本としての国際社会への効果的な発信はついに行われなかった。その後「粛々と国内法で処理する」と判で押したような閣僚発言が続いたが、結局、国内法すら「検察の外交的配慮」で判断を保留する、超法規的な方法で事態収拾を図ったことになる。
中国の反日攻勢が実利を挙げたことで、強きに屈する日本政府攻撃が拡大伝播する可能性もある。
衝突事件後、台湾の民間団体が巡視船に援護されながら尖閣を目指した。外省人の馬英九政権は対日強硬の中国に連動しやすい。沖縄は普天間問題で民主党政府に不信感を募らせている。「声が大きい方が勝つ」とすれば、沖縄は普天間問題で今後、一歩も引かないだろう。
今回、中国は領土問題のフレームアップに大成功。反日ナショナリズムをも高揚(アクセル)と抑制(ブレーキ)でコントロールした。アメリカ元国務副長官アーミテージの言うように、日本はテストされ、菅政権の外交力量は軽さを見極められ、「尖閣は日米安保条約の適用範囲」と明言したアメリカの助言より安寧を優先する日本外交の実体は世界に速報された。
ツケは高いだろう。東シナ海をめぐる中国共産党と軍の権益獲得への活動は、加速化しそうだ。
今夏、首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が出した報告書は、離島・島嶼の安全確保について、「防衛力の配置(自衛隊の駐屯)やその周辺海域などでの米軍との共同作戦」を提言した。しかし政府・官邸がこれを検討したふしはない。
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