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神戸市公金返還訴訟:債権放棄で判決割れる大阪高裁 <神戸新聞 2011/09/17 11:11>を編集
神戸市の外郭団体への人件費支出をめぐる住民訴訟(4次訴訟)で、神戸市の債権放棄を「議決権の乱用で無効」とした2011/09/16の大阪高裁判決。大阪高裁は同種の訴訟で、債権放棄について3度の判断をしているが、今回を入れると有効と無効が2対2で並んだ。いずれの訴訟も最高裁に上告中で、判断が注目される。
「事実上の勝訴判決だ」。原告の市民団体「ミナト神戸を守る会」代表の東條健司(71)らは、今回の判決について「債権放棄の可否が神戸市議会の判断で決められることを明確に批判している」と評価した。
債権放棄は地方自治法の規定に基づく措置。神戸市は1、2次訴訟の一審判決が、神戸市長 矢田立郎らに計約48億円を神戸市に返還するよう命じたことを受けて、2009/02に債権放棄した。その後の同種の訴訟では、債権放棄の効力についても審理が行われ、神戸地裁はいずれも有効と判断。ところが、大阪高裁では「債権放棄の可否は議会の合理的判断に委ねられている」などとして有効とする判決と、「債権放棄の理由に公共性がない上、認めれば住民訴訟制度の根幹が否定されかねない」などとして無効とする判決で二分している。
今回の判決を受け、神戸市議会議長の安井俊彦は「非常に残念。市民サービスの安定提供を維持するため、債権放棄を議決した。今後の判決で正当に判断されることを期待する」としている。
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神戸市公金返還4次訴訟 債権放棄「無効」と判断 大阪高裁 <神戸新聞 2011/09/16 23:26>を編集
神戸市が2008~2009年度、外郭団体に派遣した職員の人件費を補助金として支出したのは違法として、市民団体のメンバーが神戸市に対し、神戸市長 矢田立郎らに約83億円を返還請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(裁判長:永井ユタカ)は2011/09/16、請求を棄却した一審判決を取り消し、審理を神戸地裁に差し戻した。一審が認めた神戸市の債権放棄については一転、無効と判断した。
これまでの訴訟では債権放棄について有効、無効と判断が分かれており、最高裁決定はまだ出ていない。
判決によると、神戸市は2008年度に約5億円、2009年度に約78億円を神戸市社会福祉協議会などの外郭団体に支出。同様の支出が別の訴訟で違法と判断されたことを受け、神戸市議会は2009/02、神戸市が返還請求権を放棄する内容の条例を可決した。
判決理由では「補助金の支出は厳格な審査を経たものではなく、巨額な返還請求権を放棄することに公共性を見いだせない」と指摘。条例の可決は「議決権の乱用で無効」とし、2008年度分の返還請求についてさらに審理が必要と結論付けた。一方、2009年度分については補助金が人件費の原資と認めるだけの証拠がないと判断し、市民団体側の訴えを退けた。
同様の訴訟はこれまで複数起こされ、2004~2005年度に支出した約2億5000万円の返還請求を命じる判決が確定するなどしている。神戸市行財政局長の玉田敏郎は「神戸市の主張が認められず誠に遺憾。判決を精査した上で対応を検討したい」とコメントした。
神戸市の外郭団体への人件費支出をめぐる住民訴訟(4次訴訟)で、神戸市の債権放棄を「議決権の乱用で無効」とした2011/09/16の大阪高裁判決。大阪高裁は同種の訴訟で、債権放棄について3度の判断をしているが、今回を入れると有効と無効が2対2で並んだ。いずれの訴訟も最高裁に上告中で、判断が注目される。
「事実上の勝訴判決だ」。原告の市民団体「ミナト神戸を守る会」代表の東條健司(71)らは、今回の判決について「債権放棄の可否が神戸市議会の判断で決められることを明確に批判している」と評価した。
債権放棄は地方自治法の規定に基づく措置。神戸市は1、2次訴訟の一審判決が、神戸市長 矢田立郎らに計約48億円を神戸市に返還するよう命じたことを受けて、2009/02に債権放棄した。その後の同種の訴訟では、債権放棄の効力についても審理が行われ、神戸地裁はいずれも有効と判断。ところが、大阪高裁では「債権放棄の可否は議会の合理的判断に委ねられている」などとして有効とする判決と、「債権放棄の理由に公共性がない上、認めれば住民訴訟制度の根幹が否定されかねない」などとして無効とする判決で二分している。
今回の判決を受け、神戸市議会議長の安井俊彦は「非常に残念。市民サービスの安定提供を維持するため、債権放棄を議決した。今後の判決で正当に判断されることを期待する」としている。
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神戸市公金返還4次訴訟 債権放棄「無効」と判断 大阪高裁 <神戸新聞 2011/09/16 23:26>を編集
神戸市が2008~2009年度、外郭団体に派遣した職員の人件費を補助金として支出したのは違法として、市民団体のメンバーが神戸市に対し、神戸市長 矢田立郎らに約83億円を返還請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(裁判長:永井ユタカ)は2011/09/16、請求を棄却した一審判決を取り消し、審理を神戸地裁に差し戻した。一審が認めた神戸市の債権放棄については一転、無効と判断した。
これまでの訴訟では債権放棄について有効、無効と判断が分かれており、最高裁決定はまだ出ていない。
判決によると、神戸市は2008年度に約5億円、2009年度に約78億円を神戸市社会福祉協議会などの外郭団体に支出。同様の支出が別の訴訟で違法と判断されたことを受け、神戸市議会は2009/02、神戸市が返還請求権を放棄する内容の条例を可決した。
判決理由では「補助金の支出は厳格な審査を経たものではなく、巨額な返還請求権を放棄することに公共性を見いだせない」と指摘。条例の可決は「議決権の乱用で無効」とし、2008年度分の返還請求についてさらに審理が必要と結論付けた。一方、2009年度分については補助金が人件費の原資と認めるだけの証拠がないと判断し、市民団体側の訴えを退けた。
同様の訴訟はこれまで複数起こされ、2004~2005年度に支出した約2億5000万円の返還請求を命じる判決が確定するなどしている。神戸市行財政局長の玉田敏郎は「神戸市の主張が認められず誠に遺憾。判決を精査した上で対応を検討したい」とコメントした。
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神戸市公金返還訴訟:原告側の請求棄却 神戸地裁 <神戸新聞 2010/10/29>を添削
神戸市が外郭団体への派遣職員に支払った人件費を違法とした2009/12の最高裁決定に反し、神戸市が神戸市長の矢田立郎らへの請求を怠ったのは違法として、市民団体「ミナト神戸を守る会」のメンバーらが判決履行などを求めた訴訟で、神戸地裁(裁判長:栂村明剛)は2010/10/28、原告側の請求を棄却した。
違法とされたのは、2004、2005年度に医療、福祉関連の3団体に人件費として支出した計約2億5000万円。神戸市は2009/02、議会の同意があれば債権放棄できるとする条例改正を行った。
判決理由では条例の有効性を認めた上、「債権放棄の判断は議会に委ねられており、議決権の乱用にあたるとは言えない」と判断した。
また、神戸市が2008、2009年度に同様に支出した計約83億円の返還を求めた訴訟の判決もあり、神戸地裁(裁判長:栂村明剛)は条例などを理由に原告の請求を棄却した。
神戸市長の矢田立郎は「主張が全面的に認められた。今後も法律の適正運用に努める」とコメント。原告らは「最高裁決定を議会が覆すのは違法」とし、2件とも控訴する方針。
債権放棄については、大阪高裁で2009/11、2006年度分までの訴訟で無効とする一方、2010/08の2007~2008年度分訴訟では有効としており、判断が分かれている。
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神戸市公金返還3次訴訟:二審も債権放棄認定 <神戸新聞 2010/08/27>を編集
神戸市が職員を派遣した外郭団体に人件費を支出したのは違法として、市民団体「ミナト神戸を守る会」(代表:東條健司)メンバーが神戸市長の矢田立郎に補助金など約206億円を返還請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(裁判長:三浦潤)は2010/08/27、「神戸市は条例によって請求権を放棄した」として、請求を退けた一審神戸地裁判決を支持、市民団体側の控訴を棄却した。
神戸市の補助金支出をめぐる別の訴訟では、大阪高裁が2009/11、神戸市の債権放棄を無効としており、判断が分かれている。
判決理由では「条例は、派遣法に基づく適正支給に改める内容になっている。神戸市議会の議決は、補助金の扱いを是正する目的で行われた」として、条例による債権放棄を有効と結論付けた。
判決によると、神戸市は2007~2008年度、神戸市職員を派遣した神戸市住宅供給公社など18団体に補助金などとして計約206億円を支出。2004~2006年度の補助金支出は別の訴訟で違法と判断され、神戸市議会は2009/02に債権の返還請求権を放棄する条例を可決、2009/06に施行されている。
東條は「住民訴訟の意味を理解していない判決」として上告する方針。(中略)
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市民団体が訴えた神戸市の公金返還訴訟(3次訴訟)で、神戸市の債権放棄を有効とした2010/08/27の大阪高裁判決。債権放棄を無効とする初の司法判断となった2009/11の大阪高裁判決(2次訴訟)とは正反対の結果に、原告に戸惑いが広がった。年内には2次訴訟の最高裁決定が出る見通しで、判断が注目される。
債権放棄は、地方自治法の規定に基づく措置。山梨県玉穂町や埼玉県久喜市の住民訴訟では住民側が逆転敗訴、一方、大阪府茨木市では債権放棄を無効とし、住民側が勝訴している。
神戸市は、1次訴訟、2次訴訟の神戸地裁判決が、矢田市長らに計約48億円を神戸市に返還するよう命じたことを受け、債権を放棄した。3次訴訟の神戸地裁判決は債権放棄を有効と認定。だが、2次訴訟の大阪高裁判決は、住民訴訟の意義を強調し、「神戸市議会が債権放棄を認めたのは、議決権の乱用にあたる」とはねつけた。そして今回、「債権放棄の可否は、住民の代表である議会の合理的判断に委ねられている」と有効と判断された。
一連の訴訟で判断が分かれていることを踏まえ、政府の地方制度調査会は2009/06、「債権放棄を制限すべき」と答申。総務省は、1.住民訴訟制度の意義 2.債権放棄の制限の可能性 3.首長が負った賠償額の上限設定の可否を論点に地方自治法の改正を検討している。総務省自治行政局行政課は「神戸の2次訴訟の最高裁決定が、今後の議論を左右するだろう」と注目する。
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# 裁判の結果は裁判官の胸先三寸で決まる。
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【参考】栃木・氏家町の公金返還訴訟:請求放棄議決、無効 三権分立に反する--東京高裁判決 <毎日新聞など 2009/12/25>
栃木県氏家町(現さくら市)が適正価格を大幅に超えて浄水場用地を購入したのは違法として、住民が合併後のさくら市を相手に、支出時の氏家町長に1億2192万円を返還させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2009/12/24、元氏家町長に全額支払いを請求するよう命じた一審判決を支持し、さくら市の控訴を棄却した。
※ 元氏家町長=秋元喜平。さくら市の前市長。
さくら市議会は控訴審結審後、元町長への賠償請求権を放棄する議決をしたが、房村精一裁判長は「三権分立の趣旨に反し、裁量権を逸脱・乱用した。議決は違法で無効」と指摘した。さくら市は2009/12/25にも上告する。
原告はさくら市の会社役員。原告は、氏家町が2004年に2億5000万円で購入した用地について、適正価格は7590万円と主張。2008/12の宇都宮地裁判決は訴えを認めた。さくら市が控訴したが、結審直後の2009/09、さくら市議会は被告への賠償請求権を放棄する議案を可決。これを理由にさくら市は請求棄却を求めていた。
東京高裁は一審同様「氏家町の支出は違法」と元町長の賠償責任を認定。議決について「裁判所の認定判断を阻止するための議決で、裁判所の判断に対し、議会の判断を優先させようとするもの。地方自治法も、そうした議決は認容していない」と指摘した。請求権放棄で敗訴を免れようとする自治体の動きを巡っては、大阪高裁が2009/11、神戸市の支出を巡る住民訴訟で「住民訴訟制度を否定するもの」と議決を無効とする判断を示している。
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神戸市の補助金返還訴訟 住民側の勝訴確定 <神戸新聞 2009/12/10>を添削
神戸市が3つの外郭団体に派遣した職員らの人件費に充てるため、補助金を支出したのは違法として、市民団体「ミナト神戸を守る会」のメンバーが2004、2005年度分の計約2億5千万円を返還するよう求めた住民訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は2009/12/10、神戸市側の上告を退ける決定をした。矢田立郎市長らに計約2億1800万円を返還させるよう神戸市に命じた一審神戸地裁判決を変更し、請求通り計約2億5000万円を返還させるよう命じた二審大阪高裁判決が確定した。
3つの外郭団体は「こうべ市民福祉振興協会」「神戸市地域医療振興財団」「神戸市障害者スポーツ協会」。
(以下略)
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神戸市に55億円返還求めるよう命令=外郭団体人件費訴訟-大阪高裁 <時事通信 2009/11/27>
神戸市が外郭団体などに派遣した職員の人件費として補助金を支出したのは違法として、市民団体が返還させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(大谷正治裁判長)は2009/11/27、一審に続き支出を違法と判断し、神戸市に対し、神戸市長や外郭団体に約55億円を請求するよう命じた。大谷裁判長は、神戸市が一審敗訴後に請求権を放棄する条例改正を行ったことについて「住民訴訟制度を否定するもので、効力はない」と指摘した。神戸市は上告する方針。(←神戸市は判決を不服として2009/12/10、最高裁に上告した。)
(中略)
一審の神戸地裁は2008/04、神戸市は支出の必要性を審査していないとして約47億円を返還させるよう命令。神戸市は控訴し、2009/02、請求権を放棄する条例改正を行ったことを理由に争っていた。
大谷裁判長は、支出の違法性について一審の判断を踏襲。その上で、条例について「住民の手で自治体の違法行為の防止や回復を図る住民訴訟制度を根底から否定するものだ」と批判。議決権の乱用と認定し「請求権放棄を定めた部分は効果を生じない」と判断した。
判決によると、神戸市は外郭団体などへの業務委託をめぐり、神戸市からの派遣職員の人件費として70億円を超える補助金を交付した。
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債権放棄案、市会委が承認 神戸市人件費訴訟敗訴 <神戸新聞 2009/02/24>
神戸市が職員派遣先の外郭団体に人件費として補助金を支出したのは違法として、矢田立郎市長らに総額約48億円を神戸市に返還するよう命じた神戸地裁判決で、敗訴確定後に発生する債権などを返還請求しないことを盛り込んだ神戸市条例改正案が2009/02/23、神戸市議会総務財政委員会で承認された。
「議会承認があれば債権放棄できる」との地方自治法の規定に基づき、神戸市は定例市議会に債権放棄を提案。委員会の審議で、神戸市は「債権を放棄しても、神戸市の実質的な損害はない。判決が指摘している問題は真摯に受け止め、支給方法の見直しも図っていく」などと説明。野党の一部から「判決を尊重していない」との意見も出たが、自民、公明、民主などが賛成した。2009/02/26の本会議で採決される。
(以下略)
神戸市公金返還訴訟:原告側の請求棄却 神戸地裁 <神戸新聞 2010/10/29>を添削
神戸市が外郭団体への派遣職員に支払った人件費を違法とした2009/12の最高裁決定に反し、神戸市が神戸市長の矢田立郎らへの請求を怠ったのは違法として、市民団体「ミナト神戸を守る会」のメンバーらが判決履行などを求めた訴訟で、神戸地裁(裁判長:栂村明剛)は2010/10/28、原告側の請求を棄却した。
違法とされたのは、2004、2005年度に医療、福祉関連の3団体に人件費として支出した計約2億5000万円。神戸市は2009/02、議会の同意があれば債権放棄できるとする条例改正を行った。
判決理由では条例の有効性を認めた上、「債権放棄の判断は議会に委ねられており、議決権の乱用にあたるとは言えない」と判断した。
また、神戸市が2008、2009年度に同様に支出した計約83億円の返還を求めた訴訟の判決もあり、神戸地裁(裁判長:栂村明剛)は条例などを理由に原告の請求を棄却した。
神戸市長の矢田立郎は「主張が全面的に認められた。今後も法律の適正運用に努める」とコメント。原告らは「最高裁決定を議会が覆すのは違法」とし、2件とも控訴する方針。
債権放棄については、大阪高裁で2009/11、2006年度分までの訴訟で無効とする一方、2010/08の2007~2008年度分訴訟では有効としており、判断が分かれている。
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神戸市公金返還3次訴訟:二審も債権放棄認定 <神戸新聞 2010/08/27>を編集
神戸市が職員を派遣した外郭団体に人件費を支出したのは違法として、市民団体「ミナト神戸を守る会」(代表:東條健司)メンバーが神戸市長の矢田立郎に補助金など約206億円を返還請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(裁判長:三浦潤)は2010/08/27、「神戸市は条例によって請求権を放棄した」として、請求を退けた一審神戸地裁判決を支持、市民団体側の控訴を棄却した。
神戸市の補助金支出をめぐる別の訴訟では、大阪高裁が2009/11、神戸市の債権放棄を無効としており、判断が分かれている。
判決理由では「条例は、派遣法に基づく適正支給に改める内容になっている。神戸市議会の議決は、補助金の扱いを是正する目的で行われた」として、条例による債権放棄を有効と結論付けた。
判決によると、神戸市は2007~2008年度、神戸市職員を派遣した神戸市住宅供給公社など18団体に補助金などとして計約206億円を支出。2004~2006年度の補助金支出は別の訴訟で違法と判断され、神戸市議会は2009/02に債権の返還請求権を放棄する条例を可決、2009/06に施行されている。
東條は「住民訴訟の意味を理解していない判決」として上告する方針。(中略)
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市民団体が訴えた神戸市の公金返還訴訟(3次訴訟)で、神戸市の債権放棄を有効とした2010/08/27の大阪高裁判決。債権放棄を無効とする初の司法判断となった2009/11の大阪高裁判決(2次訴訟)とは正反対の結果に、原告に戸惑いが広がった。年内には2次訴訟の最高裁決定が出る見通しで、判断が注目される。
債権放棄は、地方自治法の規定に基づく措置。山梨県玉穂町や埼玉県久喜市の住民訴訟では住民側が逆転敗訴、一方、大阪府茨木市では債権放棄を無効とし、住民側が勝訴している。
神戸市は、1次訴訟、2次訴訟の神戸地裁判決が、矢田市長らに計約48億円を神戸市に返還するよう命じたことを受け、債権を放棄した。3次訴訟の神戸地裁判決は債権放棄を有効と認定。だが、2次訴訟の大阪高裁判決は、住民訴訟の意義を強調し、「神戸市議会が債権放棄を認めたのは、議決権の乱用にあたる」とはねつけた。そして今回、「債権放棄の可否は、住民の代表である議会の合理的判断に委ねられている」と有効と判断された。
一連の訴訟で判断が分かれていることを踏まえ、政府の地方制度調査会は2009/06、「債権放棄を制限すべき」と答申。総務省は、1.住民訴訟制度の意義 2.債権放棄の制限の可能性 3.首長が負った賠償額の上限設定の可否を論点に地方自治法の改正を検討している。総務省自治行政局行政課は「神戸の2次訴訟の最高裁決定が、今後の議論を左右するだろう」と注目する。
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# 裁判の結果は裁判官の胸先三寸で決まる。
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【参考】栃木・氏家町の公金返還訴訟:請求放棄議決、無効 三権分立に反する--東京高裁判決 <毎日新聞など 2009/12/25>
栃木県氏家町(現さくら市)が適正価格を大幅に超えて浄水場用地を購入したのは違法として、住民が合併後のさくら市を相手に、支出時の氏家町長に1億2192万円を返還させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2009/12/24、元氏家町長に全額支払いを請求するよう命じた一審判決を支持し、さくら市の控訴を棄却した。
※ 元氏家町長=秋元喜平。さくら市の前市長。
さくら市議会は控訴審結審後、元町長への賠償請求権を放棄する議決をしたが、房村精一裁判長は「三権分立の趣旨に反し、裁量権を逸脱・乱用した。議決は違法で無効」と指摘した。さくら市は2009/12/25にも上告する。
原告はさくら市の会社役員。原告は、氏家町が2004年に2億5000万円で購入した用地について、適正価格は7590万円と主張。2008/12の宇都宮地裁判決は訴えを認めた。さくら市が控訴したが、結審直後の2009/09、さくら市議会は被告への賠償請求権を放棄する議案を可決。これを理由にさくら市は請求棄却を求めていた。
東京高裁は一審同様「氏家町の支出は違法」と元町長の賠償責任を認定。議決について「裁判所の認定判断を阻止するための議決で、裁判所の判断に対し、議会の判断を優先させようとするもの。地方自治法も、そうした議決は認容していない」と指摘した。請求権放棄で敗訴を免れようとする自治体の動きを巡っては、大阪高裁が2009/11、神戸市の支出を巡る住民訴訟で「住民訴訟制度を否定するもの」と議決を無効とする判断を示している。
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神戸市の補助金返還訴訟 住民側の勝訴確定 <神戸新聞 2009/12/10>を添削
神戸市が3つの外郭団体に派遣した職員らの人件費に充てるため、補助金を支出したのは違法として、市民団体「ミナト神戸を守る会」のメンバーが2004、2005年度分の計約2億5千万円を返還するよう求めた住民訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は2009/12/10、神戸市側の上告を退ける決定をした。矢田立郎市長らに計約2億1800万円を返還させるよう神戸市に命じた一審神戸地裁判決を変更し、請求通り計約2億5000万円を返還させるよう命じた二審大阪高裁判決が確定した。
3つの外郭団体は「こうべ市民福祉振興協会」「神戸市地域医療振興財団」「神戸市障害者スポーツ協会」。
(以下略)
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神戸市に55億円返還求めるよう命令=外郭団体人件費訴訟-大阪高裁 <時事通信 2009/11/27>
神戸市が外郭団体などに派遣した職員の人件費として補助金を支出したのは違法として、市民団体が返還させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(大谷正治裁判長)は2009/11/27、一審に続き支出を違法と判断し、神戸市に対し、神戸市長や外郭団体に約55億円を請求するよう命じた。大谷裁判長は、神戸市が一審敗訴後に請求権を放棄する条例改正を行ったことについて「住民訴訟制度を否定するもので、効力はない」と指摘した。神戸市は上告する方針。(←神戸市は判決を不服として2009/12/10、最高裁に上告した。)
(中略)
一審の神戸地裁は2008/04、神戸市は支出の必要性を審査していないとして約47億円を返還させるよう命令。神戸市は控訴し、2009/02、請求権を放棄する条例改正を行ったことを理由に争っていた。
大谷裁判長は、支出の違法性について一審の判断を踏襲。その上で、条例について「住民の手で自治体の違法行為の防止や回復を図る住民訴訟制度を根底から否定するものだ」と批判。議決権の乱用と認定し「請求権放棄を定めた部分は効果を生じない」と判断した。
判決によると、神戸市は外郭団体などへの業務委託をめぐり、神戸市からの派遣職員の人件費として70億円を超える補助金を交付した。
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債権放棄案、市会委が承認 神戸市人件費訴訟敗訴 <神戸新聞 2009/02/24>
神戸市が職員派遣先の外郭団体に人件費として補助金を支出したのは違法として、矢田立郎市長らに総額約48億円を神戸市に返還するよう命じた神戸地裁判決で、敗訴確定後に発生する債権などを返還請求しないことを盛り込んだ神戸市条例改正案が2009/02/23、神戸市議会総務財政委員会で承認された。
「議会承認があれば債権放棄できる」との地方自治法の規定に基づき、神戸市は定例市議会に債権放棄を提案。委員会の審議で、神戸市は「債権を放棄しても、神戸市の実質的な損害はない。判決が指摘している問題は真摯に受け止め、支給方法の見直しも図っていく」などと説明。野党の一部から「判決を尊重していない」との意見も出たが、自民、公明、民主などが賛成した。2009/02/26の本会議で採決される。
(以下略)
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