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Sclaps KOBE

神戸に関連する/しない新聞記事をスクラップ。神戸の鉄ちゃんのブログは分離しました。人名は全て敬称略が原則。

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【風(1)新型インフル】日本人は熱しやすく冷めやすい? <MSN産経 2010/05/17>

 白い防護服に身を包んだ検疫官が飛行機内に入り、乗客の健康状態を厳重にチェックする。
 関西国際空港などでは1年前、映画のワンシーンのようなものものしい光景が繰り広げられた。海外で拡大した新型インフルエンザの感染防止を図る水際作戦だった。
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新型インフル:神戸大流行は異なるウイルス 感染経路は別 <毎日新聞 2010/05/16>

 渡航歴のない神戸市の高校生から全国で初めて新型インフルエンザのウイルスが検出されて2010/05/16で1年。この高校生たちから検出されたウイルスと、神戸市内全域で感染者が確認された2009/06以降のウイルスの遺伝子が異なっていることが、神戸市環境保健研究所の調査でわかった。2009/06以降に蔓延したウイルスは、別の複数の経路から侵入したことを示す結果を示している。

 森愛・神戸市環境保健研究所員(36、ウイルス学)らは神戸市内で採取した検体のうち、2009/05~2009/08の患者の検体28人分を抜き出して比較した。ウイルスを構成する遺伝子の塩基配列を調べたところ、2009/05に感染した高校生8人は塩基配列がほぼ一致。2009/06~2009/08の20人はいずれも異なり、2009/05の8人とも違った。この結果から2009/06以降の流行は2009/05の患者から広がったのではなく、別の複数の感染経路があった、と結論づけた。

 神戸市内の患者数は、2009/05中は多い日は1日30人を超えたが、その後減って6月になると1日5人以下に。2009/06/11~06/22は海外渡航者の2人だけだった。その後2009/07から再び増え始めて冬まで流行が続いた。
 国立感染症研究所は、2009/06の患者数減は2009/05中の休校が功を奏したとみている。

 森・研究所員は「一度はウイルスを抑え込めたことで、適切な対策だったことが証明できた」と話している。
季節性インフルどこへ? 新型出現の影響か <神戸新聞 2010/01/12>を添削

 新型インフルエンザの大流行が続く中で、例年流行していたAソ連型、A香港型の季節性インフルエンザウイルスがほとんど検出されていない。
 新たなインフルエンザのパンデミック(世界的流行)が起きると、それまで流行していたA型ウイルスが新しいウイルスに置き換わる現象が過去にも起きているが、従来の季節性インフルエンザはもう流行しないのだろうか? 今後の状況次第では、来シーズンのワクチン製造にも影響が出てくる。

 ヒトで流行するインフルエンザウイルスは、構造の違うA型とB型に分けられる。A型では、昨シーズンまでAソ連型とA香港型の2種類が毎年流行していた。そこに、同じA型の新型インフルエンザが発生した。
 毎年、インフルエンザが流行期に入る12月。2008年にはAソ連型、A香港型を合わせて1カ月で919件、2007年は1026件、流行開始が遅かった2006年でも27件のウイルス検出があった。ところが今シーズン、2009/12のウイルス検出はAソ連型、A香港型ともにゼロ。2009/10終わりごろに1件報告されて以降、現在まで出ていない。国立感染症研究所感染症情報センターの谷口清州室長は「世界的にも日本と同じような状況だ」と指摘する。

 新たなウイルスの出現により、それまでのウイルスが淘汰されてしまうことは過去に何度も繰り返されてきた。1918年のスペイン風邪以降、長年流行を続けていたウイルスは、1957年のアジア風邪流行で新しいウイルスに置き換わった。だが、このウイルスも1968年の香港風邪以降はA香港型に置き換わり、1977年以降はAソ連型が加わった。なぜ淘汰されるのか、そのメカニズムは分かっていない。

 東北大の押谷仁教授は「今後どういう展開になるのかは分からない。従来の季節性インフルエンザが淘汰されたと言うのはまだ早いだろう。今はインフルエンザが出始める時期。新型の患者が1千万人以上出ている中で、少数の季節性の患者を見つけるのが難しいということも考えられる」と慎重な見方だ。

 季節性の動向は来シーズンのワクチン製造に影響する。通常、次のシーズンのワクチン製造に当たっては、前シーズンの国内外の流行状況などを踏まえて流行りそうなウイルスを予測。実際の製造に用いるウイルスの種類を決定し、春から製造を始める。現在の季節性インフルエンザワクチンには、Aソ連型、A香港型、B型の3種類の抗原が入っているが、新型が席巻している現状をどう分析し、どの抗原を入れるのか。
 谷口室長は「そろそろ決定しなければならない時期が来るが、その時点のデータで判断するしかないだろう」と話している。
新型インフルエンザ 感染ルートに変化 <神戸新聞 2009/12/24>

 神戸市内の新型インフルエンザ感染者から採取したウイルスの遺伝子の配列が、2009/05/16に国内初の感染例が確認された直後と、2009/06下旬以降とで異なることが2009/12/24、神戸市環境保健研究所の遺伝子解析結果から分かった。両者は感染ルートが異なるとみられる。

 神戸市環境保健研究所は、保有する検体のうち、神戸市内で国内初の感染が確認された2009/05/16~2009/06/10に集めた8サンプルと、2009/06/23~2009/08/10に採取した20サンプルを抽出。遺伝子の配列を調べたところ、両期間のサンプルにわずかな違いがあることが判明した。
 また、配列は2009/06/10以前の全てでほぼ同一だった半面、2009/06/23以降ではそれぞれにわずかな相違がみられた。強毒化などウイルスの性質にかかわる変異は見つからなかった。

 神戸市環境保健研究所は「2009/06下旬以降、新型インフルエンザウイルスは複数のルートを通じて入り込んできたとみられる。神戸市内では休校などの初期の対策が奏功し、当初のウイルスは封じ込められたのではないか」としている。
混合感染、県内でも確認 新型インフル <神戸新聞 2009/06/23>

 神戸大感染症センターと兵庫県立健康生活科学研究所は06/22までに、兵庫県内で採取した新型インフルエンザ検体を遺伝子解析したところ、感染者1人が季節性にも感染していたことを突き止めた。
 兵庫県内での新型インフルエンザ発生がピークを迎えた05/16~20に採取した6検体の遺伝子を解析。1検体が新型と季節性のA香港型に混合感染していたことが判明した。
 こうした混合感染によって、ウイルスの遺伝子が変異し、治療薬への耐性を獲得することも考えられ、神戸大感染症センターは「この検体を含め、変異には注意が必要だ」と警告している。

 混合感染した場合、新型ウイルスが季節性の遺伝子の一部を取り込むなどして、遺伝子が交じり合う「遺伝子再集合」と呼ばれる変異を起こす可能性がある。その場合、通常の突然変異に比べ、感染力、増殖力、薬剤耐性などウイルスの性質が大きく変化することもある。神戸大感染症センターなどはこの検体のウイルスについて、新たな性質を獲得していないか調べる方針。

 新型インフルエンザの混合感染は国内でも報告されている。
 神戸大感染症センターの新矢恭子准教授(ウイルス学)「季節性のAソ連型では、治療薬タミフルに耐性を持つウイルスが確認されており、混合感染によって新型でも耐性ができる可能性は常にある。継続的なウイルス監視が必要だ」
WHO 大流行宣言の検討再開 オーストラリアの感染状況に懸念

【ジュネーブ06/03共同】
 世界保健機関(WHO)は2009/06/02、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)について現行の「5」から、世界的大流行(パンデミック)認定を意味する「6」への引き上げに向けた検討を再開した。フクダ事務局長補代理は06/02の定例記者会見で、ヨーロッパや日本、オーストラリアでの感染状況を例に挙げ「フェーズ6に近づいている」と言明した。
 別のWHO当局者らによると、特にオーストラリアで感染ルートが特定できない「持続感染」が確認される恐れが出ており、WHOは水準引き上げの条件が整ってきたとの判断を強めている模様だ。
 患者の全般的な症状の重さについてフクダ氏は「軽微(マイルド)というより中間(モデレート)」と述べ、これまで「大半の患者は軽微」などとしていた表現を強め「軽微」よりやや重いとの判断に傾いていることを明らかにした。
 フクダ氏は今後「軽微」「中間」「重度」の3段階の表示方法などによる症状の評価方法を早急に確立、水準を引き上げても各国政府の過剰反応を招かないような「より状況に応じた」対応指針を提供すると説明。大流行宣言に向けた環境整備を急ぐ方針を示した。
新型インフルエンザ:4月末、既に国内発生? <毎日新聞 2009/05/30>

◇兵庫・大阪のウイルス、メキシコから流入か

 国立感染症研究所(感染研)は2009/05/29、関西で最初に新型インフルエンザの感染が確認された05/16より2週間以上前の04/28ごろ、神戸市と大阪府内で患者が発生していた可能性があるとの見方を示した。また、ウイルスの遺伝子情報を解読する製品評価技術基盤機構と感染研は05/29、兵庫県と大阪府で採取した遺伝子を解析した結果、メキシコやアメリカ南部での最初の流行と、4月下旬のアメリカ東部とカナダでの流行の間に変異して発生したウイルスであることが判明したと発表した。

 感染研は、今年1月から新型の発生を監視するため、全国の薬局のインフルエンザ治療薬の処方状況を例年と比較している。
 感染研感染症情報センターの大日康史主任研究官によると、例年はシーズン前半に新型と同じA型インフルエンザが流行し、後半から春先までB型インフルエンザが流行する傾向がある。しかし今年は、神戸市と大阪市周辺地域で4月中旬から下旬にB型の流行が終息。04/28、神戸市中央区の薬局で治療薬の処方が例年を上回って急増し、流行レベルに達した。大阪府内でも05/01に池田市と枚方市、05/13に池田市で同様の状態になった。
 同様の現象は茨木市内の高校に通う生徒の感染が確認された翌日の05/18に池田市など3市で起きたほか、京都市右京区に住む専門学校生が発症した05/20とその前日にも同区で見られた。感染研は4月末から5月初めの流行も新型だった可能性があるとみている。

 一方、同機構によると、韓国で4月末に確認されたメキシコからの帰国患者から採取された遺伝子と似ており同機構は「メキシコから直接流入した可能性もある」とみている。

 大日主任研究官は「流行初期にすでに国内に何らかの形で新型ウイルスが入っていた可能性はある」と話す。

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 つまり、極端な機内検疫の収支計算が必要だということだな。
「お帰り」と生徒へ声を 神戸高校長インタビュー <神戸新聞 2009/05/27>

 「ウエルカム・バック(お帰り)と生徒に声を掛けるつもり」。2009/05/26、神戸新聞社のインタビューに応じた兵庫県立神戸高校の岡野幸弘校長(57)は、英語教諭らしく授業再開の日に思いをめぐらせた。国内で初めて新型インフルエンザが確認され、今も休校が続く同校。感染した生徒17人のうち16人が同日までに完治したことを受け、岡野校長は「休校措置は大きな効果があった」と評価した。
 岡野校長が「新型インフルエンザの感染が濃厚な生徒がいる」と知ったのは、2009/05/16 午前0時ごろ。神戸市内の自宅寝室で電話を受けた。「検査対象の生徒に海外渡航歴はなく、新型という言葉が飲み込めなかった」未明に同校で始まった対策会議では「休校になる可能性が高い。その場合、何をやらなくてはならないか考えよう」と教職員に語り掛けた。同日午後に休校が決まり、18時から手分けして保護者らへの連絡を始めた。「全校生995人を終えるのに、翌朝まで11時間半かかった。保護者には『休校中はどうしていたらいいのか』という不安の声もあった。そこで丁寧に対応したのは良かったと思う」
 感染が他校でも確認され始めると、運動部の対外試合など、神戸高校との接点が指摘されるようになった。無言電話やインターネット上の爆破予告もあった。「4月下旬に感染者の多い国に行った生徒がいただろう」という全く事実と異なる嫌がらせの電話もあった。
 感染ルートについて、岡野校長は「(感染した)生徒の状況を聞くと、海外からの帰国者と直接接触し、うつったのではないようだ」と説明する。「(生徒の感染が確認されたときには)すでに国内に入っていたとしか考えようがない」
 休校措置は評価しているが、2009/05/22に県内一律の休校解除が決定された際、同校などが「10人以上の感染者が出た」という理由で期間延長となったことに心境は複雑だったという。教員からは「なぜ10人で線引きするのか」と聞かれた。
 同校では2009/05/19以降新たな感染者は出ておらず、校内には異論もあったが、県の決定に従った。ただ、「2週間の休校は、受験生や運動部員らにとっては、取り返しのつかないくらいの遅れになる恐れもある」と懸念している。
 同校が「欠席者が多い」と気づいたのは2009/05/12だった。季節性インフルエンザと考え、同日から健康観察を始めた。「念のため連休中の渡航歴を聞いたが1人か2人だけ。発症もなかった」。だが欠席者は増え、健康調査を続けようと話し合っていたところに、海外渡航歴がない生徒の感染が確認された。
 「現場で必要なのは危機意識。正確な情報を集め、最悪のケースを想定して動ける状況をつくっておくことが大事だ」。岡野校長は、そう実感したという。(霍見真一郎)

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 うーん、でも、アメリカなどの感染者のウイルスとほぼ同じである以上、国内で自然発生したわけではない。誰かからもらったんだ。それは連休中の渡航者の可能性は高い(断定はしない)。発症者と保菌者はまた別の次元の話だ。それを理解しているかどうか。
特集ワイド:新型インフル 過剰反応…いや、当然? <毎日新聞 2009/05/22>

 ついに首都圏でも感染者が確認された新型インフルエンザ。街にはマスク姿が目立ち、どこもかしこも対策、対策の大合唱だ。「冷静な対応が求められる」とみんなは言うけれど……。“冷静と過熱のあいだ”にあるニッポンについて、識者3人と考えた。

◇弱毒性だからと油断しないで--東北大教授(ウイルス学)・押谷仁
 機内検疫や感染者の追跡調査は、国内で感染が広まった今となっては過剰で無意味な対策だ。しかし、2~3日前から急に通常の季節性インフルエンザと一緒だという認識が広がり対策の緩和が言われ始めたが、危機感を感じる。
 季節性と新型とは明らかに違う。季節性でも年1万~2万人が死亡するが、大半は高齢者で元々重い疾患を持っているのがほとんど。今回は肺炎から呼吸器不全を引き起こし、インフルエンザそのものが死亡原因となっている。しかも死者は若者だ。
 米国の状況を見れば今後何が起きるか想定できる。米国では感染者が確認されてから死者が出るまで1カ月あった。1カ月後には日本で死亡例が出てもおかしくない。特に妊婦やぜんそくなどの人は重症化する可能性がある。
 新型インフルエンザは弱毒性で、数十万から数百万人の死者が出るような事態にはならない。しかし、季節性と同程度の死者が出る可能性はあり、仮に日本で若者が数百人死んだら、大騒ぎになるだろう。死者が若者だった場合のインパクトは全く異なる。
 国のガイドラインは非常に病原性の高いものを想定しているが、新型インフルエンザの致死率は相当低く全部ガイドライン通りにする必要は無い。しかしまずは、どの程度の被害が出るのか、評価が重要。国が被害をどう見積もっているのかわからないが、少なくともきちんと国民に伝えられているとは言えない。その上で政治家は、企業の閉鎖など社会活動をどの程度制限するのか議論し、重症者を救う対策を検討すべきだ。
 マスコミ報道も冷静さを欠いている。どんな人が重症化してどうしたら救えるのか、報じてほしい。
 日本の対応はヨーロッパに比べて過剰だと言われるが、ヨーロッパでは日本のように感染拡大が確認されておらず状況が違う。日本の基準をはっきりさせ、早期に重症者を救う対策を講じるべきだ。時間をかけている暇はない。

◇責任逃れの「アリバイ」目立つ--元小樽市保健所長(北海道大学医学部卒)・外岡立人
 新型インフルエンザに対する日本社会の態度は、過熱どころかパニック状態と言っても過言ではありません。なぜならば、現時点で症状はそれほど重くないし、患者は無熱、無症状のケースもあるからです。危険度は季節性と同等か、軽微でしょう。普段、季節性でここまで手を打ちますか? 私見では、今の新型インフルが季節性と同程度でも、必要によって学校を閉鎖するぐらいで十分です。
 もっともらしい対応は企業に目立ちますが、職場の同僚が感染した際の自宅待機も、出社前の体温測定も無意味です。ネット上でこうした主張をすると、企業の危機管理担当者からの抗議が相次ぎます。対策のアピールに張り切っているのでしょうが、冷静になってほしいです。
 こうなったのも、国が「ひとまず心配しなくてもいい」とのメッセージをしっかりと出さないからです。万一の事態に対する責任を取りたくないため、「最大限やっている」とのアピールを続ける。まるでアリバイを証明しようとしているかのようです。それが必ずしも功を奏さないのは、空港での「水際作戦」が、関西における患者の大量発生を食い止められなかったことでも明らかなのに。
 パニックの一因はマスコミにもあります。「○○地域で○人発症」といった日々の動きを強調してばかりでは、不安は増幅される。「心配いらない」とのメッセージも、併せて伝えるべきです。
 ちまたではマスクの買い付け騒ぎにもなりそうですが、マスクが予防に役立つとの医学的な立証はありません。患者のくしゃみ、せきからの飛沫物は、衣服や頭髪、持ち物などにも付着し、マスクだけでは防ぎきれない。着けるなとは言わないが、決定的な効果は期待できません。
 ともあれ、このパニックもじきに落ち着くでしょう。ウイルスは夏場に活動が低下するし、国民もそろそろしらけてくるはずです。病原性の高いウイルスに変わる危険性があっても、現時点で騒ぎすぎる必要はないでしょう。


◇金と健康はかりにかけるな--神戸女学院大教授(フランス現代思想)・内田樹
 まずは健康優先でしょう。弱毒性だからそんなに慌てることはないといっているが、感染した人にとっては、弱毒も強毒も関係ない。感染経路も分からず、ワクチンもない。タミフルは副作用が心配だということを考えると、状況がよく分からない時には慎重な対応をすることが基本だ。
 一部メディアで「パニック状態」と言われているが、パニックになどなっていない。私は神戸在住だが、みんな外出を控えているので、街には人が少ないだけで、電車やバスもきちんと動いているし、ガス・水道・電気も通っている。都市機能はまひしていない。行政に言われたことに従い、おとなしく家でじっとしているのに、何がパニックか。マスクを買いに走るのは、公衆衛生の観点から見ても、ナチュラルな反応だと思う。
 石油ショックの際にトイレットペーパーがなくなったことや、阪神大震災のときに物がなくて困ったことと比べれば、何ということもない。流行させないために外出を自粛するなど、公共的福利へ配慮した行動で、公民としての意識がきちんとあると感心するぐらいだ。
 腹立たしいのは、市民の自粛で消費活動が不活発になった今、不景気へのさらなる打撃になると考えたのか、新型インフルエンザを過小評価しようとしているように見えることだ。
 神戸市では来週から保育園や学校で休校措置をやめようとする動きもあると聞く。子どもが休んでいると、親も働けず困るなどという声が出ているらしいが、つまりは金がらみ。経済だ。公衆衛生や疫学的な観点でなく、経済活動を戻すという景気優先で考えているのが見え見えだ。金と健康をはかりにかけるのか。
 今の季節だから、まだこのぐらいですんでいるが、本格的に流行する秋冬になったらどうするのか。私はコントロールできない自然の脅威に対しては、恐れを抱いた方がよいという考えだ。多少、過敏なぐらいが、人類学的には正しい態度だと思う。
新型インフルエンザ:4種が10年で混合 ウイルス変異は「生き残るためか」

 人から人に感染する新型インフルエンザが発生し、日本国内でも感染者が確認された。新型を引き起こした今回のウイルスは人と鳥、豚2種の計4種のウイルスが10年かけて混合し、生まれたことが判明した。このようなウイルスの変異はなぜ、どのような仕組みで起こるのだろうか。

◆変化しながら増殖

 ウイルスは細菌、真菌などの微生物と違い細胞がなく、宿主の生きた細胞の中でしか増殖できない特徴がある。基本的に、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)の遺伝子の塊と、それを包む蛋白質の殻から構成される単純な構造だ。
 ウイルスは増殖の結果、宿主の生物に病気を引き起こすが、それは単純な自己複製の繰り返しではなく、時々、変化しながら増えていく。この変化を「変異」と呼ぶ。今回の新型インフルエンザのように変異の度合いが大きいと、それにより引き起こされる病気の症状や感染のしやすさが大きく変わることがある。
 なぜウイルスは変異を繰り返すのか。国立遺伝学研究所の五條堀孝教授(分子進化学)は「感染された宿主は自分を守ろうと、免疫でウイルスを激しく攻撃する。一方、ウイルスはこの攻撃にさらされても全滅しないよう、生きながらえるため変異するのではないか」と推測する。

◆パターンは4つ

 変異には大きく4つのパターンがある。これをインフルエンザウイルスで示してみよう。
 インフルエンザウイルスの遺伝子はRNA。そのため遺伝情報はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)の4種の塩基の組み合わせで作られている。

 第1は「塩基の置き換わり」による変異だ。ウイルスが生き延びるには、感染した宿主細胞内でRNAを複製する必要があるが、そのコピーの際にエラーが生じる。例えばGがAになったり、CがUになるなど、一部の塩基が正確に複製されず、他の塩基に置き換わってしまう。「塩基置換突然変異」と呼ばれ、インフルエンザウイルスにはこれを修復する機能がない。

 第2は「遺伝子再集合」という変異だ。インフルエンザウイルスは、遺伝子が8本の分節に分かれている。同じ細胞に違う種類のインフルエンザウイルスが同時に感染すると、増殖の際にウイルスの遺伝子が分節単位で組み換わってしまうことがある。過去のインフルエンザ・パンデミック(世界的大流行)だったアジア風邪(1957年)や香港風邪(1968年)、そして今回の新型インフルエンザもこの遺伝子再集合による変異で生まれた新型だ。

 この他、コピーの際にそれまで存在しなかった塩基が突然挿入されたり、逆に存在していた塩基がいきなり欠失したりして起こる変異がある。また、2つの異なる遺伝子が一部を組み換えることで、新しいものが生じる変異もある。

◆HIVは何千種にも

 インフルエンザウイルスより変異しやすいのがHIV(エイズウイルス)だ。
 琉球大の田中勇悦教授(免疫学)によると、1つのHIVは感染した細胞で数千~数万に増殖するが、その過程で自分の遺伝子の「コピーエラー」により高い頻度で変異を起こす。それが体内で感染を繰り返し、増殖する結果、「感染した元のウイルスがたとえ1種でも、増殖後は体内に何千種類もの変異したウイルスが存在することになってしまう」。その中には免疫をすり抜けるHIVがある。ワクチン開発が難航しているのはこの変幻自在な変異のためだ。
 五條堀教授によると、インフルエンザウイルスも、1つの遺伝子が複製されるに当たり1000分の1から10万分の1の割合で変異が生じる。そのため真核生物に比べ平均して約100万倍も速く変異して進化する。
 一方、あまり変異しないウイルスもある。天然痘やポリオ、はしかなどが代表例で、変異が少ないためにワクチンの効果が高く、天然痘は根絶に成功した。

 世界保健機関(WHO)の緊急委員会委員を務める田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長によると、今回の新型インフルエンザウイルスは「遺伝子解析から典型的な弱毒型」で、重症化しやすい強毒型に変異する可能性はほとんどない。それでも田代センター長は「第1波から(人に対する病原性が)大きく変異し、(たとえワクチンを作っても)効かなくなる可能性は否定できない」と警戒する。
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