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自治体クラウドに新潮流、復興対策が後押し <2012/05/18>を編集
井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー
市町村の行政システムをクラウド化する自治体クラウド。税収減や社会保障費などの増大により財政が厳しさを増す中、システム運用コストの軽減を狙って導入を検討する自治体が増え続けている。
こうした状況の下、自治体クラウドへの新しい取り組み方が広がろうとしている。複数の市町村による共同化ではなく、一自治体単独でのクラウドサービスの利用である。きっかけは、政府の震災復興対策事業だ。
■17市町村がクラウド移行を目指す
総務省は2012/04、震災復興対策である「被災地域情報化推進事業」の交付事業、計29件を決定した。今回決定した補助対象事業の事業総額は82億7000万円で、各事業費の1/3、合計27億5500万円を補助する。
「被災地域情報化推進事業」は、東日本大震災で被災した11道県の227市町村を対象としている。特に岩手県・宮城県・福島県は全市町村が対象となる。2011/12下旬から2012/02末まで1回目の申請を受け付けた。事業費としては、2011年度予算(第3次補正)で73億9000万円を計上してある。
対象事業は計7区分で募集した。具体的には、(1)東北地域医療情報連携基盤構築事業、(2)ICT地域のきずな再生・強化事業、(3)被災地就労履歴管理システム構築事業費補助事業、(4)被災地域ブロードバンド基盤整備事業、(5)スマートグリッド通信インタフェース導入事業、(6)災害に強い情報連携システム構築事業、(7)自治体クラウド導入事業である。
区分別で見て金額が最も大きかったのはスマートグリッド。仙台市(事業総額24億1900万円)、会津若松市(事業総額2億7200万円)、足利市(事業総額1億0500万円)の事業への交付が決定した。復興公営住宅・一般世帯・公共施設のHEMS(家庭エネルギー管理システム)/BEMS(ビルエネルギー管理システム)や太陽光発電装置を遠隔から一括管理するシステムなどを導入する。
一方、事業総額は17億6300万円とスマートグリッド事業には及ばないながらも、件数では過半となる15件を占めたのが自治体クラウド導入事業である。岩手県大槌町・普代村・野田村は3町村共同で、基幹系(住民情報・税・福祉・保険/年金など)と内部系(財務会計・人事給与など)をともにクラウドへ移行する。事業総額は、自治体クラウドの区分では最大の6億8800万円である。
また、岩手県釜石市、宮城県七ヶ浜町・色麻町・涌谷町、福島県須賀川市・古殿町・小野町・葛尾村、茨城県潮来市・大子町、千葉県浦安市・白子町、長野県栄村の計13市町村は、それぞれ一自治体単独で、基幹系のクラウド移行に踏み切る(葛尾村と潮来市は内部系も移行)。このほか千葉県松戸市が、クラウド化に向けた調査・検討と計画作成を実施する。
岩手県では震災直後に、津波被害が大きかった沿岸部13市町村で「岩手県沿岸市町村復興期成同盟会」を結成。活動の一環として、自治体クラウドの導入を検討してきた。災害時に庁舎が損壊しても住民情報などを失わずに早期に行政業務を復旧させられるようにしたり、現行のシステム運用にかかる費用・人員の削減分を復興業務に回して早期の復興を実現したりするためである。
補助金交付の決定を受け大槌町は、2012/04/25~2012/05/18に自治体クラウド構築に関するRFI(情報提供依頼)を実施。全国地域情報化推進協会(APPLIC)が公表している「地域情報プラットフォーム」標準仕様を考慮することを条件として、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)方式でのシステム構築の情報提供を募集した。2012/05中のデモ/プレゼンテーションも踏まえて、システムの内容や予算規模を検討し、RFIに応じた事業者の中からRFP(提案依頼)に参加する事業者を複数選定する方針である。
■補助金が単独移行を加速させる
総務省が共同化を推進してきた経緯もあって、従来の自治体クラウドは複数の市町村の参加による共同化を前提とした取り組みが一般的だった。一自治体単独でのクラウド移行は、東京都島嶼部など一部に限られていた。共同化では、参加する自治体の数が多いほど割り勘効果が働いて、一自治体当たりの運用コストなどを抑えられる利点があるからである。
ただ、今回の震災復興対策では、事業経費の1/3の補助を得られることから、多くの自治体が単独でのクラウド移行を決断したようだ。複数の市町村で共同化を進める場合は、業務プロセスの標準化やコストの分担をめぐって自治体間で調整が必要になるが、単独での移行ならそうした手間も省ける。
このような一自治体単独でのクラウド移行は、今後も拡大が続きそうだ。総務省の被災地域情報化推進事業の2011年度予算は、まだ6割強が残っており、2012/05/14から2012/06/29の期間で2回目の事業申請を受け付けている。さらに2012年度予算でも、45億1000万円の事業費を計上してある。災害時のデータ保全など、BCP(業務継続計画)強化のために、被災自治体の申請が続くのは間違いないだろう。
加えて、補助金事業を契機に、クラウドサービス事業者のセンター設備やアプリケーションの稼働率が高まれば、サービス料金の引き下げも期待できるかもしれない。仮に、共同化での割り勘効果に頼らなくても、相応のコスト圧縮効果が見込めるような水準にまで移行費用やサービス料金が下がってくれば、被災地域以外の自治体にも単独でのクラウド移行を目指す取り組みが広がり始めるだろう。
井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー
市町村の行政システムをクラウド化する自治体クラウド。税収減や社会保障費などの増大により財政が厳しさを増す中、システム運用コストの軽減を狙って導入を検討する自治体が増え続けている。
こうした状況の下、自治体クラウドへの新しい取り組み方が広がろうとしている。複数の市町村による共同化ではなく、一自治体単独でのクラウドサービスの利用である。きっかけは、政府の震災復興対策事業だ。
■17市町村がクラウド移行を目指す
総務省は2012/04、震災復興対策である「被災地域情報化推進事業」の交付事業、計29件を決定した。今回決定した補助対象事業の事業総額は82億7000万円で、各事業費の1/3、合計27億5500万円を補助する。
「被災地域情報化推進事業」は、東日本大震災で被災した11道県の227市町村を対象としている。特に岩手県・宮城県・福島県は全市町村が対象となる。2011/12下旬から2012/02末まで1回目の申請を受け付けた。事業費としては、2011年度予算(第3次補正)で73億9000万円を計上してある。
対象事業は計7区分で募集した。具体的には、(1)東北地域医療情報連携基盤構築事業、(2)ICT地域のきずな再生・強化事業、(3)被災地就労履歴管理システム構築事業費補助事業、(4)被災地域ブロードバンド基盤整備事業、(5)スマートグリッド通信インタフェース導入事業、(6)災害に強い情報連携システム構築事業、(7)自治体クラウド導入事業である。
区分別で見て金額が最も大きかったのはスマートグリッド。仙台市(事業総額24億1900万円)、会津若松市(事業総額2億7200万円)、足利市(事業総額1億0500万円)の事業への交付が決定した。復興公営住宅・一般世帯・公共施設のHEMS(家庭エネルギー管理システム)/BEMS(ビルエネルギー管理システム)や太陽光発電装置を遠隔から一括管理するシステムなどを導入する。
一方、事業総額は17億6300万円とスマートグリッド事業には及ばないながらも、件数では過半となる15件を占めたのが自治体クラウド導入事業である。岩手県大槌町・普代村・野田村は3町村共同で、基幹系(住民情報・税・福祉・保険/年金など)と内部系(財務会計・人事給与など)をともにクラウドへ移行する。事業総額は、自治体クラウドの区分では最大の6億8800万円である。
また、岩手県釜石市、宮城県七ヶ浜町・色麻町・涌谷町、福島県須賀川市・古殿町・小野町・葛尾村、茨城県潮来市・大子町、千葉県浦安市・白子町、長野県栄村の計13市町村は、それぞれ一自治体単独で、基幹系のクラウド移行に踏み切る(葛尾村と潮来市は内部系も移行)。このほか千葉県松戸市が、クラウド化に向けた調査・検討と計画作成を実施する。
岩手県では震災直後に、津波被害が大きかった沿岸部13市町村で「岩手県沿岸市町村復興期成同盟会」を結成。活動の一環として、自治体クラウドの導入を検討してきた。災害時に庁舎が損壊しても住民情報などを失わずに早期に行政業務を復旧させられるようにしたり、現行のシステム運用にかかる費用・人員の削減分を復興業務に回して早期の復興を実現したりするためである。
補助金交付の決定を受け大槌町は、2012/04/25~2012/05/18に自治体クラウド構築に関するRFI(情報提供依頼)を実施。全国地域情報化推進協会(APPLIC)が公表している「地域情報プラットフォーム」標準仕様を考慮することを条件として、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)方式でのシステム構築の情報提供を募集した。2012/05中のデモ/プレゼンテーションも踏まえて、システムの内容や予算規模を検討し、RFIに応じた事業者の中からRFP(提案依頼)に参加する事業者を複数選定する方針である。
■補助金が単独移行を加速させる
総務省が共同化を推進してきた経緯もあって、従来の自治体クラウドは複数の市町村の参加による共同化を前提とした取り組みが一般的だった。一自治体単独でのクラウド移行は、東京都島嶼部など一部に限られていた。共同化では、参加する自治体の数が多いほど割り勘効果が働いて、一自治体当たりの運用コストなどを抑えられる利点があるからである。
ただ、今回の震災復興対策では、事業経費の1/3の補助を得られることから、多くの自治体が単独でのクラウド移行を決断したようだ。複数の市町村で共同化を進める場合は、業務プロセスの標準化やコストの分担をめぐって自治体間で調整が必要になるが、単独での移行ならそうした手間も省ける。
このような一自治体単独でのクラウド移行は、今後も拡大が続きそうだ。総務省の被災地域情報化推進事業の2011年度予算は、まだ6割強が残っており、2012/05/14から2012/06/29の期間で2回目の事業申請を受け付けている。さらに2012年度予算でも、45億1000万円の事業費を計上してある。災害時のデータ保全など、BCP(業務継続計画)強化のために、被災自治体の申請が続くのは間違いないだろう。
加えて、補助金事業を契機に、クラウドサービス事業者のセンター設備やアプリケーションの稼働率が高まれば、サービス料金の引き下げも期待できるかもしれない。仮に、共同化での割り勘効果に頼らなくても、相応のコスト圧縮効果が見込めるような水準にまで移行費用やサービス料金が下がってくれば、被災地域以外の自治体にも単独でのクラウド移行を目指す取り組みが広がり始めるだろう。
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東日本大震災 上書き権/復興の一助として生かそう <河北新報社説 2012/05/29>を編集
「住宅の建設を禁じた災害危険区域に、工場など業務系の建物を建設できないものだろうか」。宮城県沿岸の町で、復興計画づくりの担当職員がため息をつく。限られた平地を有効活用したい被災自治体の多くが、現実に直面している問題だ。
しかし、建築基準法の答えは「ノー」。どうしてもと言うのなら、危険区域の指定を解除し、その上で区画整理の対象地に指定し直し、関係者を集めて土地交換の話し合いをしなければならない。要するに煩雑な手続きが必要になり、その分、復興のスピードは損なわれる。
危険区域であっても工場などは住居ではないのだから、それぞれの自治体の裁量で柔軟に建設エリアを決めたらどうか。何も「国民の生命、健康および財産の保護」という法の目的を逸脱しているわけでなし。ましてや今は、震災復興という特異な状況なのだから。
被災各地で、国の法律による規制が復興の足かせになりつつある。宮城県などで浮上している大量の瓦礫を防潮堤建設に活用する構想も、木質瓦礫の埋め立てを認めない廃棄物処理法がネックになっている。
こうした地域の実情にそぐわない規制を、法律の趣旨に反しない範囲で自治体が独自に撤廃したり緩和したりできる権能を「上書き権」と言う。
復興特区法の策定段階では、与野党が一致して「被災自治体の上書き権を明文化しよう」と検討したのだが、成立時には立ち消えになった。阻んだのは内閣法制局だった。
憲法は、国会を「唯一の立法機関」(41条)とし、自治体は「法律の範囲内で条例を制定することができる」(94条)と規定している。これを根拠に「条例で法律の上書きを認めたら、自治体に国会を超える権能を与えることになる」というのが内閣法制局の言い分だった。
野田佳彦首相の国会答弁も、内閣法制局の見解を踏襲。そこには被災地への配慮も、政治主導の理念も、地域主権改革への情熱もうかがえなかった。
厳密に言えば復興特区法は、立法機関の国会に配慮した上で、個別の法律について自治体による上書きを認めている。
自治体の申し立てに関係省庁が同意した場合は、政府が法律改正案を提出し、国会で成立後に条例で上書きできる。関係省庁が同意しないときは、衆参両院の審査を経て、議員立法で法律改正案を提出し、やはり国会での成立を経て上書きできる。
実に回りくどい手続きではあるが、それでも国会議員の熱意で、憲法解釈上は無理筋と目されていた上書き権が認められた意義は大きい。地方分権を本気で進めたいと考える自治体にとって悲願だった上書き権は、震災復興がきっかけとなって小さいながらも風穴が開いた。
復興の妨げとなる法規制を撤廃・緩和するのに、どのみち煩雑な手続きは避けられない。そうであるならば被災自治体には、ぜひとも上書き権を果敢に行使する道を選んでほしい。
「住宅の建設を禁じた災害危険区域に、工場など業務系の建物を建設できないものだろうか」。宮城県沿岸の町で、復興計画づくりの担当職員がため息をつく。限られた平地を有効活用したい被災自治体の多くが、現実に直面している問題だ。
しかし、建築基準法の答えは「ノー」。どうしてもと言うのなら、危険区域の指定を解除し、その上で区画整理の対象地に指定し直し、関係者を集めて土地交換の話し合いをしなければならない。要するに煩雑な手続きが必要になり、その分、復興のスピードは損なわれる。
危険区域であっても工場などは住居ではないのだから、それぞれの自治体の裁量で柔軟に建設エリアを決めたらどうか。何も「国民の生命、健康および財産の保護」という法の目的を逸脱しているわけでなし。ましてや今は、震災復興という特異な状況なのだから。
被災各地で、国の法律による規制が復興の足かせになりつつある。宮城県などで浮上している大量の瓦礫を防潮堤建設に活用する構想も、木質瓦礫の埋め立てを認めない廃棄物処理法がネックになっている。
こうした地域の実情にそぐわない規制を、法律の趣旨に反しない範囲で自治体が独自に撤廃したり緩和したりできる権能を「上書き権」と言う。
復興特区法の策定段階では、与野党が一致して「被災自治体の上書き権を明文化しよう」と検討したのだが、成立時には立ち消えになった。阻んだのは内閣法制局だった。
憲法は、国会を「唯一の立法機関」(41条)とし、自治体は「法律の範囲内で条例を制定することができる」(94条)と規定している。これを根拠に「条例で法律の上書きを認めたら、自治体に国会を超える権能を与えることになる」というのが内閣法制局の言い分だった。
野田佳彦首相の国会答弁も、内閣法制局の見解を踏襲。そこには被災地への配慮も、政治主導の理念も、地域主権改革への情熱もうかがえなかった。
厳密に言えば復興特区法は、立法機関の国会に配慮した上で、個別の法律について自治体による上書きを認めている。
自治体の申し立てに関係省庁が同意した場合は、政府が法律改正案を提出し、国会で成立後に条例で上書きできる。関係省庁が同意しないときは、衆参両院の審査を経て、議員立法で法律改正案を提出し、やはり国会での成立を経て上書きできる。
実に回りくどい手続きではあるが、それでも国会議員の熱意で、憲法解釈上は無理筋と目されていた上書き権が認められた意義は大きい。地方分権を本気で進めたいと考える自治体にとって悲願だった上書き権は、震災復興がきっかけとなって小さいながらも風穴が開いた。
復興の妨げとなる法規制を撤廃・緩和するのに、どのみち煩雑な手続きは避けられない。そうであるならば被災自治体には、ぜひとも上書き権を果敢に行使する道を選んでほしい。
経済の死角
地震予知の第一人者・東海大学教授 長尾年恭「首都圏直下型M8」「東海地震M9」はまもなく来るものと覚悟してください
<2012年01月18日(水) 週刊現代「週刊現代」2012年1月21日号>を編集
「二度とこんな悲劇は見たくない」。3・11には誰もがそう思った。だが、いまこの瞬間にも、列島直下では異変が進行している。この世の終わりに見えた大震災すら、実は〝始まり〟に過ぎないのだ。
来る時期が早まった
「今後、首都圏直下型を含めて、大きな地震が複数回、起きる可能性があります。2011/03/11の東日本大震災以来・・・・・・というより、正確には1995/01/17の阪神淡路大震災から、日本列島は地震活動が活発になっているのです」
こう語るのは、東海大学海洋研究所地震予知研究センター長 教授の長尾年恭である。長尾の専門は、固体地球物理学、地震電磁気学、地震防災など。大学院在学中に南極越冬隊などに参加し、その後、金沢大学助手などを経て、現職に就いた。地震予知研究の第一人者の一人であり、前兆現象の研究者としても知られる。その長尾が、「近い将来、大地震が起きる可能性がある」として、警告を発している場所はどこなのか。
「東日本大震災により、いくつかの大地震の発生時期が、早まったと考えなければなりません。まず、3・11大震災の震源域の北と南、岩盤が割れ残ったと思われる、青森沖と房総沖です。これらの場所で地震が起きれば、M8級を覚悟する必要があります」
よく知られているように、巨大地震が発生した場合、数ヵ月から数年以内に、その隣接域で、同規模の大地震が発生することが多い。2004年のスマトラ沖地震の例が有名だが、最初の地震によって周囲の地殻の歪みが拡大し、連鎖的に大地震が発生してしまうのだ。
「ある場所が地震で動けば、動いていないその隣の地域には、当然、歪みが溜まります。これは単なる力学的な問題の結果に過ぎず、高確率で、その隣接地域でも地震が起きます」
青森沖でも房総沖でも、M8級の地震の場合は津波が発生する可能性を考慮しなければならない。もし房総沖地震で津波が発生した場合、千葉県の太平洋岸では、3・11に匹敵する5~6mの津波を覚悟する必要があるという。また、震源地に近い首都圏も、無傷では済まない。房総沖地震の際、東京近郊では震度6程度の揺れに襲われる場所が出る恐れがあり、千葉県浦安市など東京湾沿岸部では、またもや液状化現象の被害が出ることが予想される。
しかし、東京にとってもっと恐ろしいのは、阪神淡路大震災と同規模になると予想される、首都圏直下型地震である。
「1855年の安政江戸地震以来、首都圏では直下型の大地震が起きていません。関東平野の下には活断層が存在する可能性が高い。活断層は航空写真で確認できたものしか認められないので、厚い堆積層に覆われたこの地域では、見つかっていないだけなのです。首都直下型地震がいつ来るのか、私の個人的なフィーリングでは、少なくとも10年以内に起きる可能性が高いと思います。地震により首都機能がマヒした場合、経済に与える打撃は凄まじいものになるでしょうから、日本が耐えられるか大変憂慮しています」
首都圏では他に、小田原付近において、およそ70年周期で地震が起きていることも、古文書などで確認されているという。1923年の関東大震災を考えると、それからすでに90年近くが経過している。そういう意味でも、首都圏及び関東近郊での直下型地震の可能性は、非常に高いといわざるを得ない。
一方、3・11で壊滅的な被害を受けてしまった東北地方だが、一度の大地震で危機が去ったわけではなく、今後も強い警戒が必要だと長尾氏は警告する。
「日本列島から300~400kmの沖合で発生するアウターライズ地震による津波の再襲来に備えなければなりません。これも10年スパンで考えれば、『100%起きる』と考えるべき地震です」
■100%の確率
東日本大震災では、日本海溝と東北地方の間の場所が震源域となった。東から押し寄せる太平洋プレートが、日本海溝の底で西側の北米プレートに潜り込んでいるため、押し込まれている側=北米プレートに近いほう(東北地方)で、断層の破壊が起きたのだ。ところが、3・11の巨大地震のエネルギーはM9とあまりに巨大だったので、日本海溝を挟んだ反対側の場所(太平洋プレート側)にも歪みのエネルギーが蓄積されている。このエネルギーが解放された時におきるのが「アウターライズ地震」と呼ばれるものだ。
「この地震はM8クラスですが、震源域が沖合のため揺れによる被害はほとんど出ません。しかし、東北地方には10m級の津波が押し寄せる危険性があります。米国は、このアウターライズ地震の発生を非常に危惧しています。津波の再襲来で福島第一原発4号機の燃料保管プールが崩壊したら、太平洋全域が壊滅的な打撃を受けてしまう。だから米国政府は、日本政府に福島第一の補強補修工事を早急に進めるよう、強く要請しているのです」
房総沖に青森沖、アウターライズ地震に、首都直下型地震。これらの地震が近い将来起きる可能性は、残念ながら極めて高い。
繰り返すが、M9の超巨大地震がいったん起きてしまった以上、そのとてつもないエネルギーは、確実に日本列島周辺の地殻や断層に、大きなストレスとなって残ったままだからだ。純粋に物理学の観点からしても、不自然に溜められた歪みのエネルギーは、そのうち必ず解放され、大地震が発生することになる。
長尾はさらに、こう指摘する。
「もうひとつ、3・11により発生が早まったと考えなければならないのが、東海地震です。今度の東海地震は非常に大きなものになると思います。その規模はM9~9.5に達するとも言われています。過去の超巨大東海地震の記録を調べると、ほぼ2000年周期で起きているのですが、現在は、前回の地震から約2000年なのです。これも私の個人的見解ですが、10~20年以内には起きる可能性があると見なければなりません」
M9クラスの超巨大東海地震が起きた場合、本州の太平洋沿岸部には、10~15mの大津波が押し寄せると想定される。東海地震の震源域の真上には、停止中とはいえ浜岡原発があるのは言うまでもない。加えて、東海地方を中心とした地域は、人口密度も経済規模も、東北地方よりさらに巨大だ。日本経済に及ぼす影響は、さらに甚大なレベルに達することが予想される。
■大地震の後に本当の危機が
しかし、長尾はもしも東海地震が発生すれば、破局的事態は、それだけでは済まない可能性があると警告する。
「東海地震が起きた場合、かなりの高率で富士山が噴火するでしょう。日本における災害では、地震以上に火山の噴火が怖い。たとえば、阿蘇山はかつて、破局的な大噴火を起こしていますが、もしそれが起きれば、九州の動植物はすべて絶滅します。火山の大噴火はそれほど恐ろしい被害をもたらすのです。実は富士山は、人間にたとえると二十歳くらいの若い火山なのですよ。阪神淡路大震災から東日本大震災と、日本列島全体が活動期に入ってきた中で、富士山も同じく活動期に入ったと見たほうがいい」
直近の富士山の噴火は、1707年のこと。この時は、まずM8.5級の宝永地震が発生し、その49日後に富士山が大噴火、宝永火口を形成した。
「活火山であるはずが300年も噴火しなかったこと自体、異常だと考えたほうがいい。東海地震後に富士山は間違いなく噴火すると考えるべきです。それは地震が起きた後、おそらく数十日~2年以内でしょう。地震の揺れ自体は長くても3分程度で終わります。しかし、ひとたび富士山が噴火すれば、それが数ヵ月は続くことになる。火山灰により、飛行機の離発着が不可能になるなど、現代のエレクトロニクスはほとんど使えなくなる。経済的に見ても、いったいどれほどの被害が出るのか見当がつきません」
「その時」は確実に来る。そしてそれは、明日かもしれない。
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# 極端だが、あれだけ大きな揺れがあったんだから、日本列島はあちこちガタがきている。何が起きてもおかしくない。
地震予知の第一人者・東海大学教授 長尾年恭「首都圏直下型M8」「東海地震M9」はまもなく来るものと覚悟してください
<2012年01月18日(水) 週刊現代「週刊現代」2012年1月21日号>を編集
「二度とこんな悲劇は見たくない」。3・11には誰もがそう思った。だが、いまこの瞬間にも、列島直下では異変が進行している。この世の終わりに見えた大震災すら、実は〝始まり〟に過ぎないのだ。
来る時期が早まった
「今後、首都圏直下型を含めて、大きな地震が複数回、起きる可能性があります。2011/03/11の東日本大震災以来・・・・・・というより、正確には1995/01/17の阪神淡路大震災から、日本列島は地震活動が活発になっているのです」
こう語るのは、東海大学海洋研究所地震予知研究センター長 教授の長尾年恭である。長尾の専門は、固体地球物理学、地震電磁気学、地震防災など。大学院在学中に南極越冬隊などに参加し、その後、金沢大学助手などを経て、現職に就いた。地震予知研究の第一人者の一人であり、前兆現象の研究者としても知られる。その長尾が、「近い将来、大地震が起きる可能性がある」として、警告を発している場所はどこなのか。
「東日本大震災により、いくつかの大地震の発生時期が、早まったと考えなければなりません。まず、3・11大震災の震源域の北と南、岩盤が割れ残ったと思われる、青森沖と房総沖です。これらの場所で地震が起きれば、M8級を覚悟する必要があります」
よく知られているように、巨大地震が発生した場合、数ヵ月から数年以内に、その隣接域で、同規模の大地震が発生することが多い。2004年のスマトラ沖地震の例が有名だが、最初の地震によって周囲の地殻の歪みが拡大し、連鎖的に大地震が発生してしまうのだ。
「ある場所が地震で動けば、動いていないその隣の地域には、当然、歪みが溜まります。これは単なる力学的な問題の結果に過ぎず、高確率で、その隣接地域でも地震が起きます」
青森沖でも房総沖でも、M8級の地震の場合は津波が発生する可能性を考慮しなければならない。もし房総沖地震で津波が発生した場合、千葉県の太平洋岸では、3・11に匹敵する5~6mの津波を覚悟する必要があるという。また、震源地に近い首都圏も、無傷では済まない。房総沖地震の際、東京近郊では震度6程度の揺れに襲われる場所が出る恐れがあり、千葉県浦安市など東京湾沿岸部では、またもや液状化現象の被害が出ることが予想される。
しかし、東京にとってもっと恐ろしいのは、阪神淡路大震災と同規模になると予想される、首都圏直下型地震である。
「1855年の安政江戸地震以来、首都圏では直下型の大地震が起きていません。関東平野の下には活断層が存在する可能性が高い。活断層は航空写真で確認できたものしか認められないので、厚い堆積層に覆われたこの地域では、見つかっていないだけなのです。首都直下型地震がいつ来るのか、私の個人的なフィーリングでは、少なくとも10年以内に起きる可能性が高いと思います。地震により首都機能がマヒした場合、経済に与える打撃は凄まじいものになるでしょうから、日本が耐えられるか大変憂慮しています」
首都圏では他に、小田原付近において、およそ70年周期で地震が起きていることも、古文書などで確認されているという。1923年の関東大震災を考えると、それからすでに90年近くが経過している。そういう意味でも、首都圏及び関東近郊での直下型地震の可能性は、非常に高いといわざるを得ない。
一方、3・11で壊滅的な被害を受けてしまった東北地方だが、一度の大地震で危機が去ったわけではなく、今後も強い警戒が必要だと長尾氏は警告する。
「日本列島から300~400kmの沖合で発生するアウターライズ地震による津波の再襲来に備えなければなりません。これも10年スパンで考えれば、『100%起きる』と考えるべき地震です」
■100%の確率
東日本大震災では、日本海溝と東北地方の間の場所が震源域となった。東から押し寄せる太平洋プレートが、日本海溝の底で西側の北米プレートに潜り込んでいるため、押し込まれている側=北米プレートに近いほう(東北地方)で、断層の破壊が起きたのだ。ところが、3・11の巨大地震のエネルギーはM9とあまりに巨大だったので、日本海溝を挟んだ反対側の場所(太平洋プレート側)にも歪みのエネルギーが蓄積されている。このエネルギーが解放された時におきるのが「アウターライズ地震」と呼ばれるものだ。
「この地震はM8クラスですが、震源域が沖合のため揺れによる被害はほとんど出ません。しかし、東北地方には10m級の津波が押し寄せる危険性があります。米国は、このアウターライズ地震の発生を非常に危惧しています。津波の再襲来で福島第一原発4号機の燃料保管プールが崩壊したら、太平洋全域が壊滅的な打撃を受けてしまう。だから米国政府は、日本政府に福島第一の補強補修工事を早急に進めるよう、強く要請しているのです」
房総沖に青森沖、アウターライズ地震に、首都直下型地震。これらの地震が近い将来起きる可能性は、残念ながら極めて高い。
繰り返すが、M9の超巨大地震がいったん起きてしまった以上、そのとてつもないエネルギーは、確実に日本列島周辺の地殻や断層に、大きなストレスとなって残ったままだからだ。純粋に物理学の観点からしても、不自然に溜められた歪みのエネルギーは、そのうち必ず解放され、大地震が発生することになる。
長尾はさらに、こう指摘する。
「もうひとつ、3・11により発生が早まったと考えなければならないのが、東海地震です。今度の東海地震は非常に大きなものになると思います。その規模はM9~9.5に達するとも言われています。過去の超巨大東海地震の記録を調べると、ほぼ2000年周期で起きているのですが、現在は、前回の地震から約2000年なのです。これも私の個人的見解ですが、10~20年以内には起きる可能性があると見なければなりません」
M9クラスの超巨大東海地震が起きた場合、本州の太平洋沿岸部には、10~15mの大津波が押し寄せると想定される。東海地震の震源域の真上には、停止中とはいえ浜岡原発があるのは言うまでもない。加えて、東海地方を中心とした地域は、人口密度も経済規模も、東北地方よりさらに巨大だ。日本経済に及ぼす影響は、さらに甚大なレベルに達することが予想される。
■大地震の後に本当の危機が
しかし、長尾はもしも東海地震が発生すれば、破局的事態は、それだけでは済まない可能性があると警告する。
「東海地震が起きた場合、かなりの高率で富士山が噴火するでしょう。日本における災害では、地震以上に火山の噴火が怖い。たとえば、阿蘇山はかつて、破局的な大噴火を起こしていますが、もしそれが起きれば、九州の動植物はすべて絶滅します。火山の大噴火はそれほど恐ろしい被害をもたらすのです。実は富士山は、人間にたとえると二十歳くらいの若い火山なのですよ。阪神淡路大震災から東日本大震災と、日本列島全体が活動期に入ってきた中で、富士山も同じく活動期に入ったと見たほうがいい」
直近の富士山の噴火は、1707年のこと。この時は、まずM8.5級の宝永地震が発生し、その49日後に富士山が大噴火、宝永火口を形成した。
「活火山であるはずが300年も噴火しなかったこと自体、異常だと考えたほうがいい。東海地震後に富士山は間違いなく噴火すると考えるべきです。それは地震が起きた後、おそらく数十日~2年以内でしょう。地震の揺れ自体は長くても3分程度で終わります。しかし、ひとたび富士山が噴火すれば、それが数ヵ月は続くことになる。火山灰により、飛行機の離発着が不可能になるなど、現代のエレクトロニクスはほとんど使えなくなる。経済的に見ても、いったいどれほどの被害が出るのか見当がつきません」
「その時」は確実に来る。そしてそれは、明日かもしれない。
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# 極端だが、あれだけ大きな揺れがあったんだから、日本列島はあちこちガタがきている。何が起きてもおかしくない。
http://web.pref.hyogo.jp/press/press_ac021_00009963.html
被災地トップが貴重な提言 神戸で自治体災害対策全国会議 <神戸新聞 2011/09/09 11:23>を編集
東日本大震災を受け、神戸市で初めて開かれた自治体災害対策全国会議(神戸ポートピアホテル)。想定外の災害にどう備え、どう対応すべきか。宮城県知事の村井嘉浩と南三陸町町長の佐藤仁の報告に、兵庫県など全国の自治体幹部が耳を傾けた。会議には全国各地から約360人が出席。
村井は、沿岸部を呑み込んだ津波について「とにかく逃げるしかなかった。日頃から避難先を準備し、公共施設に食料を備蓄しておくことが必要」。「一番苦しかったのは燃料不足。2011/03/16の調査で、宮城県内702店舗のガソリンスタンドのうち、一般客が買えるのは4店舗だけだった」「被災地に入る幹線道路を優先的に復旧し、輸送ルートを確保することが必要」と話した。自治体の支援については、兵庫県が宮城県を支援するなど、ペアを決めた関西広域連合の取組みを評価。「阪神淡路大震災の教訓が生かされた」と話した。
佐藤は「防災計画やハザードマップを作っていたが、想定の3倍もの津波が来た」と話し、「我々は無力に等しかった。ゼロから自治体の防災を見直す必要がある」と訴えた。防潮堤の建設については「今回の津波に対応するため16mの防潮堤を造ると、町全体が万里の長城に囲まれたようになる。どれだけの高さが必要か判断が難しい」と話した。また、仮設住宅について、用地を十分に確保できず、町外に建設している現状を報告。「町外の仮設に移った人がそこで仕事を見つけ、復旧した後も町に戻らないのではないかと懸念している」
2人の報告を受け、関西学院大学教授の室崎益輝は、府県や市町村単位でペアを決めて行っている支援を「今後、自治会同士でペアを決めるなど、さらに細やかな連携のシステムができるといい」と提案した。
兵庫県知事の井戸敏三は「阪神淡路の復興財源は、国の負担が半分程度だった。東日本はこれではもたない」と、国に対しさらなる財政支援を要望。東海・東南海・南海地震への備えについて「関西広域連合以外にも、奈良、高知、中国地方などと一緒に被害予測を行っていきたい」と話した。
被災地トップが貴重な提言 神戸で自治体災害対策全国会議 <神戸新聞 2011/09/09 11:23>を編集
東日本大震災を受け、神戸市で初めて開かれた自治体災害対策全国会議(神戸ポートピアホテル)。想定外の災害にどう備え、どう対応すべきか。宮城県知事の村井嘉浩と南三陸町町長の佐藤仁の報告に、兵庫県など全国の自治体幹部が耳を傾けた。会議には全国各地から約360人が出席。
村井は、沿岸部を呑み込んだ津波について「とにかく逃げるしかなかった。日頃から避難先を準備し、公共施設に食料を備蓄しておくことが必要」。「一番苦しかったのは燃料不足。2011/03/16の調査で、宮城県内702店舗のガソリンスタンドのうち、一般客が買えるのは4店舗だけだった」「被災地に入る幹線道路を優先的に復旧し、輸送ルートを確保することが必要」と話した。自治体の支援については、兵庫県が宮城県を支援するなど、ペアを決めた関西広域連合の取組みを評価。「阪神淡路大震災の教訓が生かされた」と話した。
佐藤は「防災計画やハザードマップを作っていたが、想定の3倍もの津波が来た」と話し、「我々は無力に等しかった。ゼロから自治体の防災を見直す必要がある」と訴えた。防潮堤の建設については「今回の津波に対応するため16mの防潮堤を造ると、町全体が万里の長城に囲まれたようになる。どれだけの高さが必要か判断が難しい」と話した。また、仮設住宅について、用地を十分に確保できず、町外に建設している現状を報告。「町外の仮設に移った人がそこで仕事を見つけ、復旧した後も町に戻らないのではないかと懸念している」
2人の報告を受け、関西学院大学教授の室崎益輝は、府県や市町村単位でペアを決めて行っている支援を「今後、自治会同士でペアを決めるなど、さらに細やかな連携のシステムができるといい」と提案した。
兵庫県知事の井戸敏三は「阪神淡路の復興財源は、国の負担が半分程度だった。東日本はこれではもたない」と、国に対しさらなる財政支援を要望。東海・東南海・南海地震への備えについて「関西広域連合以外にも、奈良、高知、中国地方などと一緒に被害予測を行っていきたい」と話した。
脊髄反射の方々へ。ggrks。
http://www.musicsecurities.com/
2011/08/18追記
# 自分で詳細を調べられない教えてチャンは、支援しなくてもいいと思うよ。教えてチャンは社会に迷惑をかける存在だから。
http://www.musicsecurities.com/
2011/08/18追記
# 自分で詳細を調べられない教えてチャンは、支援しなくてもいいと思うよ。教えてチャンは社会に迷惑をかける存在だから。
奇跡は神頼みじゃ起きない。
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釜石の奇跡 情報待たず避難 地震直後ほぼ全員 <MSN産経 2011/08/11 14:36>を添削
岩手県釜石市の沿岸部にある9つの小中学校で、全児童生徒を対象に、東日本大震災のあった2011/03/11当日の避難行動を調査したところ、回答者1512人(回答率94.9%)のほぼ全員が、気象庁や行政の災害情報を待たずに地震直後に避難を開始していたことが2011/08/11、群馬大学教授(災害社会工学)の片田敏孝らの分析で分かった。
今回の大震災で津波の波高を低く予測し、避難の遅れを招いたと批判を浴びている気象庁は「自らの判断で逃げることを求める」方向で津波避難情報の見直しに着手しており、調査結果は今後の津波避難の指針づくりに影響を与えそうだ。
釜石市は小中学生の避難率がほぼ100%で、避難の成功例として釜石の奇跡と呼ばれ注目を集めているが、今回の調査で全容が明らかになった。
調査対象となった9校はいずれも浸水エリア内か近くにあり、3校が全壊した。各校では、児童生徒から家族が聞き取った内容を回収し、釜石市で防災教育・訓練の指導をしてきた片田がまとめた。
釜石市では児童生徒の半数近くの自宅が被災し、6割近くが家族や親類を亡くしている厳しい状況だったが、調査によって、その状況でも避難した様子が浮かび上がってくる。
避難を開始した場所は、2/3が学校、それ以外は自宅、他施設、屋外など。避難をしようと決断した理由については、「防災無線や気象庁の大津波警報など公的な災害情報」とした記述は数件にとどまり、ほぼ全員が、自分の判断や教師の指示などにより「地震の揺れがおさまった直後、すぐに避難を開始した」と回答している。
学校にいた児童生徒の多くは「上履きのまま走って逃げた」とし、「逃げることに一生懸命で、津波は見なかった」と答えた児童生徒も多数いた。全児童が在校していた唐丹小学校は津波で全壊したが、「全員が高台に避難後、津波警報を聞いた」という。
さらに、地震直後に避難を開始したことで時間的余裕が生じたことから、「避難をしぶる祖父母や父母を説得し避難させた」「体の不自由な同級生をおぶって逃げた」「低学年の児童や幼稚園児の手を引いて逃げた」など、周囲の人の避難を誘導している様子も随所にみられる。
気象庁の津波避難情報の見直しは今秋にもまとめられる見通し。見直し作業のアドバイザーを務める片田は「津波からの避難は地震を感じたら、すぐ行動を開始することがベストであることを示した。迅速な行動が災害弱者への救援活動にもつながった」「津波を起こす地震がどのような性質か、どれぐらいの時間で津波が到達するかを知っていれば、災害情報に頼らなくても避難できる」。
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釜石の奇跡 情報待たず避難 地震直後ほぼ全員 <MSN産経 2011/08/11 14:36>を添削
岩手県釜石市の沿岸部にある9つの小中学校で、全児童生徒を対象に、東日本大震災のあった2011/03/11当日の避難行動を調査したところ、回答者1512人(回答率94.9%)のほぼ全員が、気象庁や行政の災害情報を待たずに地震直後に避難を開始していたことが2011/08/11、群馬大学教授(災害社会工学)の片田敏孝らの分析で分かった。
今回の大震災で津波の波高を低く予測し、避難の遅れを招いたと批判を浴びている気象庁は「自らの判断で逃げることを求める」方向で津波避難情報の見直しに着手しており、調査結果は今後の津波避難の指針づくりに影響を与えそうだ。
釜石市は小中学生の避難率がほぼ100%で、避難の成功例として釜石の奇跡と呼ばれ注目を集めているが、今回の調査で全容が明らかになった。
調査対象となった9校はいずれも浸水エリア内か近くにあり、3校が全壊した。各校では、児童生徒から家族が聞き取った内容を回収し、釜石市で防災教育・訓練の指導をしてきた片田がまとめた。
釜石市では児童生徒の半数近くの自宅が被災し、6割近くが家族や親類を亡くしている厳しい状況だったが、調査によって、その状況でも避難した様子が浮かび上がってくる。
避難を開始した場所は、2/3が学校、それ以外は自宅、他施設、屋外など。避難をしようと決断した理由については、「防災無線や気象庁の大津波警報など公的な災害情報」とした記述は数件にとどまり、ほぼ全員が、自分の判断や教師の指示などにより「地震の揺れがおさまった直後、すぐに避難を開始した」と回答している。
学校にいた児童生徒の多くは「上履きのまま走って逃げた」とし、「逃げることに一生懸命で、津波は見なかった」と答えた児童生徒も多数いた。全児童が在校していた唐丹小学校は津波で全壊したが、「全員が高台に避難後、津波警報を聞いた」という。
さらに、地震直後に避難を開始したことで時間的余裕が生じたことから、「避難をしぶる祖父母や父母を説得し避難させた」「体の不自由な同級生をおぶって逃げた」「低学年の児童や幼稚園児の手を引いて逃げた」など、周囲の人の避難を誘導している様子も随所にみられる。
気象庁の津波避難情報の見直しは今秋にもまとめられる見通し。見直し作業のアドバイザーを務める片田は「津波からの避難は地震を感じたら、すぐ行動を開始することがベストであることを示した。迅速な行動が災害弱者への救援活動にもつながった」「津波を起こす地震がどのような性質か、どれぐらいの時間で津波が到達するかを知っていれば、災害情報に頼らなくても避難できる」。
M9.0南海地震で大阪水没 津波5.5m、関西大学試算 <MSN産経 2011/06/23 19:06>を添削
東日本大震災と同じM9.0級の南海地震が起きた場合、大阪に押し寄せる津波の高さが5.5mとなり、大阪府内の平野部の大半が水没する恐れがあるとの試算を関西大学社会安全学部教授の河田恵昭がまとめ、2011/06/23、大阪市内で開かれた共同通信社のきさらぎ会の講演で明らかにした。河田は「防災計画には最悪のシナリオが必要だ」として、大都市に特有の地下鉄や地下街への浸水対策や、防波堤の整備などを訴えている。
文部科学省地震調査研究推進本部や河田によると、南海地震の30年以内の発生確率は60%程度。M8.4と想定され、大阪湾を襲う津波の高さは2.5mとされていた。Mが0.2増加すると津波の高さは平均1.3倍になる。M9.0なら想定より3m高くなる。地盤の高さから、大阪市内では大阪府本庁舎や大阪城がある海抜20m以上の上町台地を除くほぼ全域が水没する恐れがある。
東日本大震災と同じM9.0級の南海地震が起きた場合、大阪に押し寄せる津波の高さが5.5mとなり、大阪府内の平野部の大半が水没する恐れがあるとの試算を関西大学社会安全学部教授の河田恵昭がまとめ、2011/06/23、大阪市内で開かれた共同通信社のきさらぎ会の講演で明らかにした。河田は「防災計画には最悪のシナリオが必要だ」として、大都市に特有の地下鉄や地下街への浸水対策や、防波堤の整備などを訴えている。
文部科学省地震調査研究推進本部や河田によると、南海地震の30年以内の発生確率は60%程度。M8.4と想定され、大阪湾を襲う津波の高さは2.5mとされていた。Mが0.2増加すると津波の高さは平均1.3倍になる。M9.0なら想定より3m高くなる。地盤の高さから、大阪市内では大阪府本庁舎や大阪城がある海抜20m以上の上町台地を除くほぼ全域が水没する恐れがある。
【吉井英勝議員会見】想定外の原発事故は数年前から想定されていた <2011/05/20 10:30 BLOGOS編集部>を添削
【吉井英勝議員会見】想定外の原発事故は数年前から想定されていた
京都大学工学部原子核工学科出身で、政界でも数少ない原子力専門家の吉井議員。今回の原発事故が起こる以前から、国会質問で福島原発の危険性を訴え、事故後は「福島原発事故を予見していた」と話題になった。政府・東電・マスメディアは吉井議員の指摘を無視し、対策を怠り、最悪の「人災」を引き起こしてしまった。その無念と、政府の責任について語った。
【取材・構成:田野幸伸(BLOGOS編集部)】
-------
今回の原発事故をしっかり「想定」し、国会質問で何度も追求してきた吉井議員。もう「想定外」という言い訳は通用しない。
福島原発は建設コストを下げるために山を削って低いところに建設された、老朽化した原発の健全性の試験はされたことがない・・・
今回の福島第一原発の事故は、明らかに「人災」である。
【吉井英勝議員会見】想定外の原発事故は数年前から想定されていた
京都大学工学部原子核工学科出身で、政界でも数少ない原子力専門家の吉井議員。今回の原発事故が起こる以前から、国会質問で福島原発の危険性を訴え、事故後は「福島原発事故を予見していた」と話題になった。政府・東電・マスメディアは吉井議員の指摘を無視し、対策を怠り、最悪の「人災」を引き起こしてしまった。その無念と、政府の責任について語った。
【取材・構成:田野幸伸(BLOGOS編集部)】
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今回の原発事故をしっかり「想定」し、国会質問で何度も追求してきた吉井議員。もう「想定外」という言い訳は通用しない。
福島原発は建設コストを下げるために山を削って低いところに建設された、老朽化した原発の健全性の試験はされたことがない・・・
今回の福島第一原発の事故は、明らかに「人災」である。
防潮堤なくても死者たったの1人 宮古市鍬ケ崎地区 <MSN産経 2011/04/14 07:56>を添削
岩手県宮古市鍬ケ崎地区で40世帯約110人が暮らす角力浜町内会は、基幹産業の漁業への懸念から防潮堤を造らなかった。代わりに実践的な避難訓練を繰り返し、犠牲者を1人にとどめた。
角力浜町内会長の鳥居清蔵(72)によると、住民の約4割が65歳以上の高齢者。岩手大学教授(海岸工学)の堺茂樹らの協力を得て、「津波が来たらいかに速やかに安全な場所に避難するか」を念頭に対策を進めた。2006年には高台に通じる避難路を整備、目につきやすい9カ所に誘導標識を設置。安全な場所へのルートを矢印で示したハザードマップもつくり、全戸に配った。
年1回の全住民を対象にした訓練は実践的に。その結果、津波が海岸から約300mまで入り込み、町内の大半の住宅が全半壊したにもかかわらず、住民の大半は高台に逃げ無事だった。
岩手県宮古市鍬ケ崎地区で40世帯約110人が暮らす角力浜町内会は、基幹産業の漁業への懸念から防潮堤を造らなかった。代わりに実践的な避難訓練を繰り返し、犠牲者を1人にとどめた。
角力浜町内会長の鳥居清蔵(72)によると、住民の約4割が65歳以上の高齢者。岩手大学教授(海岸工学)の堺茂樹らの協力を得て、「津波が来たらいかに速やかに安全な場所に避難するか」を念頭に対策を進めた。2006年には高台に通じる避難路を整備、目につきやすい9カ所に誘導標識を設置。安全な場所へのルートを矢印で示したハザードマップもつくり、全戸に配った。
年1回の全住民を対象にした訓練は実践的に。その結果、津波が海岸から約300mまで入り込み、町内の大半の住宅が全半壊したにもかかわらず、住民の大半は高台に逃げ無事だった。
神戸も津波対策…高層部分を「避難ビル」化も <MSN産経 2011/05/16 14:31>を添削
東日本大震災による津波被害を受け、神戸のホテルが防災マニュアルの見直しに相次いで着手している。阪神淡路大震災の被災地だけに地震発生時の防災マニュアルは策定しているが、いずれも津波は想定外。神戸のホテルにとっては売り物の海が脅威になりかねず、東南海・南海地震に備えて高層部分を避難ビルとして提供したり、周辺の観光客らの受け入れを検討したりするホテルも出ている。
「津波対策を入れたマニュアルに作り替えるのが急務だ」ホテルオークラ神戸の管理本部の担当者は、こう語る。
現在の防災マニュアルは津波被害を想定していないため、震災直後から見直し作業に着手。利用客の避難経路を変更し、テラス部分(5階)を一時的な避難場所にすることを検討、津波によりホテルが孤立するケースも想定してマニュアルの骨子を策定した。
2011/04/19には、従業員を対象に防災講習会を開催。東日本大震災の被災地に派遣された兵庫県災害対策課の職員らを講師に招き、被災状況や対策のあり方を聞いた。
2011/05下旬には津波を想定した大規模な防災訓練を計画しており、避難経路などを最終的に確認。従業員用に手動の小型発電機を購入するなど、備品面も充実させる。
神戸ポートピアホテルが策定したマニュアルは、地震発生時の利用客の誘導場所を1階ロビーから上層階に変更した。ポートピアホテルも2011/05下旬に訓練を実施し、「上層階のどこに誘導するのがいいかなど、訓練を重ねながら改善点を見つけ、それを盛り込んだマニュアルを策定していく」という。
海岸に立地する神戸メリケンパークオリエンタルホテルでも「現在、地震時の避難場所はホテル前のメリケンパーク。津波を想定すると、ホテル上層部に誘導するなど抜本的に見直さなければならない」と話す。「今回の津波被害の危機感が薄れないうちに、マニュアルの策定を急ぎたい」としており、今夏にもまとめる考えだ。
また、ホテルオークラでの講習会では、兵庫県の防災担当職員が「ホテル周辺には観光客も多く、津波の際にはホテルに避難ビルの役割を果たして」と要請した。ホテルオークラも「具体的に話がくれば対応したい」(管理本部)としており、各ホテルとも行政の意見を反映しながら、マニュアルの細部を詰めていくことにしている。
東日本大震災による津波被害を受け、神戸のホテルが防災マニュアルの見直しに相次いで着手している。阪神淡路大震災の被災地だけに地震発生時の防災マニュアルは策定しているが、いずれも津波は想定外。神戸のホテルにとっては売り物の海が脅威になりかねず、東南海・南海地震に備えて高層部分を避難ビルとして提供したり、周辺の観光客らの受け入れを検討したりするホテルも出ている。
「津波対策を入れたマニュアルに作り替えるのが急務だ」ホテルオークラ神戸の管理本部の担当者は、こう語る。
現在の防災マニュアルは津波被害を想定していないため、震災直後から見直し作業に着手。利用客の避難経路を変更し、テラス部分(5階)を一時的な避難場所にすることを検討、津波によりホテルが孤立するケースも想定してマニュアルの骨子を策定した。
2011/04/19には、従業員を対象に防災講習会を開催。東日本大震災の被災地に派遣された兵庫県災害対策課の職員らを講師に招き、被災状況や対策のあり方を聞いた。
2011/05下旬には津波を想定した大規模な防災訓練を計画しており、避難経路などを最終的に確認。従業員用に手動の小型発電機を購入するなど、備品面も充実させる。
神戸ポートピアホテルが策定したマニュアルは、地震発生時の利用客の誘導場所を1階ロビーから上層階に変更した。ポートピアホテルも2011/05下旬に訓練を実施し、「上層階のどこに誘導するのがいいかなど、訓練を重ねながら改善点を見つけ、それを盛り込んだマニュアルを策定していく」という。
海岸に立地する神戸メリケンパークオリエンタルホテルでも「現在、地震時の避難場所はホテル前のメリケンパーク。津波を想定すると、ホテル上層部に誘導するなど抜本的に見直さなければならない」と話す。「今回の津波被害の危機感が薄れないうちに、マニュアルの策定を急ぎたい」としており、今夏にもまとめる考えだ。
また、ホテルオークラでの講習会では、兵庫県の防災担当職員が「ホテル周辺には観光客も多く、津波の際にはホテルに避難ビルの役割を果たして」と要請した。ホテルオークラも「具体的に話がくれば対応したい」(管理本部)としており、各ホテルとも行政の意見を反映しながら、マニュアルの細部を詰めていくことにしている。
電動式の防潮扉を拡充へ 兵庫県、神戸市 <神戸新聞 2011/05/11 07:00>を添削
東日本大震災の津波被害を受け、兵庫県や神戸市は電動式の防潮扉を拡充する方針を固めた。防潮堤のうち、開閉式の防潮扉は普段から閉じているのが原則だが、大半が往来用に開けているのが現状。厳格な運用を求めるとともに、操作責任者が素早く避難できるよう順次、電動式を導入する。また、防潮扉の外に監視カメラを増やし、釣り人の立入りやボートの不法係留、違法駐車の対策を徹底する。
兵庫県内の沿岸部には高さ3~6mの防潮堤が設置され、南海地震などによる現在の想定津波高では「大規模な浸水被害は免れる」とされる。ただ、「防潮扉を閉じれば」という条件付きだ。
兵庫県港湾課によると、兵庫県が管轄する防潮扉は、水門も合わせて約800カ所。淡路島約300カ所、瀬戸内海沿岸約500カ所で、日本海側は2カ所。多くは民間施設や民家と隣接している。開閉操作はほとんどが企業や家人に委託しているが、実際は施設の通用門などとして、開放されているケースが目立つ。
東日本大震災では、防潮扉を閉じる作業中に津波に巻き込まれる被害が相次いだという。このため兵庫県は、普段から可能な限り閉じておくよう要請した上で、操作責任者が早く避難できるよう電動式に改める。
電動式は現在、門が重いなどで閉鎖に時間がかかる約1割に限定して運用されているが、手動式では数人が必要だったり、5分以上かかったりする扉も多いという。このため神戸市は電動式の拡充と併せて、軽量化も図る。
ただ、「問題は防潮扉の海側に残った人や物への対応」と兵庫県の担当者。兵庫県は南あわじ市の福良港の監視カメラを2014年度までに4から39に増やし、釣り人らに注意を呼び掛ける。防潮扉には津波警報が発令され次第、自動閉鎖するシステムも導入する。
さらに、神戸市、尼崎市、姫路市などでは計600隻以上の不法係留や、違法駐車が後を絶たない。今回の震災では、船舶や車が流され、建物の損壊や油漏れによる火災の原因にもなった。兵庫県は2012年度までに阪神間で防潮堤の厚みを増し、船舶などがぶつかっても壊れないよう補強。不法係留に対しては法的排除も視野に入れる。
東日本大震災の津波被害を受け、兵庫県や神戸市は電動式の防潮扉を拡充する方針を固めた。防潮堤のうち、開閉式の防潮扉は普段から閉じているのが原則だが、大半が往来用に開けているのが現状。厳格な運用を求めるとともに、操作責任者が素早く避難できるよう順次、電動式を導入する。また、防潮扉の外に監視カメラを増やし、釣り人の立入りやボートの不法係留、違法駐車の対策を徹底する。
兵庫県内の沿岸部には高さ3~6mの防潮堤が設置され、南海地震などによる現在の想定津波高では「大規模な浸水被害は免れる」とされる。ただ、「防潮扉を閉じれば」という条件付きだ。
兵庫県港湾課によると、兵庫県が管轄する防潮扉は、水門も合わせて約800カ所。淡路島約300カ所、瀬戸内海沿岸約500カ所で、日本海側は2カ所。多くは民間施設や民家と隣接している。開閉操作はほとんどが企業や家人に委託しているが、実際は施設の通用門などとして、開放されているケースが目立つ。
東日本大震災では、防潮扉を閉じる作業中に津波に巻き込まれる被害が相次いだという。このため兵庫県は、普段から可能な限り閉じておくよう要請した上で、操作責任者が早く避難できるよう電動式に改める。
電動式は現在、門が重いなどで閉鎖に時間がかかる約1割に限定して運用されているが、手動式では数人が必要だったり、5分以上かかったりする扉も多いという。このため神戸市は電動式の拡充と併せて、軽量化も図る。
ただ、「問題は防潮扉の海側に残った人や物への対応」と兵庫県の担当者。兵庫県は南あわじ市の福良港の監視カメラを2014年度までに4から39に増やし、釣り人らに注意を呼び掛ける。防潮扉には津波警報が発令され次第、自動閉鎖するシステムも導入する。
さらに、神戸市、尼崎市、姫路市などでは計600隻以上の不法係留や、違法駐車が後を絶たない。今回の震災では、船舶や車が流され、建物の損壊や油漏れによる火災の原因にもなった。兵庫県は2012年度までに阪神間で防潮堤の厚みを増し、船舶などがぶつかっても壊れないよう補強。不法係留に対しては法的排除も視野に入れる。